エクリプス図鑑外典 七巻 


●デボートエクリプス

・モチーフ ミニオン
・分類 上級エクリプス
・人間時 後述

「忠誠(devote)」の名の通り、オメガエクリプスに盲目的なまでの絶対の忠誠を誓うエクリプス。
その忠誠を示すためにあらゆる手段や周りの被害に気を留めず、また己自身の命を含めあらゆる犠牲を払って当然と考えているあたりがエクリプスらしい「ゆがみ」の持ち主である。
非常に特殊なエクリプスで、元々一体だったものが三体に分かれている。個体識別のため便宜上「タイラント」「シャドウ」「キャンサー」とオメガエクリプスからは呼ばれている。それぞれに特化した能力を持ち、性格にも差異が見られる。理由は後述するが、オメガエクリプス直々の命でない限り基本的に三体一緒に行動することは皆無。

 

●デボートエクリプス・タイラント

・モチーフ サイ
・分類 上級エクリプス
・人間時 鬼沢 龍司(きざわ りゅうじ)

三体の内では最も戦闘能力に特化した個体。
突進力を利用した戦い方を得意としており、またその皮膚は中途半端な攻撃など決して通さない硬さを持っている。スピードとパワーだけでなく、戦況を判断して退くべき時には退くこともできる戦士としての冷静な一面も持ち合わせている。ゆえに、油断を誘うなどといった戦法は通用せず純粋な実力勝負となる。だが、その個体戦闘能力はエクリプスの中でも最強クラス。殆どの対戦相手が絶望的な戦いとなる事は必至。

人間時は無骨な顔をした中年男性。普段は暴力団の組長として生活を送っている。戦闘時には全身にサイの表皮が浮かぶ。
性格は「タイラント(暴君)」の名の通り非常に粗野で尊大。さらに暴言や暴挙を連発する歩くX指定男。だが、それはオメガエクリプスに向けられるべき憎悪を彼に向けさせるという目的もある。

陵辱時は圧倒的な力で相手を屈服させる事を好む。なお、飽きた、あるいは壊れた「おこぼれ」は組員たちに分け与えるため、それなりに組員たちからのウケはいいようだ。

「ヒャァッハッハッハッ! 弱ぇ! 弱ぇぞ! そんな程度の実力で俺様にかかってくるなんざどんな冗談だァ!? ヒャァハハハハ!」

 

●デボートエクリプス・シャドウ

・モチーフ 隠者
・分類 中級エクリプス
・人間時 風間 忠義(かざま ただよし)

三体の中では頭脳労働・情報収集能力に特化した個体。
己の肉体の一部を「蟲」としてあちこちに飛ばす事が可能で、オメガエクリプスの敵となる者(なり得る者)を捜索、誅殺するべく二体に指示を出す。戦闘能力は並だが、自分を中心とした3kmほどの範囲内に入った「オメガエクリプス 及び自分たちへの敵意」を感じ取る能力を持つ。一定範囲内(自分を中心として15mほど)の任意の物体を自由に形状変化させるという能力を持っている。その特質上、不意打ちが通用せず罠が張り巡らされた彼のフィールド内で常に戦わざるを得ないため、油断していると痛い目を見る事になる。

人間時は整った顔をした青年……なのだが、普段は浮浪者に身をやつしている。性格は穏やかで知性的だが、敵には慇懃無礼そのもの。ボロを身に纏い、眼が隠れるほど伸びきった髪といった不潔極まりない格好からは一見してエクリプスと見破ることは不可能である。

陵辱時は相手の精神を責めるような行為や、プライドを叩き壊すような行為を好む。策の為に浮浪者仲間を利用する事もあり、その為の「見返り」を普段から与えている。また、オメガエクリプスの不利益にならなければ浮浪者仲間に力を貸す為彼らの信頼も篤く、彼を探し出すことは困難を極める。

「わざわざ私に嬲られる為にここまで来られた事に感謝しています。その望み、叶えてさしあげましょう」

 

●デボートエクリプス・キャンサー

・モチーフ カメレオン
・分類 下級エクリプス
・人間時 坂崎 零央(さかざき れお)

三体の中で敵対相手への潜入・籠絡に特化した個体。
アメーバエクリプスほどではないが、様々な姿にその容姿を変える事ができる。戦闘能力は皆無に近い。だが元々彼にそのようなものは必要ないのだ。彼の能力は対象への「記憶侵入(記憶読取)」であり、「記憶改竄」である。敵の記憶を矛盾の無いように書き換えて己を「味方」であると認識させ、主であるオメガエクリプスに都合のいい様にその心を徐々に作り変えてゆく事が彼の目的だ。前の二体と違い人間に対する直接的な危険はないが、別の意味においては人間に対してこれほど危険な存在もいない。誰にも気づかれぬまま徐々に人間たちを蝕んでいく。その様はまさに「キャンサー(癌)」そのままである。

人間時は前述の通り一定の姿はないが、中性的なティーンエイジャーにその身を変える事が多い(彼の好みのようだ)。性格は基本的に人懐っこく、また騒がしい。ただし、敵対相手の好みに応じて幾らでも性格を偽ることは可能。

基本的に直接的な陵辱行為は行わない。ただし、もちろんそれは相手を思いやっての行動ではない。彼等と主であるオメガエクリプスの手駒(兼玩具)として使う為である。その事は対象にとってはある意味で幸せでもあり、またこれ以上ないほどに不幸なことと言えるかもしれない。

「えへへ、ボクの話を聞いてくれるんだ。ふふ…………嬉しいなぁ」




なお、彼らには特筆すべき共通の能力が三つある。
一つは「記憶の共有」。彼らのうち一体が手に入れた情報は他の二体も同時に認識する事柄となる。
二つ目は「別個体の召喚」。彼らのうち一体が必要とした時、あらゆる物理法則を飛び越え、その場にどちらか、あるいは両方を呼び寄せることができる。
そして、もっとも恐るべき能力が三つ目である。それは「別個体の再構成」だ。なんらかの事情(敵対相手に敗北するなど)でその存在を抹消された個体を、共有した記憶と身体情報を基にゼロから再構成することができる(無論、触媒程度の力は消費するが)。この作業には一時間もかからない。

また、相手に他の二体の存在を悟らせない事を前提にして三つの能力を組み合わせると、相手に彼が「不死身」であると錯覚させる事ができる。忠誠の為にはあらゆる恐怖、苦痛を厭わぬ彼等の内面を知る由もない敵から冷静な判断能力を失わせる手段となり、また何度も挑む事によって敵を倒すのに最適な攻略法を見つける事もできる。

彼らを消滅させる唯一の方法は三体を一度に消滅させることだけである。しかし、基本的に別行動をとり続ける彼らにそれを行うことは不可能に近いだろう。




オメガ様のお言葉
わたしに絶対の服従を誓う者たち……ふふふ、いいわよ。
誰かに頭を下げるなんてわたしだったら絶対イヤだけど、弱いヤツには弱いヤツなりの生き方があるのよね〜。
それに、こいつらは好きでやってるんだし、わたしに従うことが楽しくて仕方ないヤツらなのよね。
自分の好きなことばかりやってるヤツってエクリプスらしくて好きよ、あはははは!


※以上、岡安真砂様の生み出されたエクリプスです。投稿ありがとうございました!


 

 

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