エクリプス設定

 

●基本設定

 内に眠る暗黒面に人格を食い潰され、人間である事をやめた者。負の感情に呑まれ欲望の塊と化した人間の末路がエクリプスです。
 人の影の中にはもう一人の自分――悪魔のように邪悪で欲望のみに忠実な暗黒面が潜んでいます。陰に潜む悪魔は、常に表の人格にとってかわろうと画策しています。
 人は理性によって欲望を抑えつける事が出来ます。しかし、人の心は弱いものです。狂おしいまでの欲望や絶望に心を飲まれてしまったとき、この影の人格が表の人格を食いつくします。
 その結果、影に潜んでいた人格がいままでの自分に成り代わって肉体の主となります。
 そうして誕生するのが欲望に飲まれた人間の末路「エクリプス」です。
 
 エクリプス化したものは、欲望の赴くままに行動します。エクリプスにとっては、欲望の充足こそが存在意義なのです。
 エクリプスに堕した者は、人間の姿のほかに、エクリプスとしての姿を持つことになります。個体差は大きいですが、主に人と獣が交じり合ったかのような、おぞましい異形をとることが多いです、そのほうがエクリプスとしての能力を自在に使えますし、また歪んだ欲望を満たすのに都合がよいからです。
 
 大半のエクリプスは影の中に自分だけの領域を作り、獲物を引きずりこんで欲望の犠牲とします。普段は人間として振舞い以前と同じように人間社会に溶け込みながら、歪んだ欲望を満たすために凶行を繰り返すのです。
 
 その存在は古く、世界各地の神話や伝承に散見される「人が姿を変えた怪物」はエクリプスのことです。
 明言してはいませんが、単行本一巻で引き合いに出したのは、嫉妬に駆られて大蛇と化した女性「清姫」と、最初は善良な王でしたが、残虐な行為を行ううちに魂まで悪魔になってしまった「ザッハーク王」、あとは「切り裂きジャック」のことです。
 
 ちなみにエクリプス(eclipse)とは英語で「蝕」を意味します。suneclipseと言えば「日蝕」の意味になります。
 人間の理性的な人格を光、暗黒面を影とし、影が光を蝕すことをイメージしてのネーミングです。「影魔」とも呼ばれます。

 

●分類

 作中にはたくさんのエクリプスが出てきます。ストーリー的には関係ないことですが(苦笑)、弘騎としては彼らを三種類のグループに分類しています。
 以下にその設定を記します。

●通常エクリプス

 作中で登場するエクリプスの殆どはこの分類となります。
 作中での登場例はライノエクリプスやトードエクリプス、回想シーンのマリエル陵辱に登場していたエクリプスたちなどです。
 欲望に完全に呑まれており、人間性はまるで残っていません。以前の人間として振舞っているのは、あくまで己の欲望を満たす「狩り」のために都合がいいからです。行動は極めて単純で、常に自分の欲望に突き動かされており、動物的といってもいいほどです。
 
 名前からもわかるように、モチーフは「人+獣」ということになっています。
 外見も、単純な半人半獣の怪人です。自分の欲望を満たすための外見や器官を持ち、外見に応じて何らかの特殊能力を備えているものもいます。

 
●上級エクリプス

 作中での登場はヴジャドエクリプス、スネアエクリプス、そしてエンジェルエクリプスとなります。
 エクリプスでありながら、以前の人間だったころの思考を保っています。影をも越える人間の精神力、そして欲望が影の侵食を撥ね退け、逆に支配しているからからです。
 人間と変わらない思考をもち、理性的な行動をとることが出来ます。ですが皮肉にも、人間としての思考を残しているからこそ、より悪辣で残酷になれるという一面があります。
 人間だった頃の欲望を満たすために非常に個人的な思惑で動いたり、計画的な行動をとることもあります。
 
 強烈な欲望の力に基づき、エクリプスとしての能力は通常エクリプスを凌駕するものとなります。また、他者の影に影響してエクリプスとして覚醒させたり使い魔を従えたりと言った能力を持ちます。
 優れた戦闘力以上に、固体ごとに有する特殊な能力が特徴となります。また、人間形態でも特殊な能力を使用することが出来ます。
 
 モチーフは通常エクリプスと比べ抽象的です。
 現実には存在しない神話上の生物や曖昧な概念から名をとっています。
 外見も半人半獣の怪物ではなく、人間的な部分を強く残すようになります。
 ヴジャドエクリプスの「ヴジャド」とは、エジプト神話における神の瞳を意味しています。ヴジャドエクリプスは邪眼の持ち主なので本来は違う意味なのですが、神野瞳は自分が邪悪な存在と認めなくなかったのでしょう。ヴジャドエクリプスのコスチュームデザインは伝説上の怪物で、邪眼を持つ蛇「バジリスク」をイメージとしています。
 「スネア」は、絡み付いて獲物を捕らえる罠の意味です。罠を張って獲物を捕食する食虫植物のイメージと、蔦触手を使う怪物という意味合で名づけています。
 エンジェルエクリプスは…説明するまでもありませんね。天使です。実際にエクリプスとして活動しているわけではありませんし、完全なイレギュラーです。

 
●影魔王

 世界に一体だけの特殊なエクリプス。すべての影魔を統べる欲望の王、究極のエクリプスです。
 ユミエル1以前は「アルファエクリプス」という影魔の王が存在していました。ユミエル3作中では「オメガエクリプス」が誕生し、現在存在する影魔の頂点に君臨しています。
 その能力はあらゆる点において他のエクリプスを超絶します。また他のエクリプスに対して絶対的な支配力を持ち、数多のエクリプスを部下として従えます。
 
 モチーフはもっとも抽象的です。聖書において「アルファにしてオメガ」と称されている存在、つまり始原に在って終末に在る者「唯一神」をイメージしたネーミングです。
 アルファエクリプスは山羊の仮面を被った悪魔のような姿、オメガエクリプスは愛くるしい少女の姿をしていますが、それらの姿は固定のものではありません。エクリプスは、己の歪んだ欲望を満たすためにその姿を変化させます。尽きることのない欲望の塊である影魔王は、一つの姿では満足しないのです。影魔王はより強くより美しくそしてよりおぞましく進化し、その姿を変化させていきます。
 オメガエクリプスが作中で次々と形態を変化させていったのは、イモムシが蝶になるイメージです。ですから、オメガエクリプスには蝶々を意匠した服飾がなされています。しかし実は、更なる形態が設定として存在しています。それは言わば彼女の戦闘形態であり、かつ陵辱形態でもあります。

※次々と形態を変化させていくモンスターというものには、弘騎個人として特別な思いがあります(ビオランテやデストロイアetc…かっこいいですよね)。設定当時は考えていなかったのですが、多分無意識的に影響を受けていたと思います。


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