二度と思い出したくなかった悪夢の再現、それが目と鼻の先まで迫っている。少しでも力を抜けば姿勢が崩れ、鋭敏な乳房をまたナメクジなんかに犯されてしまう――
――い、いや。それだけは、絶対にいや……!
そんな絶望から逃れるため、囚われの天使は淫猥な肉スポンジに縋り続けるしかなかったのだ。
もっとも、こうして耐えていても光明が見えることは決してない。
「はぁ、はぁ、はぁ……んぅ、く。ふぅ、あ、はぁ……っ!」
もう何時間になるのだろう。天井から垂らされる粘液や握り棒から噴出される白濁は、その全てが強烈な媚薬だ。スーツ越しに染み込まされ、あるいは触手によって太ももに直接塗り込められ、熟れた女体は怖いぐらいに性感を高ぶらせてしまっている。濡れて貼りついたショーツ生地からは、ひくひくと蠢く陰唇が淫らに透けてしまっていた。ニーソックス越しに伝わるゼラチン質な流動に、緑色のブーツが切なげに震えている。ロングラブには濃厚な精液を染み込まされ、滴る白濁が肩口にまで糸を引いていた。ぎゅっと拳を握り締めるたび、射精根の逞しい蠢きにお手手が感じ入ってしまう。
腕も足も背中も、こうしているだけで官能を高ぶらされ狂わされる。だが最も辛いのは、ナメクジに触れる寸前で宙吊りになっている両乳房だった。窮屈なコスチュームは汗と粘液でぴっちりと密着し、表面には勃起した乳首の形が淫らに浮いてしまっている。これも魔物の体液の効果だろう。白濁を吸わされた聖衣は半ば色を失い、紅潮した肌色がコスチュームに透けてしまっていた。濡れた白生地と重なりあう肉の痴色がひどく煽情的だ。勃起した先っちょはピンクに色づき、乳腺の窪みまでがいやらしく透過してしまっている。
粘液まみれの濡れ生地は、もはや何の緩衝材にもなっていなかった。密着コスチューム地越しに、魔蟲の動きを繊細に感じてしまう。
――う、動いてる……胸の真下。す、すごくたくさんいる……!
数センチ、いや数ミリ先。充血しきった鋭敏乳豆の、ほんのすぐ側。触れるか触れないかの場所で、大量の粘蟲が蠢いていた。
いかにも美味そうな豊熟果実は、ナメクジにとっても最高のご馳走だ。目ざとい淫蟲は何匹も胸の真下に集い、まるで餌を待つ雛のようにパクパクと口を開閉させていた。ビンビンに勃起した乳首の先端は、ともすればその口腔に触れてしまいそうになる。伸ばされた触角は、何度か舐めるように先っちょをかすめていた。
「はうぅう……ンぅっ! ひぁ、あふ、んくぅううう……!」
乳先に伝わるもどかしさに、久遠は頤を震わせ悶絶する。触れるか触れないかの距離で繰り返される、どうしようもない掻痒感。焦れきった肉豆は、痛いくらいに充血してしこりきっていた。
今も触手の先端がかすった。真下でくちゃくちゃと口唇が蠢く気配。噛まれる、もう少しで噛まれてしまう――焦燥感と、そしてマゾヒスティックな期待感とに、子宮がきゅんと疼いてしまう。
「い、いやぁ……それだけは……ナメクジだけは、いや……!」
最悪の未来を避けるため、悪夢の再現から逃れるため。
久遠は歯茎を食いしばり、両手で必死に肉スポンジを握り締めた。
だが、そんな健気な抵抗が天使をいっそう追い詰める。柔らかな海綿体が潰れてしまい、大量の粘液が搾り出されてしまった。
「ひ、あ!? いや、ま、また出て……んくぅううう〜!」
ぶじゃっ! びちゃびちゃびちゃ……びちゃ!
搾りたてのミルクが、白い手袋にぶちまけられた。グラブを溢れた射精液が、糸を引きながら腕を滴る。聖衣を透過してくる媚薬効果に、官能がいっそう燃え盛った。握り棒は射精のたび喜ぶように痙攣し、そのビクつきに媚薬まみれのお手手を蕩かされる。
――ふあぁ……い、いや。こんなの、いつまで続くの……!?
ナメクジとの接触を避けるため、ホーリーエンジェルは屈辱の手淫射精を何度も甘受していた。精液をかけられるたび、神経が加速度的に燃え盛っていく。羞恥と屈辱以上に、掌がどんどん敏感になっていくのが怖くてたまらない。
――だ、だめ。このままじゃ、耐えられなくなっちゃう……!
ー久遠編 二章より抜粋ー
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