リコーリング・インティグニティ

第三章 堕落と言う名の救い

 彼の男根――それは既に、年相応のものではなかった。長さも大きさも、並の大人のものよりも一回りも太く大きかった。茎皮こそ被っていたが、その先端部分からは既に亀頭が露出し先走りにまみれていたのである。外の世界に晒され、雄々しく反り返るそれは既に雄の雰囲気を漂わせるものであった。
 それだけではない。反り返るその肉竿部分には脈動する血管だけでなく、いくつもの小さな粒…輪の形をしたようなものが盛り上がっていたのである。
 よく見るとそれは吸盤であった。タコやイカの手にあるような形の吸盤が、血管と同じようにピクッピクッと脈動を繰り返していたのである。
 その形こそ普通の男根と同じであったが、少年の淫茎は既に人のものではなくなっていたのだ。
 ――…凄い………あんなにも大きく………
 その逞しく変化した男根の姿に、ユミエルの羞恥心が燻ってゆく。今までにも様々な男根と向き合ってきたユミエルであるが、やはり何度向き合わされても慣れるものではない。それなのに、その男根から目を離す事が出来ない…自分の心のどこかに、その淫茎で犯されることを期待する思いがあるのだろうか。
 その天使の…三人の少女の羞恥の混ざった視線に、少年の心にも羞恥が沸き上がる。
「うぅぅぅ…そんなに……見ないでよォ……ひゃぁっ!?」
 まるで辱められているかのようで、『恥ずかしい』と言えずに泣きそうになりながら悶える巻幸。そんな羞恥に悶えるまま、急に悲鳴を上げる。
 先程から淫茎を掴んでいた瞳の手が、亀頭を包んでいた皮を引っ張ったのである。雄を守る皮を剥ぎ取られ、外気に晒された亀頭はまるで何かに耐えるように震えていた。
「あぁぁ…ぁああぁ……っ」
 今までに感じた事のない刺激を与えられたことに悶える巻幸。その後ろ足に、魔姫の手が回る。
「…流石に…少々面倒に…なりそうね………」
 その言葉を掛け声にするかのように、瞳の手が回していた足を持ち上げる。
「わぁぁっ!」
 驚く悲鳴が終わると同時に、少年は瞳によって抱えられる形になった。人間の秘部を晒されるようなM字開脚を抱えいてる、まるで子供に放尿をさせるかのような態勢に。
 その態勢が恥ずかしくなって、巻幸は淫形を隠すように両手を前にして瞳の方を向いた。
「ほ、本当にやるの…? 」
「さっきも話たでしょ……今はここに…悪い力が集中してるって……それに…直してもらいたくて…ここに来たんでしょう……?」
「うん……」
 旧に怖気ついた巻幸をあやすように説得し、瞳はその隠していた両手をゆっくりと取り除く。そこから悪魔に見入られた淫茎が再び晒される。
「……じゃあ…悪い力……天使様に…治してもらおうね……」
 そういって微笑みながら、抱えた少年の足を十字架の横棒に乗せ、本格的に少年を支える態勢を取った。それによって、少年の肥大した剛棒が、天使の面前に差し出される形になる。
「……さぁ天使様…どうかこの……哀れな子に宿る…悪い力を…吸い取って………」
 まるで仕組まれていたような棒読みな言葉を放ちながら、ゆっくりと少年の腰を前に進ませ始める。
 …今まさに、磔られた聖女への処刑にも、掲げられている少女への貢物を捧げるような行為が始まろうとしていたのである――
* * *
 ――く、来る…大きいのが……
 眼前にまで剛棒が迫ってきた事に、聖少女の心臓の鼓動が再び高鳴ってくる。
…ユミエルには判っていた。これが自分を辱める意味をも含まれている事も。確かに少年を救うにはこれが最良である事には違いない。彼を蝕もうとしている欲望の解放…そのために出来る事なら何でもしてあげたい。
 だが今の、磔られて身動きの取れない状態で彼の肉棒を迎え入れることは、逃れる事の出来ない口腔陵辱を受けるのと同じなのだ。もちろん、瞳もそうやって辱めて楽しむ事も含めて、少年を導いている事も。
 逃げられない……新たなる辱めに心臓の鼓動と、少しの恐怖が込み上げてくる。
 だがそんな思いに関係無く、脈動する肉棒が口元に迫ってきた。
 ――…覚悟、決めなくちゃ…私、受け入れなくちゃ…っ!
 少年を救いたいという想いと、甦った光翼天使としての使命感で必死に羞恥を覆い隠しながら、ユミエルはその小さな唇をめいいっぱい開く。そして―
「……んむぅっっ!」
 そこから一気に飲み込むかのように、幼い天使の口が淫茎の亀頭に宛がわれた。
「ひゃぁううっ!」
 天使の祝福が、少年の淫形を包みこむ。瞬間に鼻に掛かる雄の臭い、そしてとその口唇の中に雄の味が広がり―
「あぁぁっ! い、痛っ!」
「っふぇっ? ――んぷぁっ!」
『っえ?』
 思わぬ少年の悲鳴にユミエルはその口を亀頭から離す。見ていた恵理子も、進行させていた瞳もその悲鳴に驚いてその陵辱道具を天使の口から引かせた。
「………………あ……だっ大丈夫!?」
 歯を食いしばって痛みに耐えている巻幸を見て、ユミエルは悲哀の声を上げる。今までに男根を迎え入れて悦ばれはしたが、苦痛の反応を見たことが無かったのだ。意外な反応に、磔天使はうろたえてしまう。
「う、うん……なんか、ちょっと痛かった…」
 何とか痛みに耐え終えた巻幸は、何が起こったのかもわからず自分の淫茎を見つめながらそう答えた。
「そ、そんな……! 私、そんなつもりじゃ……」
 何が痛めてしまったのか…でも、自分の失態で彼を傷つけてしまった――その事に天使の心が悲痛に苛まれる。
「ち、ちがう! お姉ちゃんは悪く――」
「この子…敏感過ぎるのかな……」
 必死にユミエルを庇おうとする巻幸の言葉を遮るかのように、瞳の言葉が響く。彼女もまた意外な反応に声が上がっていたが、努めて冷静に呟いた。
「敏感って……?」
 その言葉に皆の視線が瞳に向く。そのまま傍で見ていた恵理子が質問した。
「ほら……私達も…子供の頃……その………………………………………下の豆…………突ついたら……痛かったこと……あったでしょ…?…」
 言葉の途中…自分の言っている事に思わず頬を紅潮してしまうものの、担いでいる少年をあやしながら瞳は必死に例え話で説明する。
『あ…』
 その言葉の、親友二人の声が上がる。
 確かに秘部などを弄くっていれば、次第に身体が快感に痺れてしまう。特にユミエルの場合は、今までにも様々な影魔に身体を弄ばれてしまった為に、ちょっとした事でも身体が敏感に反応してしまう。だがそれは一つの慣れ……ある程度の年齢に達し、その部分が成長して反応に慣れるようになってからの話である。『影』の影響によっておぞましく進化しているとはいえ、本来はまだ幼茎…慣れていない刺激は必要以上に強すぎて苦痛にしからないのだ。
「そ、そんな…っ! …一体どうすれば……っ!」
 その現実に、ユミエルはうろたえてしまう。その身を捧げ欲望を一心に受けて浄化する方法も、「影魔としての欲望」を満たす行為そのものが苦痛に繋がってしまってはどうしようもない。このままでは、彼はいずれ欲望を満たそうとする己が影に支配されてしまう。だが、彼が苦しむような事になるのなら…それを続けたくはない。そのジレンマに困惑してしまっているのだ。
 だがその困惑を止めたのは、魔姫の言葉であった。
「……でも他に…彼の欲望を解放する方法……無いと思うけど……」
 その言葉と共に、彼を持ちなおす魔姫。それは、再び彼を使って天使に奉仕させる意思の現われでもあった。
「待って瞳! 無理にしたって、この子がまた痛がるだけだよ!」
「……」
 思わずその腕を掴み静止しようとする恵理子。だが、瞳は彼女のほうに向き、無言のままで彼のペニスを指差す。
「…え? ――……そ、そんな…っ!」
 瞳の指差した方向を見て、恵理子は驚愕の声を上げる。
 彼女の見たもの…魔に見入られた男根は、生み出されている小さな吸盤と共に、さらに脈動を激しくしていたのだ。彼の意識に関係無く刺激を求め、反応している証拠である。
「……『影』の方が悦んでいるみたい……このまま…続けたほうがいいかも…………」
「でも……でもっ!」
「…………大丈夫…っ!」
 必死に食い下がろうとする恵理子を、静止の声が届いた。
「え…」
「僕…頑張るから……大丈夫……! だから…お願い……」
 それは巻幸の声だった。脈動を更に続ける淫茎からの刺激に耐えながら、続きを懇願している。
(この子……!)
 そのいじらしく震える少年の姿に、恵理子の手から力が抜けてゆく。それが苦痛に耐えるものなのか、それとも苦痛から逃れたいからのものなのか。必死になって頑張ろうとするその姿が悠美の姿と被って見えてしまった……その為なのか、無理に止めようとする事が出来なかった。そして、瞳の腕を掴んでいた手が離れてゆく。
「……でも、確かに…無理にしないほうが…良いかもしれない……」
 恵理子の手が離れた瞳はそう呟くと、再び少年の持つ剛棒を磔天使の面前に据えた。
「ねぇ…恵理子……皆で、この子を…刺激するのは……どう…?」
「えっ? それって………その……?」
 旧に瞳の出した提案に、恵理子は疑問と…ある程度の理解による、羞恥心が沸き起こる。先程まで引いていたはずの紅潮が、再び頬を染めた。
「待って! 新野さん!」
 再び出された魔姫の提案を、今度は束縛されているユミエルが止めに入った。
「穢れるのは私だけでいい……恵理子は、二人は穢れなくてもいいから!」
「それって…この子のこれが…汚いって事……?」
「っち、ちが―」
「……それを言うなら…この子のを晒している時点で…私達はもう穢れてるよ……それよりも…一刻も早く、この子の欲望を解き放たないと……」
「で、でも……!」
「でも強い刺激を与えたら…でしょ? それなら……皆で、優しく慣らした方が……一人でやるよりも…早く終われると思う……」
 そう言って瞳は、足を抱える腕の片方を引き伸ばし、少年の男根…吸盤が滲み出ている竿部分を掴み、ゆっくりと扱き始める。
「わぁぁっ! な、なに…これ……ぇっっ?」
 先程とは違う…いや、先ほど口に含まれた際に痛みと共に感じた、痺れを伴う感覚に判らず悶える巻幸。
 それに連動して、天使の面前に向けられた亀頭の震えが大きくなる。
(…ん…やっぱり、手が吸われてる…)
 刺激するたびに、手のひらを吸われているような感覚。先程感じたものは間違いではなかった事に実感するも、それに構うことなく瞳は言葉を続ける。
「ホラ……ちゃんと刺激すれば……ちゃんと反応…するでしょ…? なら……」
『……………』
 その淫猥な行為への誘惑とも取れる言葉に、少女達の沈黙が響く。確かに、今の巻幸の状態のを見るなら、彼女のいう事も一里ある。今だに互いを必要以上に巻き込みたくないという想いが…苦しめてしまうのではないかと言う不安が、行為に及ぶのを躊躇わせていた……しかし―
「あ、あぁっ…あぅ、くぅぅぅっ…」
 そう躊躇している間にも、魔姫の手が少年の男根を刺激している。感じているとも、苦しんでいるともわからない表情と共に、必死に何かを我慢する巻幸。
 その表情に…じっと見据えていた天使の眼が決意に見開いた。
「…………もし痛かったら、また叫んでいいからね…」
 その言葉と共に、磔天使の唇から舌が抜き出される。そのまま面前にあるペニスの亀頭に置かれた。
 彼女もまた決意したのだ。この子が完全に影に蝕まれる前に救うには、本人の意思とは関係なく燻る欲望を一刻も早く解放しなければならないのだ。たとえそれが魔姫の姦計であるにしても、苦しみに耐える彼が望むのなら…それで救えるのなら、苦しみを共有し合おうと。
「あぁう!? かぁぁぁ……っ」
 再びその感覚に巻幸は悶える。一瞬、痛みが迸ったが、先程のような激しいものではなかった。唾液が含まれた舌肉による刺激は、痛みと共に暖かくて心地よいものを与えてくれるのだ。
「悠美…………………………………………………………………っ」
 少年を救うために、自分なりに考えてくれた瞳。それが苦しみであっても健気にも受け入れようとする巻幸。そして、彼のためにその苦しみも恥辱も再び受け入れようとする悠美。
 その状況見つめていた恵理子もまた表情を固める。そして磔天使の傍により巻幸の足を潜ると、下のほうから淫茎に舌を重ねた。
「あぅあぁ……っ!」
 更なる刺激に身体を激しく振るわせる巻幸。その反動で、置かれた二つの舌が引き剥がされる。
「え、恵理子ぉ…」
「悠美…」
 傍に寄り添った二人が互いに呼び、見つめ合う。暫く見詰めあった後、今度はその視線が瞳の方に向く。その視線に、瞳もまた視線を向ける。
『瞳…』
「………うん」
 ――今の三人にとっては、それだけで十分であった。もう三人の意思はそれで通じたのである。頬を紅潮した表情はそのままであったが、その眼は決意に満ちた、それでいて優しい視線がそこにあった。
 それを確認した三人は再び男根の方へと向く。そして、再びいきり立っているそれを再び刺激し始めた。
「んぅ…はあぁ………むっぅ…ああぁ…」
「ん…んぅぅ…ん…」
 天使の舌肉が亀頭の先端をゆっくりと舐め回し、眼鏡少女の舌肉が亀頭から吸盤の膨れ上がる竿にかけて舐め降ろしてゆく。そして魔姫の掌が亀頭に掛からない程度扱き上げる。
「あっっあぁくぅぅぅっ…! がぁぁ…がっ! あっくぅぅぅっ……!」
(な、なに? なんかじんじん……じんじんしてくるよぅ……!)
 先程と変わらぬ痛みが襲ってくるものの、暖かい刺激が襲ってくるたび痛みとは別の何かが身体を駆け抜け始める。それが大きくなると共に痛みが少しずつではあるが収まり始める。
 その肥大して行く感覚に、巻幸の声が次第に悲鳴から嬌声へと変わり始めた。まるで女の子の様に浅ましい声を上げがら、更に身体を震わせてゆく。
 ――あぁぁ……あんなに震えて………待ってて……もうすぐ、楽にしてあげるから……
 その声を聞きながら、ユミエルはたどたどしくも彼の『欲望』を刺激してゆく。一刻も早く解放する為に。……だがそんな思いと裏腹に、雄の性器に触れたことに連動するかのように、彼女の身体が過敏に反応し始めてゆく。
 ――あっ…………………………そ、そんな……! 身体が…また……!
 天使は再び身体が再び火照り感じてきたことに、混乱と不安が広がってゆく。
 先程まで弄ばれ、視線ですらも達してしまった身体が、ほんの少し休んだだけで火照りが収まるわけがない。ましてや雄の味を何度と味合わされ快感に震えた身体が、その悦びを逃すわけがなかった。
 奉仕している雄の臭いにふれ、マゾヒスティックな快感がまたしても天使を蝕もうとしていた。
 ――だ、駄目! こんな時に、溺れちゃ……あくぅ…っ!
 今度こそ快楽に負けない…この子と瞳を『影』から救うと決めたのに、身体が少しずつ感じ始めてゆくのが止められない。ただ舌のみの接触であるにもかかわらず、磔天使はまたも快感と戦いを余儀なくされてゆく。
「はぁ…んぅ…ちゅっ、はむ…うぅぅ……」
 少しずつではあるが、天使の舌の奥底から甘い声が漏れ始める。それはまるで舌を性感帯にしてまで、甘ったるい痺れを全身で求めているかのようでもあった。それを表すかのように、亀頭を舐め上げる舌が次第になめらかな動きを催してゆく。
 その変化したゆく動きに吊られるかのように、舐め上げられているペニスの震えが次第に激しさを増してゆく。
「はぅぅぅ…っ! な、なんか………痛いのが…痛いのが、変に…っっんぅぅっ!」
 巻幸の声もまた、ペニスのもたらす感覚の変化に戸惑いと不安を感じていた。先程までの辛いだけの痛みが次第に和らいでいき、変わりに浮かび上がってくるのは甘い痺れ。苦しい感じだったものが次第にふわふわして気持ち良くなってゆく感覚。その感覚に、異形に変わっても今だに未成熟な雄根はただ震えるばかりであった。扱かれている竿から浮かび上がっている小吸盤はその手を離さないかのようにパクパクと動き、なすがままに舐め上げられている亀頭は逃げる事も動く事もままならずに震える。三人の美少女に弄ばれて、次第に雄としての快感が目覚めてゆく。
「んくぅ…っ! あぁ…! これ………しび…れ………あぁっ!…はあぁ…っ!」
 だんだんと嬌声が巻幸の声を支配し、抱えられている腰のくねりが一層激しくなる。それに吊られて、三人の動きも激しくなってゆく。
「んちゅ…はぁ…あ…ちゅぅ…あぁ…あっ……」
「ぅぅ……ん…んちゅ…ぅんぅぅ……ちゅっ」
「………ん……」
 ユミエルはもちろんの事、恵理子の舌も、瞳の手も動きが速くなる。巻幸が次第に快感に目覚めていったのがわかってきたのである。そして、様々な考えがあるにせよ、彼に気持ち良くなって欲しい為に、彼への奉仕を本格的にしてきていたのだ。
 ただユミエルだけは、その想いとは別に、奉仕しているその口がだらしなく開き始めていた…
「ちゅはっ…あ……どう? 気持ち…良くなってきた……?」
「あぁぁ…っ! わ、分からないけど……なんか…っ! っふわふわ…ふわふわしてきて…くぅぅっ!」
「そう……じゃ…ぅんっっもっと……気持ちよく…してあげるね…っ」
 彼のその言葉に、感じているのが快感に向いてきているの確信した磔天使。そして今度こそその口で包んであげようと、亀頭への圧迫を舌で続けたままに幼口をできる限りを開き……一端そこで停止してしまう。
 ――私……また、おちんちんを咥えようとしてる………や…また…恥ずかしく……なって…
 自分がまた恥知らずな行為に走ろうとしていることを認識して、再び羞恥心が沸き上がる。そのまま欲望と理性のせめぎあいが始まった。おちんちんをしゃぶりたい…そんなこと恥ずかしい……そんな葛藤が心の中で燻りだし……
 ――だ、駄目! 何を尻ごみしてるの悠美…! この子を…救うんじゃなかったの…!? 逃げて…逃げてどうするの!
 欲望でもなく理性でもない別の想い…その想いに、一瞬でも自分の中の羞恥に逃げようとした己を恥じ、己を律する聖天使。今だに身体は快感に痺れてゆくままだったが、彼の救いたいという想いを胸に再び刻み、緩んだ口を再び大きく開きなおす。
 そして…天使の口が、反りあがった淫茎を包み始める。瞬間、彼女の口の中が男根の味で一杯になり、彼女の脳にまで刺激が迸る。
「んむぅぅぅっ!」
「ひゃぁううっ!」
 同時に、先程自分の分身を包んでもらったときと同じ悲鳴を上げる巻幸。同時に彼の股間は激しく震えた。
 しかし今度は悲鳴は続かなかった――少年の顔は、先程のような苦痛に歪んだものではなく、異変への困惑…そして、雄としての悦びを感じ始めていたものになっていた。
「…はいひょうふ? ひはくはい……?」
 再び亀頭を咥えたままで、巻幸に語りかけるユミエル。まともな言葉にさえなっていないが、それが自分を気遣うものである事はわかる。
「う…うん。まだ…ちょっと、痛むけど……………なんか、ふわふわして…良い感じがする……」
 たどたどしいながらも、ユミエルの言葉に答える巻幸。
「よかった……ひゃ、ひくね……」
 その言葉に安堵の表情を浮かべるユミエル。そして奥まで咥えこむ体制を取り、同じように男根を弄っていた恵理子達を見据えた。
 ――二人とも、離れて……ここは、私がするから…!
 二人を見つめる天使の儚げな眼。それがそう訴えかけていたことに気付いた二人は、舐め上げ舌を、扱き上げていたその手を引く――意思を伝えるのに、彼女達に言葉は要らない。
「悠美……」
 再び立ちあがった恵理子が心配そうに見るのを、優しく微笑むように顔を歪ませるユミエル。そして、表情のまま……淫茎をそのままゆっくりと奥底までに咥えこみ始めた。
「う…うあぁぁぁぁぁっ!」
 ゆっくりと確実に淫茎を飲み込む口唇。その柔らかく涎に湿った口の進行に、影の力によって変化した男根は凄まじい快感に激しく震える。先ほどの舌責めなど比べ物にならない。遥かに強烈な苦痛、そして魔悦の快感に巻幸は一気に頭が真っ白になる。
「なっっなにこれぇぇぇ……! 痛いっっけど……痺れるよぉぉぉっっ!」
 十字架の横棒に乗せていた両足がジタバタと震わしても、太股と腕を魔姫に拘束されて身体を動かす事もできない。今の巻幸はただ悲鳴に似た嬌声を上げながら、腰を震わしてペニスをくねらせ続けるのみであった。
 そして、ゆっくりと唇を進め男根の竿まで飲み込んたユミエルにも異変が起こっていた。
「ん、っっむむぅぅ……っっ!」
 男根の竿部分…その多くに盛り上がった小吸盤部分にまで唇を進めた時、ユミエルは口の中をなにかに吸われている感覚に襲われた。
 ――な、これ……っ!? おくち、吸われてるよぉぉっ…っ!
 その口唇を吸われている感覚に、ユミエルは思わず悶える。しかし彼女にはその感覚に覚えがあった。
 ――やっぱり…これは、あの影魔の力……あぐぅぅっ…!
 疣のようにある吸盤の竿を咥え進みながら、ユミエルは先日イカの影魔に陵辱されたときのことを脳裏によぎらせる。
 イカの影魔…スクィドエクリプスのペニスもまた、同じように大量の吸盤を生み出していた。その時に犯されたおぞましい感触は簡単に忘れられない。何しろ挿入された竿部分の吸盤が、膣中を引っ張ってくるのだ。その吸引力は半端ではなく、犯されている最中にそのまま膣を引き千切られてしまうのではないかと思ったほどだ。影魔の影響を受けたのなら、その性質を受け継いでいてもおかしくはない。そのイカの影魔の性質を……そしてそれは、淫茎にこそ最も影響を受けやすいのだ。
 だが今、ユミエルの口唇を吸い上げる力はそのイカの影魔と比べても……否、普通に感じるにしてもあまりに微弱…むしろ心地良いものであった。
 やはり彼が受けた影魔の影響はそれほど強くは受けていなかったのだ。あるいは彼『自身の影』が蝕もうとする影と反発していたのか…
 しかし彼の淫茎がどんな状態にあるにせよ、今のユミエルには関係なかった。むしろその吸引は、彼女の口唇を淫茎へと引きこむ風と同じであった。その吸引に導かれるかのように、天使の幼口がイボのようになっている吸盤すらも次第に飲み込んでゆく。
「くぅん…ぅぅ…ぅ………んぐぅぅぅぅっ!」
 半ばほど竿を咥えこんだあたりで口唇の進行が止まり、天使の声が荒げる。やはりその小さくて可愛らしい口に、魔のペニスを全て納める事は無理であった。太さこそ吸盤を含めても何とか飲み込めるものの、それ全てを飲み込む前に、口の中を満たしてしまった。そのまま飲み込んでいるうちに喉を突いてしまって、一瞬呼吸が詰まる。
「ぷぐぅっ! むふっっん………むぅ…んぅぅぅっ!」
 口を吸盤に吸われる感覚のせいでまともに息ができない。咥えこんだまま、何とか鼻で息を整えた磔天使は、今度はゆっくりと引きぬく。その引きぬく最にも口の中を吸引され、イボに擦られる感覚と混ざり合う快感が口の中を満たす。
「うぅぅぅぅっ…! お、おおひぃ……! おくひ、ふわれるぅぅ………っ! 」
 口の中で震えるペニスに雄としての性臭、そして竿の吸盤での吸引。様々なものが天使の口膣を責めたて、それは被虐の快感となって口膣を支配してゆく。
 ――やぁぁぁ…っ! お口、気持ち良くなってくのぉ…っ! おくちぃぃ…っ!
「むふぁぁぁぁ…っ! ふぅぅぅっっ……あむぅぅぅぅっ!」
 次第に責める立場から責められる立場へ。口唇を蝕んでゆくマゾヒスティックな快感か、またも全身に伝わってゆく。
 磔られた身体や背中の翼は無意識のうちに震え、恵理子に散々弄ばれ巻幸に吸われ続けた美丘の果実は痛いくらいに屹立している。腰は何かに動かされるかのようにくねり、その先にある花園は恥蜜が溢れ出し肉芽は小さく震えている。今なお正義の証を穢している肛内はまたしても自虐的に蠢き、証である十字架を締めつける。そして舐められつづけて唾液まみれになっている耳は切なくなり、無意識に力が入るのが止まらない。
 ペニスを咥えこんでいる口からくる被虐の痺れが全身を回り、それがまた快感となって脳にまで響く。先程視線だけで達してしまったほどに敏感になっているそのいやらしい身体は、雄の性器を咥え扱き上げる事でも急速に快感が…何かが込み上げようと高まってゆく。
 ――や……駄目っ! また…イクなんて……っ! 駄目っ! 
 視線で絶頂を迎えた事の恥ずかしさに、少年のことを無視して自分だけ快感に溺れる事の背徳感。なによりそれだけで自らの意思が吹き飛ばされてしまいそうになる不安……それでも彼の事を忘れて自分が快感に逃げるようなことはしたくなかった。またしても快楽の波に堕ちようとしている自分を必死に抑え、少年の欲望を解き放とうとユミエルは健気に口奉仕を行う。
「ふむぅぅぅぅ…んむぅぅぅぅっ! ちゅ、ちゅぷ……んぅぅぅっ!」
 だが少女の口、その幼顔が前後に動いていくペースが少しずつが上がってゆく。いつもとは違うペニスの感覚に、奉仕のペースが分からなくなってきているのだ。
 ゆっくりやってはいるもつもりでも、一度竿を咥えこんでゆくと喉の奥底まで飲んでしまい、吸盤に口を吸われてしまう。引きぬこうとすると吸引の余韻に浸ったままに先端まで引き、そのまま亀頭を締めつけてしまう。更には先汁も口の中で漏れ始め、口の中が否が応にも隅まで満たされてゆく。
 ――やぁぁ…気持ち、いい……っ! このままじゃ、私……また……っ!
 そんな風に乱されているうちに、口内に溢れる甘い痺れが身体を蝕んでゆく。次第に身体のほうが快感を求めて口が動いてゆき、身体が快感に支配されてゆく。健気に奉仕している磔天使はまたしても、込み上げてゆく快感に弄ばれる雌犬に堕ちようとしていた。
 そして、快感に溺れてゆくのは少女天使だけではなかった。
「あぁぁぅあぅぅっ! はぅぅ、はぅぅぅぐぅぅっっ!」
 唾液もたっぷりに、自分の分身を天使の口に飲み込んでも動かしてもらう感覚。そこから齎される苦痛、そして次第に変わってゆく快感に巻幸の思考はスパークし続けていた。
 影の力で変化している淫形…それを包む天使の口はとても滑らかで温かく、それでいて口内は小さいために凄まじい圧迫感を齎す。亀頭を圧迫されるたびに潰されてしまいそうな感覚に襲われる。そのまま吸盤の溢れた竿にまで進む度に痺れと…そしてフワフワとした感覚が反り返ったものを支配する。それが何度も続くうちに、あれほど充満していた痛みが何時の間にか痺れへと変わっていく。
 天使の口性戯は卓越したものではなかったが、年端もいかぬ少年の思考を狂わしてしまうには十分過ぎた。その甘い唇が上下に動くたびにもう身体がフワフワとした甘い感覚に包まれ、言う事を利かなくなってしまう。
(な、なに…? なんか…だんだん、気持ち良く――あぅぅっ!)
「あっぅうぅっ! …なんか、痺れて…っ! 気持ちよく、なってっ! っわかんない……わかんないようぅぅっ!」
 段々と激しくなってくる口奉仕に…巻幸は涙を流しながら、腕を胸に当てて耐えるような体勢を取る事しか出来なかった。腰は逃げるような動きをしているが、瞳にしっかり掴まれているので動きらしい動きにならない。むしろ天使の口に弄ばれてるかのように怪しく動き回っているようにも見えた。
 戦う事ではないにしろ…巻幸もまた、こじ開けられてゆく性の快感に翻弄されていた。
「あぅぅぅぅっ! き…気持ち、いいっ! 気持ちいいよぅぅっ! 僕、フワフワしてっっ気持ちよく――ひ、ひぃぃぃぃっ!」
 ついに快感が勝ってきた事を泣きながら叫び始める巻幸。それを教会内に響かせ始めた瞬間…反りかえった淫形よりも下の方から襲ってきた快感に思わず声を荒げてしまう。
(わぁぁぁっ! …た、タマがっ! タマがっっ舐められてるぅ……っっ!)
 彼に襲った新たなる快感――それは睾丸を舐め上げられたものであった。まだ少年である彼にとってそれは何ともないはずなのだが、雄としての欲情が刺激されている今は更なる刺激となって彼を襲いかかっていたのだ。急に訪れたその感覚に、巻幸は顔を下に向けた。
「っ!?」
「っへ、へりこっ!?」
「…恵理子!」
 その場に三様の呼び声が響く。
 何時の間に潜り込んだのか…拘束されている巻幸の股間の下には恵理子がその顔を寄せており、その下から睾丸を舐め上げていたのである。
「んちゅ…ちゅぁ…ん…はんっぅぅ……! んん…んぅ…っ」
 性戯によって刺激され、淫茎と同じように膨れ上がっている睾袋を、ポニーテールの少女がゆっくりと舐めてゆく。下のほうから舐め上げていったかと思えば、渦を巻くように袋皮を舐めまわしてゆく。そしてそのまま口を開けて睾丸を飲み込み、赤ん坊の肌を扱うかのように優しく、時にキャンディを舐め上げるように少し強く包むように刺激する。
「いぃぃぃぃっ! きもちいぃよぅっ! 痛かったのがっっきもちいいようぅぅっっ!」
 今だに未熟な雄にとって、それはあまりに刺激過ぎるものであった。急所を同時に責められる快感にもう少年の口からは「気持ち良い」と言う言葉が常に発せられてゆく。
「へりこ…」
「……恵理子…」
 今だその顔は羞恥で紅潮しているのに、悶える少年に健気に奉仕する恵理子。その姿……自分だけが安全な場所で見ているだけなことを拒絶し、同じように穢れてでも皆と触れ合いたい…それが心に伝わってきたユミエルと瞳は……もう彼女を止めれなかった。
 そして、何ごともなかったかのように痴態が続けられてゆく。
「…むふぅっ! っふんぅ…っ! ん…っ! …はうぅっ!」
 恵理子の参入を受けた事に刺激を受けたのか、ユミエルの動くペースが更に速度を増した。それはもう戦いに敗れ、陵辱されている時に行うときと同じ位の速度であった。それに合わせて、口内が掻き回される快感の度合いも増してゆく。
 ――はぁぁっ! っだ、駄目…っ! 口…止まらない………恥ずかしい、のに…止められない……っ!
 今だ燻っている羞恥心を捨ててしまったかのように、小さな口で竿をしゃぶり尽くしてゆく聖天使。もう、男根に媚び諂う雌犬と同じであった。吸盤の吸われる感覚すらも気付かぬうちの楽しみ出している口の中で……その竿が次第に脈動を始めた。
 ――っ! …この子、イキそうになってきてる………! …うん!
 少年の剛棒がついに限界を感じ始めてきたことを口内で悟ったユミエル。それに合わせて、亀頭への圧迫も、舌を絡ませている竿への摩擦も強くしてゆく。
「んぅぅっ! ちゅはっ! はむぅぅぅぅっ! あむぅぅっ! んむぅぅぅっ!
 ――待ってて…………もうすぐ、楽にしてあげるから………もうすぐ……!
 もうすぐ終わる。もうすぐ少年を苦しみから…影の脅威から解放できる。そのことが、彼女をより痴態へと駆り立てていく……
 ――だが、ユミエルは失念していた。今置かれているこの状態が、自分を踏みにじり弄ぶ為のものでもあることを。
「――んっ!? ……っんっ、っひぃぃぃぃぃっっ!」
 足の方から別の官能電撃が迸り、聖天使の目の前は一瞬にして真っ白になる。必死に奉仕していた剛棒を思わず噛んでしまいそうなほどに悶えながら嬌声を上げ、肉唇はビクビクと震えあがりその飛沫で恵理子の制服を濡らす。
「っひゃぅぅううっ!?」
「きゃっ!?」
 必要以上の口内圧迫を受けて、同じように不意に腰を跳ね上げる巻幸。その異変に気付いた恵理子が後ろのほうを向くと…そこには、秘部に貼りついていた一本の小さな触手があった。その触手が充血しきっていた肉芽に密着していたのである。すでに何度も絶頂に達している肉芽は、不意なる小触手の接触すらも達してしまうほどに敏感になっていた。
 ――あぁぁっっ! っこ、これ…新野、さんの……っ!
 その触手、その感触は間違いなく瞳のものであった。その異変に三人は、魔姫のほうを向く。
「……もうこの子も、感じてきたみたいだから……貴女を弄っても、よさそうに思えたの…」
 相変わらず穏やかではあるものの、瞳の表情はまるで悪戯っ子のように微笑んでいた。
「……この子だけが先に『イク』なんて可哀想でしょ…? だから、ね……?」
 瞳の言葉が終わると同時に、秘部に貼りついていた小触手が活動を開始した。
「…ひぃぃっ!?」
 触手が動いた瞬間、聖天使の目の前に火花が散る。奉仕していた口の動きが止まり、快感と…次に起こる事に対する恐怖に震える。
 ――な…何をしようというの………新野、さ――あ……っぐぅぅっぅぅっっ!
 秘部を弄ばれて腰を震わせる聖天使が、次に感覚を覚えた場所は……秘部の中でも特に小さな穴だった。
 ――や…っ! そ、そこは…おしっこの…っ! ひゃぁぁっ!
 触手が責めてきたのは尿道口だった。十字架に磔られてから本格的に弄られていない場所、そんな予想外の部分を責められ、ユミエルは咽び鳴いた。
「はうぅっ! は、はめぇっひんのはん! ほこっっおひっこぉぉぉっ!」
 淫形を咥えこんでいる事さえも忘れたかのように、涙を流しながら首を振る磔天使。プラチナロンドの髪が大きく揺れるほどに顔を…口内を動かされ、巻幸も同じように快感に震える。
「わぁぁぁぁっ! そっっそんなに激しく、しないでぇぇぇっっ!」
 もはや二人とも、魔姫の思うがままに弄ばれているのと同じだった。激しい官能の波にただただ流されてゆく。
「待って瞳!」
 不意に掛かる声。その言葉と共に、少年の舌から手を出してきた恵理子がその責めを止めようと懇願する。
「せめて、せめてこの子が終わるまで待ってあげて! もし――」
「……この子のものを、噛んで…傷つけてしまわないか…でしょ…? 大丈夫…その心配は…もう無い……ほら…」
「…っえ!?」
 自分の心配していたことを逆に言われたことは別に驚かなかったが、次の「大丈夫」と言った事には流石に驚いた。
……確かに今、「悠美を弄んでしまうと、巻幸の淫茎を思わず噛んで傷つけるのではないか」という不安に刈られているの本当だ。しかし何故彼女が大丈夫だと言い切れるのか……尋ねる間もなく、瞳の頬が震える少年の頬と合わさる。
「……もし…噛む危険があるのなら…さっき悠美がイった時……もう噛んでる……こんなに気持ち良さそうな顔なんて…しない………」
 そういって優しく肌を触れ合わす少年の可愛らしい顔には、もう苦痛の片鱗も見えなかった。快感に悶え、欲情に流される雄の顔がそこにはあった。
「で、でも……」
「それに……もう、手遅れだよ……」
「…え?」
 その言葉と共に、磔天使の方に視線を向ける瞳。それにつられて恵理子も向く。
…そう、もう手遅れだった。彼女達が話している間にも、磔天使を苛む尿道責めは続いていた。纏わりつくように先端を擽ったかと思えば、その穴に侵入するかのようにきつく押し上げてくる。その度に秘部に流れる快感美と共に、尿道に走る電撃が絶え間無く押し上げてくる。快感に蝕まれた身体がその責めに耐えられるはずも無く、瞬く魔に尿道に入る力が緩んでゆく。
 ――駄目っ! また…イッちゃうっ! ……漏れちゃうぅぅっっ!
 もう我慢できない……失禁することを覚悟した磔天使の目の前が真っ白になリ――
「っひっっ!? んひひぃぃぃぃぃっっ!?」
 漏れない…絶頂に達したのに漏れない。頭に火花が飛び散っているのに、秘部から黄金の水が漏れ出ない。まるで何かで蓋をされているかのような、尿が尿道で止められているような感覚に、ユミエルは困惑しながら頭を真っ白にさせる。
 天使の尿道を責めていた小触手は、その穴を閉じるようにして蠢いていたのだ。魔力を帯びているらしく、緩んで今にも出そうにっているはずの黄金水が止まったままだ。まるで必死で止めているかのようにくねりながら掻き回しているのである。そしてその度に凄まじい官能電撃と、尿道を駆け上がる排泄感が全身を蝕み、そのまま触手の動きに連動するかのように、磔天使の腰もくねりだしてゆく。
「んぅぅぅぅっ! おひっこぉぉっっ…ほれほうなのにィ……ほれな――あぅあぁぁぁぁっっ!」
「ひぅぅぅっ! 凄い……気持ちいいよぉぉっ!」
 排泄寸前を含む快感美に身体を蝕まれ、浅い絶頂を迎え始めながらユミエルは男根を咥えたまま美顔を動かしまわる。その動きに連動して、咥えられている淫茎も激しい快感が襲い、少年を悦ばせてゆく。
 その光景を穏やかな表情で見ながら、瞳はゆっくりと言葉を紡ぐ。
「……この子が、イクのと同時に…お漏らしさせたいの………」
 そう言うと同時に、触手の動きが止まる。それと同時に磔天使を苛んでいた尿道がきつく締まり、限界のところまで来ていた尿がまた内側に引いていく。
「――っっんふぅぅぅぅ…んふぅぅぅぅ…っ! ふぅぅぅ………ふぅぅ…っ」
 尿道責めの快感を止められ、奉仕する事も忘れて息を整えるユミエル。必死に身体を落ち着かせながら、瞳の方を向く。
「……そんな惨めな…悠美を見たいの……それにこの子…もし先に、イっちゃったら……きっと泣いちゃう……」
 そういって二人を見ながら瞳は、快感で呆けている巻幸の頭をその頬で優しく撫でる。それは妖艶な自身の姿には場違いと思えるほどの優しい顔であった。
 その表情を見てユミエルも恵理子も、彼女なりに想って動いているのだと悟った。
 彼女が少年を救うことを優先に、自分の中にある邪な影を…悠美を弄んで喜ばそうとするという邪悪な欲望を満たそうとしている…彼女もまた影を取り払おうと必死に戦っているのだと。なぜ「巻幸が泣く」のかは分からなかったが、きっと彼女なりに終わった後のことを考えているのだ。
 ――……新野さん……恵理子……………もう…私……
 快感で頭を真っ白に去れ、思考が半ば快感に溺れていた状態のユミエルにはそれ以上を考える余裕は無かった。咥えたままでいた少年の亀頭をそのまま飲み込み、再び竿部分までを刺激し始める。またして求められた少年への奉仕を再び始めたのだ。…そしてそれは、瞳の陵辱を受け入れることをも意味していた。
「んむぅぅぅっ…! んちゅぅ…ちゅう…ちゅんっっ、むんぅぅぅぅっ!」
 亀頭から竿の中まで…吸盤がパクパクと動いているその肉棒を飲み込めるところまで飲み込んでは思いっきり引きぬき、また口の中まで咥えこむ。
「―ひっ! ひゃぁぁっ! お…おねえちゃんっ、急に……はうんぅぅぅっっ!」
 急に激しいフェラチオを再開され、巻幸は素っ頓狂な嬌声を上げて悶える。その気持ちよさに、思わず腰を前に出すような仕草をしながら身体をくねくねと動かしてゆく。
「瞳……悠美…………………………………………………んぅんっっ……ちゅ、ちゅう……んむぅぅっちゅぅぅぅっ…」
 親友が奉仕を再開した…彼女達の想いと覚悟が分かった恵理子もまた、再び巻幸の睾丸を舐め始める。ゆっくりと舐め上げてはその口に含ませたりして、緩急を付けながら刺激する。
「……」
 その二人の行動を見た瞳も覚悟を決めたような表情をすると、天使の秘部に貼りついていた小触手を動かし、再び尿口を刺激する。先程の快感を忘れられずヒクヒクと震える小さな穴に入ろうとするかのようにブルブルと震えながら蠢く。
「ふむぅぅぅっ! んんぅぅっっ! …んひゅっっふ! ふちゅうぅぅぅっ!」
 再び訪れた衝撃に、ユミエルはまたしても身体全体の力が緩み、尿意が込み上げて…また止められる。浅い絶頂だけが脳へと先走り、放尿感を寸前で膀胱を止められる苦しさと快感が身体全体を支配する。秘部から流れ出る恥蜜で小触手を濡らし、十字架を咥える肛内が自虐的に締めつける。しかし天使の口はもうその快感で止まる事は無い。むしろその快感から逃げるように、口奉仕が激しくなる。まるでその肉棒に救いを求めるように口奉仕を行うその姿は、淫茎に媚びる淫猥な雌犬を彷彿とさせる。
 ぬちゅぬちゅ…ぴちゅっぴちゅ…
 イヤらしい粘音が教会に響き渡る中、互いが互いを辱める淫猥で偏執的ともいえる痴態は……長く続く事は無かった。
「はぁっ! はぁっ! ああはぁっ! な、何…っ!? 何かっ…込み上げてくるぅぅっ!」
 淫形を弄ばれている巻幸は、内側から込み上げてくる何かに声を荒げながらそのことを訴える。
 磔天使の小さな口に包まれて以来、彼の淫茎は休む間を与えられる事は無かった。その柔らかく滑らかな、それでいてきつく口内に締められ続けて無事ですむ筈がない。いよいよ限界を向かえ、唾液まみれで怪しく光る剛棒は今にも爆発しそうなほどに震える。竿の吸盤の脈動が一弾と早くなって僅かながらも吸引力が強くなり、天使の小さな口内を更に締め上げてつけてゆく。
 その様子に、ついに限界が来たことを悟った三人は互いに最後のスパートを駆ける。
「みゅぅぅぅぅっ! いいよぉっっ! だひてっ…はまんひないでっっだひてぇぇぇっっ!」
「んちゅっ! んぅぅっ! んにゅっんにゅぅっ!」
「……そう…それを…出すの……早く出して…楽に、なって………」
 絶頂の淀みに流されながらも健気に奉仕するユミエル、同じように刺激する恵理子。そして支えていた少年の腰を動かしてまで淫茎を上下に動かしながら、天使の尿道を弄びつづける瞳。三人の献身かつ淫猥な愛撫に、魔に蝕まれた肉棒が遂に激しく痙攣する。『ビクンッビクンビクンッ!』と震え、高ぶりきった亀頭が膨張してゆく。
 そして、愛撫され切った男根が限界を超え、爆発したかのように欲望を解き放つ――
「だめっだめぇぇっ! 出ちゃうぅっ――何か、出ちゃうぅぅっ! 気持ちいいのが……出ちゃっっああぁぁぁぁぁぁっっ!」
「っっ!」
 獣のような叫び声を上げながら、巻幸はその束縛された腰を上げてしまう。腰が上がった弾みで、男根が天使の口を更に侵食する。それと同時に、天使の秘部にある尿口を刺激していた触手がその場を離れる――
 『どぴゅるるるっ! どぴゅるるるるるっ! どぴゅるるるるるっ!』
 『ぷしゃぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!』
 責められている二つの秘部が決壊する。欲望の解放と排泄の背徳感が、教会内に満ち渡る。
 欲望を解放された少年の男根は凄まじい勢いで白濁を噴出し、天使の喉奥を埋め尽くす。口の中はあっという間に雄肉と精液で見たされ、涙に濡れた頬はあっという間にぷっくりと膨れ上がってゆく。
 それと同時に、天使の股間からは黄金水が激しい勢いで吹き出た。今まで膀胱に溜められていた尿道で爆発しただけに噴出する勢いは凄まじく、近くにいた恵理子のスカートを、瞳のレザードレスを勢いよく濡らしていく。
「ぶぐぅぅぅっ! ごむっ、ごむっごむっ…ごぶぅぅぅっっ!」
 失禁と絶頂…それを悶える間もなく、口の中にあふれ出てきた欲望を受け止めるために必死に飲み込んでゆく聖天使。若々しい性臭溢れる精液が喉の奥を満たしてゆく。しかし初めての絶頂を体感した雄の射精をそんなもので押さえられるわけがなかった。
「ひあぁぁぁぁぁっっ! と、とまらないっっこれっっ! とまらないよぉぉぉぉっっ!!」
 涎を垂らしながら声を荒げる巻幸の言葉どおり、あっという間にペースが追いつかなくなってゆく。そして口内での限界超えたユミエルは思わず精液を噴き出す。それでも収まらない剛棒からの噴出に天使の呼吸も続かなくなってゆく。
 ――こ、こんなに…っ! い、息がっ出来なっっ…あはうぅっ!?
 欲望を口で受け止める事が出来なくなってきた聖天使は必死に肉棒から逃げようとする。しかし咥えている肉棒の吸盤が吸引し、包む口内を逃げないように吸い上げてくる。決して強い吸引ではなかったが、口の動きを遅くしてしまうには十分だった。
「ぶぐっっ…ごぶぅぅぅぅっ! ぶくはっぶぅぅぅ――――んっぷはぁぁっ!?」
 遂にその勢いに耐えきれず、口が嚥下し始める。咽び始め、息が詰まりそうになってきた時……不意に肉棒が口から引きはがされる。ユミエルの状態を見据えた瞳が、抱えていた巻幸を後ろに引かせたのである。
「ごぶっ! ごふっごふごふっっ、ぶはぁっっ……ぁあああぁぁぁぁっ!」
 空洞が開き、咽びながら空気を求める磔天使。離れた勢いで磔られた十字架に頭を打ち付けることも気にせず、必死に息を整えてゆく。だがそれが落ち着く間もなく、汚濁と…失禁の快感がユミエルに襲いかかる。
「ひぁぁぁぁっ! すごっっこんなに、こんなにたくはんっっ! あぅぅぅぅぅっ!」
 なお肉棒から噴出する雄ミルクのシャワーは、磔られている聖天使を真っ白に染め上げてゆく。その美しい幼顔や髪を、剥き出しになったCカップもある美乳や白き美肌を、天使の証である白き聖衣や金色のアクセサリー、そして光る翼をさらに白く汚してゆく。さらに十字架の後ろ床だけでなく、前にいるはずの美少女達すらも秘末を飛ばすほどの勢いで、その場にあるものを征服してゆく。そして征服されてゆく聖天使は、花園から勢いよく恥蜜…そして溢れ出す黄金水で二人の親友を汚しながら、排泄感の絶頂に溺れる。
「ひぃくぁぁぅぅっっ! ら、らめぇっ! よけてぇぇっ! みんなよけてぇぇぇっ! あふぁぁぁぁっっ!」
 失禁しながらユミエルは目の前が真っ白になりながらイき狂う。イき狂いながら敏感になる身体に精液を浴びて更にイってしまう。そんな連続絶頂の最中でも、親友が汚れるのを必死に回避しようと叫びながら腰を動かして尿が飛ぶ方向を変えようとする。だが同じように汚れても構わない親友達にとっても、磔られている自分にとってもそれは無駄な抵抗でしかなかった。勢いの止まらぬ黄金水を浴びることをやめず、びしょびしょに濡れてゆく服を嬉しそうに感じてゆく。
「イクぅっっ! みんなっっよごしてひまうのっ、とまらないのぉぉぉっっ! っあはぁぁぁああぁぁぁぁぁぁっっ!」
 汚し汚され、ユミエルは惨めな姿を晒しながら絶頂に溺れる。その叫びを教会に響かせ、何時終わるとも知れぬ白濁の雨と失禁の解放感に浸りつづけてゆく―― 
* * *
 幼い剛棒が放つ欲望の雨が終わりを告げる。そこに残る全身を汚濁に濡らした天使が頭を垂れていた。
「はぁ…はぁ…はぁ…っ! はぁ……はぁ………あぁぁ……っ!」
 未だに絶頂の余韻が抜けぬままに、性臭を味わいながら呼吸を整える。その臭いだけでまたも達してしまいそうになりながら、ユミエルは何とか顔を上げ…三人の姿を確認する。
「…すっかり、汚れちゃったね……」
 既に立ちあがっていた恵理子はその手を伸ばして聖少女の頬に触れ、纏わり付いていた精液を優しく取り払う。
「恵理子っ……やぁぁ…み、見ないで………」
 親友達に今の姿を見られ、聖少女のふやけた心に羞恥心が沸き起こる。快楽で涙と共に紅く染まっていた顔が更に紅潮する。
「どうして…? ここには……私達しかいないのよ…気にする事なんて、ない……」
「うぅん……こんな惨めな姿………やっぱり、恥ずかしいのぉ……」
「……確かに、惨めね…」
 二人の会話に割って入るかのように、巻幸を地面に降ろした魔姫が眼前にまで迫っていた。
「……こんなに穢れて…よがりくるって……惨めに、踏み躙られる…貴女にはお似合いね……」
「やぁぁ……っ。そ、そんな事……っうっむぅぅ…」
 さらに顔を紅潮させる聖少女。だがその紅顔を逸らすよりも早く、小さな口に魔姫の舌が侵入してくる。そのまま舌で口内を捏ね回しながら、頭に手を乗せ『いい子いい子』するかのように優しく撫で上げる。それはまるでこびり付いた雄汁を取り除くかのようでもあった。その行為を少し行った後、魔姫はその口からゆっくりと舌をぬいた。
「うみゅっ…あぁ…新野さん……」
「……でも…凄く綺麗………イールが…穢れても美しい…なんて、言ってたけど……本当に…そう思う……ちょっと、羨ましい……」
「そ、そんな事…無いよぅ……やぁ、やぁ……」
 貶され、それでいて羨望の眼差しであやしてくる瞳の視線に、ユミエルは恥ずかしい気持ちで一杯になった。更に溢れる涙を止められず、未だ精液が残る顔を小さく振る。そんな天使の姿を見つめながら、瞳は手に付いた男汁を舐める。
「……レイやイールより…すごいかも……でも…あいつ等のは…気持ち悪い…だけだったけど……この子のは…美味しく感じる……」
 確かに見ようによっては、以前十字架に磔て配下に陵辱させた時よりも凄いことになっているかもしれない。しかも、その時よりも若く純である事が、不快感を全く感じさせない…むしろ心地良さを感じるのだ。
 そんな風に思いながら舐め上げた手を見つめながら、少し苦笑しながら瞳……しかし次の瞬間ハッとなって、後ろに置いた少年の方を向いた。
「……巻幸…君?」
 その言葉に、他の二人もハッとなって巻幸の方を向く。欲望を解放された少年がどうなったか、未だに分からないままだ。不安を胸に込めながら、彼女達の視線が膝を突いている少年を発見する。
 
「お姉ちゃん…」
 巻幸は呆然としていた。目の前にいる、白濁に埋もれる聖少女を見つめて。七色のガラスを通し、月夜の光りが照らすその姿は、最初に見た時よりも淫美に醸されていた。その姿は欲情をそそるには十分過ぎるものであった。しかし…
(僕……こんな…こんな、酷い事を……)
 少年の幼い頭には、それの何が酷い事…悪い事なのかは分からなかった。しかしユミエルが自分の中から吹き出たもので滅茶苦茶にしてしまった事は一目見るだけでも分かる。快感から解放され、理性が戻ってきた巻幸は…それを見るだけでも、心の奥底から悔恨と後悔が止まらなかった。
「お姉ちゃん…お姉ちゃん…お姉ちゃん……っ」
 うわ言の様にユミエルを呼びながら、立ち上がって一歩一歩歩み寄って行く。目の前にいる二人の女性など目にもくれず、そのまま十字架にいる磔天使のもとへと歩み寄る。
「お姉ちゃん………………ごめんなさい……!」
 目に溢れる涙を流しながら、自ら放った精液で濡れている聖少女に抱きついた。自らも雄臭に塗れることも厭わず、その美丘に顔を埋めながら強く抱きしめてくる。
「きゃぁっ……ま、巻幸君…」
「ごめんなさい……! 僕っ…僕……っ!」
 悪い事を、取り返しのつかないことをしてしまった。自分の『悪い力』で、大好きなお姉ちゃんを苦しめてしまった……そんな後悔に苛まれながら、呪詛のように少年は謝罪する。
 ――この事だったの……新野さんが言っていたのは…
 胸が締められるような泣き声を聞きながら、ユミエルは魔姫が先程呟いた言葉の意味を理解した。こんな年端もいかぬ子供にとって、自分を救ってくれくれた者が苦しむ姿は本当に辛いものなのだ。それも自分のせいで、自分の手によるものならなおさら……かつて自分も、義母に同じようにして酷く汚して苦しめてしまったことがあるのだから、この子の気持ちがよくわかる。
 この少年も、本当は優しい心の持ち主なのだ…あの後に、愚かにも欲望に溺れた自分よりも……
「……いいの。もういいの…」
 濁った白と紅き肌に塗れながらも、慈母のような優しく微笑む天使。微笑みを向けながら、泣きじゃくっている小さな異性に顔を寄せた。
「あなたが、助かった…私達にとってはそれで十分嬉しいの……だから、もう泣かないで…ね?」
「そうよ…悠美も望んでやった事だから……あまり自分を責めないで……」
 聖母のような優しい声であやすユミエルに恵理子も加わり、二人がかりで巻幸をゆっくりと諭してゆく。だが…
「で、でも…でもっ! こんなこと…こんな……酷い、事…ひっく………」
 少年の泣きじゃくる声がやまない。理屈でない、自分が好きな者に酷い目にあったことがどうしても辛いのだろう。ただ泣かせてあげる事しか出来ない…そんな様子にどうすれば良いのかわからず、二人が困り当てて――
「……大丈夫……酷いことをしたのは……あなただけじゃ、ない…」
 震える肩にその手を置く魔姫の言葉が、泣きじゃくる巻幸の心に響き渡る。その視線をゆっくりと少年の視線へと降ろし、その耳元から繋ぐ純な心を包むような言葉を紡ぐ。
「……あなたは…助けてもらいたくて…彼女を探していたのでしょう……? それなら…彼女が苦しむ結果になるのは、当然のことだよ……それに…その事をいうなら……私なんか…彼女を…滅茶苦茶にした、大悪党ね…」
「うぅ…でも……」
「……それに…天使様もね……あなたと、同じように…気持ちよくなって…酷い事したから……おあいこね…」
「…え?」
 そういって立ち上がった瞳は、思わず振り向いた巻幸に見せ付けるかのようにレザードレス、そのスカートの一部を持ち上げた……花園から溢れた黄金水によって濡れたスカートを。
「あ……」
「……これね…天使様のお漏らし……さっきあなたがお漏らしてたとき…天使様も一緒に………酷いよね…」
 ――やぁぁ…そ、そんなこと…いわないでぇぇ……
 魔姫の辱めを擦り付けるような言葉責めに、ユミエルは悲しさで心が苛まれる。しかしそんな様子を気にすることなく、瞳の言葉は続く。
「……でもね…ユミエルお姉ちゃんは…あなたが酷いことすることを…最初からわかってたの……だから、自分も一緒に悪い子になって……自分も一緒に責められようとしたの…あなたをかばう為に……
今自分を責めたら、お姉ちゃんも責めることになっちゃう……だから、ね………」
 ――え…?
「……僕の…為に…」
 そう言いながら巻幸の肩に手を置く瞳を見つめる三人。そしてそのまま互いを見つめあったユミエルと巻幸。そして、瞳が自分を使って少年の苦しみを和らげようとしたことを理解したユミエルは…黙って一つ頷いた。
「お姉ちゃん………」
 もしまともな思考なら明らかにおかしいと思う説明…それを巻幸は真っ直ぐに受け止めていた。そんなに想ってくれているユミエルの優しさが伝わったのだ。たとえそれが、間違った説明のものだったとしても。
 それほどに彼のユミエルを想う気持ちは強いのである。
「………ありがとう…お姉ちゃん……ありがとう………っ!」
 再び溢れる涙を流しながら、巻幸は言葉を紡ぐ。抱いている腕を絡め、涙でくしゃくしゃになった顔を美丘に埋めながら、返答を謝罪からお礼に代えて。
「巻幸君……」
 巻幸はもう自分のことで悔恨に苛まれることはない……その事に、ユミエルが安堵の表情を迎えた。そしてそのまま瞳のほうを向く。
 たとえ自分を貶めることが含まれていても、それで少年の心を救ってくれた。自分と恵理子ができなかった事を、代わりに成し遂げてくれた。
「新野さん…ありがとう……」「瞳……ありがとう…」
 ゆっくりと少年の方から手を離した親友に、二人の少女はお礼の言葉を紡がれる。少年の心を救ったことを嬉しく思うのは、皆同じなのである。
 その言葉に瞳はユミエルを、そして近くに来ていた恵理子のほうを向く。
「……悠美…恵理子……」
 思わず振り向いた瞳の穏やかな顔頬を、恵理子の手がゆっくりと置かれた。そのままゆっくりとさすられ、瞳の顔が恍惚に崩れる。
「………でもね……っ」
 ゆっくりと紫の頬肌をさする恵理子の手……しかしその言葉の次の瞬間、ぎゅっと握られるとともにその頬を抓る。
「っい!…痛……っ」
「もうちょっと、まともな説明をして欲しかったのだけどなぁ……っ!?」
 優しい笑顔を絶やさぬままに、頬を抓り上げる恵理子。さすがに先程の責めには恵理子も許せないところがあったらしい……
「……い、痛いよ…恵理子……いたひ…ひたひ……」
* * *
「でも…なんにしてもよかった。これでこの子も安し……………………え………っ!?」
 瞳への怒りをぶつけ終え、痴態が終わった恵理子がようやく安堵の言葉を呟いて……彼女の顔が驚愕に変化する。眼鏡のなかに光る、未だに反り立って脈打つ小さな雄の股間にある男根を目撃して。
 竿は小さく震えながらも、落ち着きを取り戻してはいなかった。竿は必死なって反り立つことを止めず、小さな吸盤の山はパクパクとその口を開閉し、汚濁を吐き出した亀頭の先は外気に触れて小さく震えていたのである。
「そ、そんな……あれだけ出したのに……まだ…」
 あれだけ盛大に欲望が解放されたというのに、少年の陰茎は未だに影の支配から解放されていたわけではなかったのだ。その事に、安堵していた恵理子の心が再び不安と羞恥で覆われ、身体が地面に崩れ落ちる。
 だが他の二人…天使と魔姫の表情には、恵理子ほどの焦燥はなかった。
「……何言ってるの……影魔のこれが……たった一回で収まるわけない……恵理子も、何度も見てるでしょ……?」
 抓られて赤く腫れた頬をさすり終えた瞳は、巻幸のペニス…その亀頭に手を添え優しく摩る。
「…ぁあぁぅ…っ! ま、待って…そんなっ……あぁぅっ!」
 再びしなやかな手に触れられ、巻幸の悲鳴が漏れる。しかしそれは苦痛に震える声ではなかった。先程の官能遊戯は、少年の小さな雄の証を一気に大人のものへと伸し上げ、大人の愉しみを覚えさせたのである。
 優しく弄られ、外からの刺激に慣れ始めた陰茎は甘い痺れをもたらし、少年に嬌声をもたらしていたのである。
「……でも…さっきより、ずいぶん力が弱まってる……これなら……もう一度抜けば……」
 そう言いながら、瞳はゆっくりとペニスから手を離した。それと同時に巻幸の声が途切れ、息が荒げる。
 彼女の言うとおり、一度欲望を開放したことで巻幸の陰茎は先程よりも一回り収縮していた。未だにその逞しさは失われていなかったが、震える竿も蠢く吸盤たちもその動きがゆったりとしていたのである。
 また彼自身から発する影の邪悪な魔力もまた、先程と比べても大幅に減退していた。それ程に先程解放された欲望が大きかったのである…それは折りしも、磔天使と彼への責めも激しかったという裏返しでもあったが。
 いずれにせよこのまま続ければ、彼を蝕む『欲望』を全て消滅させユミエルの聖なる力で彼を元に戻せることは間違いなかった。
「……それじゃぁ…また、天使様に…悪い力…抜いてもらおうね……」
「…やだ……」
「……え…?」
「僕…もう、お姉ちゃんに酷い事……したくないよ…!」
 再び腰を掴もうとした瞳の手を弱々しく掴み、首を横に振りながら巻幸はその行為を拒絶しようとしていた。
「っ……駄目…!」
 その言葉に、羞恥と快楽に半ば淀んでいたユミエルも驚愕する。そして身体を前に寄せようとしながら必死に訴え始めた。
「その悪い力は…放って置くと、人を化け物の姿に変えてしまう……そんなになったら…あなたを討たなくちゃいけなくなる………!」
 弱々しくも力強く訴えるユミエル。それは心ならずも多くの影魔を討ってきた少女の願いでもあった。影に蝕まれたとはいえ人の命を、自らの使命という理由で奪ってきた日々…それを今度は、自分を頼ってきた小さな命に課すなど、今の聖少女には絶対に聞けない相談であった。
「…私のことなら、大丈夫……絶対に助けるから……だから…ね…?」
 十字架に拘束され動くことは適わなかったが、できることなら少年を抱きしめたい…そんな思いでユミエルは必死に微笑みながら巻幸に訴えた。その微笑みは汚辱に汚された今でもなお清楚さと優しさに包まれたものであった。
 だが、今の巻幸にはその優しさは逆に辛いものであった。苦しみという感情に苛まれた巻幸が、それを通して思わぬ言葉を口にしてしまう。
「僕だって……今の自分が怖いよ…助けて欲しいよ………でも…これ以上、お姉ちゃんに酷い事するくらいなら……化け物になったっていいっ!」
 身の切るような巻幸の叫びが教会内に響きわたる。しかし――
『パァンッ』
 次の瞬間、続くように乾いた小さな音が教会内に響く。そのまま少年の顔が小さく揺れた後、目が大きく見開かれる。
「え…」
 自分が手を上げられたことを察した巻幸がそちらのほうを向くと、そこには振り下ろした手を止めたまま見つめている恵理子の姿があった。少年を罰したのは恵理子であった。
「甘えないでっ…!」
 そう言って巻幸の傍に膝を下ろし恵理子は告げた。その表情は険しく、そして悲しかった。
「自分が化け物になって苦しめば悠美が救われるとでも思ったの? そんなこと誰も喜ばないよ! そんなの…私も、悠美もいやだよ……」
「……そうね……。悠美も恵理子も…あなたを救いたいからこそ……酷いことをされても…平気なの……」
 恵理子の言葉を繋げるかのように、ずっと巻由の腰を掴んでいた瞳が語ってゆく。
「……それに、もしあなたが化け物になったら…こんな程度じゃすまない……。ここにいるお姉ちゃんだけじゃない…私たちも…あなたの周りの人も……全員に同じように、酷いことをしてしまうんだよ……!」
 穏やかな表情とは裏腹に、瞳は厳しいことを伝える。その内容は余りに説得力のあるものであった。特にかつて彼女に踏みにじられたユミエルにとっては。
「…そんな…っ! そんな……っ」
 二人の女性からの非情な説明に巻幸は衝撃を隠せない。己が浅はかさがユミエルを傷つけるといわれ、純な心はまたしてもユミエルへの後悔と悲痛に苛まれてゆく。
「……大丈夫……」
 そんな巻幸に救いの手を差し伸べるかのように、瞳が穏やかな声で呟く。
「……これからやるのは…とっても気持ちいいこと……お姉ちゃんも…とっても…気持ちよくなれる…ことなの………全てが…酷いことばかりじゃないから……安心して………」
「…ほんと…?」
「……えぇ……今までだって…悪い力で…天使様も…気持ち良くなってくれてたんだよ……ね…恵理子……」
「…えっ……あの…気持ちよくなった云々はともかく……」
 急に痴態の話題を振られ、恥ずかしさに顔を紅潮させながらて少々慌てふためくも、巻幸が落ち着きを取り戻したことに恵理子の表情に穏やかさが戻る。そのまま恵理子も言葉を続けた。
「さっきも言ったように、これは悠美も望んだことだから…確かに、本当はいけないことだけど……今だけは…ね?」
 言葉を終え、優しさと悲しさを秘めた眼で見つめる恵理子。その視線に見つめられ、巻幸の眼に涙が込み上げてゆく。
「ごめん、なさい……御免なさい……」
 その緩んだ目から涙を流しながら、巻幸は謝った。自分の浅はかな言葉で皆を、お姉ちゃんを傷つけてしまったことを。こんなに思ってくれている皆を裏切ろうとしたことを…
「うん…私のほうこそ、怒ったりしてごめんね…」
 その巻幸の打った頬をさすりながら、恵理子もまた、思わず感情に任せて怒りをぶつけてしまったことを謝った。
 その光景を先程の位置から見続けていた瞳。そして今もなお磔られながもその光景を見守っていたユミエル。二人の少女の表情も嬉しさに満ち溢れていた。
 とくにユミエルは自分のせいで少年の心を傷付けてしまったことが本当に辛かった。そして、それが助かったことが本当に嬉しかった。
 ――巻幸君…良かった……新野さん…恵理子…ありがとう……
 いまだに被虐の連続絶頂の快感が覚めやらず、表情も快感による緩みも治ってはいないが、それでも精一杯の感謝を…その表情に込め、心で伝えていた……
「……さて。それじゃあ…今度こそ、悪い力…抜いてもらおうね……。もちろん、天使様のも…一緒にね……」
 巻幸が泣き止み落ち着いたのを確認し、微笑む魔姫によって『陵辱』の再開を告げる。先程と同じ穏やかな、それでいて多少の加虐心の含まれた口調で……やはり彼女は、この状況を楽しんでいるのだろう。
「で、でも…どんな風にすれば……は、はぅあぁっ…!?」
 巻幸は瞳の言葉に関して尋ねようとして…不意に襲われた感覚に声を上げてしまう。何が起こったのかわからず異変の元に顔を向けると…今だに力強く反り立ち、吸盤がプルプルと震えている異形の肉棒に、細くてしなやかな手が包むように添えられていのだ。
「……ふふ。それはね………これで…あそこを挿してあげるの……」
 添えた手に感じる吸引感を楽しみながらゆっくりと扱きたて、嬉しそうに呟く瞳は、その手で包む男根を目の前の聖少女に向けた。それもただ向けるのではなく、十字架に磔られているその天使の身体のデルタ部分ともいえる場所……恥蜜に濡れそびれ、充血しきった今もなお、桃色の輝く肉唇を指した。
「…っ! …や…やぁ………っ」
 女の子として最も恥ずかしい部分に焦点を当てられたことを知り、少女天使は恥ずかしさで思わず顔を横に背けてしまう。その幼顔が先程にも増して紅潮し、汚辱に穢れた金髪も垂れたように下に伸びた天使の羽も、羞恥に震えるかのように小さくに揺れた。
 だがそんな羞恥心も、陵辱でほぐれてしまった身体にとっては快感をもたらす呼び水でしかなかった。視線だけでなく、その逞しい男根さえも向けられた女陰からは、快感がもたらす愛液が再び流れ始めていたのである。まるでこれから行われる行為に期待するかのように…
「あ……でも……あそこは…その………」
 そんなユミエルの痴態を尻目に、巻幸もまた羞恥と戸惑いで言葉が詰まっていた。瞳が告げた言葉の意味を理解したからだ。そしてそのことを確認するかのように、それを教えた少女のほうを向いた。
「え? あ……それは……あの……」
「あ、赤ちゃん……出来ちゃうかも…しれないんだよ、ね……?」
「…う、うん……」
 先程の『教育』のことで話題を振られ、恵理子は急に恥ずかしさで頬を赤らめ俯いてしまう。それと同時に…瞳とともに、先程自分の語った『教育』の説明が脳裏に甦る――
 (女の子のあの部分…男の子のとぜんぜん違うでしょう? あれはね…ただ違うだけじゃないの。その…男の子の……それ、をね…受け入れるようにも出来ているの……
  そしてね……それを受け入れた後に、男の子のものから放たれるもの…おしっことは違うんだけど……それを女の子のあそこが受け入れるの……
  そうしたらね……女の子のあそこが、それを『命』にして生まれ変わらせるの…私達という『人間』に……長い年月をかけて、『赤ちゃん』って形で…
  私も君も、そうやってこの世界に生まれてきたんだよ……)
 その場に流された事も確かにある…けれど、年端も行かぬ子供にとんでもないことを教えてしまったものだと、今更ながらに後悔してしまう。しかしそのことをどうこう考えるよりも早く、巻幸の更なる問いが恵理子の心に突き刺さる。
「…でっでも、僕なんかが…赤ちゃんなんか、産ませていいの…? 僕…赤ちゃんなんて……育てるなんて……」
「…あっ! それは……」
 無論良い訳がない。そもそもまだ見知りあったばかりの男友達と、いきなり子供を孕ませて貰うなど正気の沙汰ではない。ましてやこんな子供に、赤ちゃんを育てるなど不可能だ。そのことは先程の時にも十分に『説明』してある。
 (赤ちゃんは…命というのはね、簡単に生み出していいものじゃないの。その子を…本当に最後まで育てるだけの『力』と責任があって、初めて生ませる資格が生まれる……
  君はもちろん……ここにいる誰一人だって、そんな資格は持ち合わせていない……だから今…私達がしようとしているこのことは、他の人には絶対にしちゃ駄目…!
  君が本当に『好き』な子が出来て…その人と、生まれてくる子を守り、育てるだけの力を身に付けるまでは、ね…)
 人間として大切なこと…その時はそれがもっとも必要なことだと思った――そのことが今のこの状況に対する矛盾に、巻幸も恵理子も苦悩しているのである。
 無論、性行為をしたからといって、必ずしも生命を紡ぐとは限らない。そのことは恵理子も何度も目撃してきたし、瞳がそのことを巻幸に伝えている。
 だからと言って、先程の言葉を覆すような行為を認めて……もし親友を妊娠させてしまったら? そうなったらユミエルや巻幸だけじゃない、生まれてくる子供にとっても不幸なこと……
 どうすればいい? どんな風に話してあげればいい? そんな思い当たらず恵理子は苦悩の波に飲まれようとして――
「……大丈夫……今のあなたなら…天使様を妊娠させるなんて事…絶対にない……」
 再び横槍を入れるかのように瞳の声が、二人の耳に響く。それはまるで彼女達を苦悩から救うために放たれたかのように響いていた。
「ちょっ…瞳! …またそんな、根拠のない事言って……」
「……影魔の精液って……どんなに注ぎ込んでも…妊娠しないようなの……少なくとも……私の知りうる限りでは…そんな話を聞いたことなんて…一度もない……」
「で、でも…! それはたまたま…その…その時だけ、運良く避けれただけじゃ…」
「……以前…私が悠美を踏みにじったとき……トードやエルのを…お腹いっぱい、注ぎ込んであげたけど……全然、妊娠しなかったよね……それに、私達と会う前にも…あの子…他の奴にも、いっぱいやられてたけれど……そんな様子…全然なかった……」
 下級の影魔の精液には生命力そのものが存在しないのか、それともユミエル自身の聖魔の力が浄化してしまうのか。
 ともあれ瞳は、悠美が天恵学園にやってくる前に何度も影魔と戦い犯されてきたこと、そしてその影魔たちがそれまでにも多くの女性を犯して膣内射精を行ってきたことを知っていた。そしてそれらの全てが、ただの一度たりとて妊娠に繋がってないことを。
 だからこそ彼女は確信を持って言えるのだ。今の巻幸がここでユミエルの膣内で汚辱を吐き出しても、それが生命を営むことにはならないのだと……もっとも、十年と少し前の一件を彼女が知っていればその考えも少しは変わっていたかもしれないが――
「……ね…悠美…?」
 ――…あっ……やぁ…そんな、事………言わない、で……っ
 急に自分のほうに話題を振られ、かつての痴態を蒸し返された磔天使はその羞恥と屈辱に身体を震わせてしまう。だが必死になって恥辱に抵抗しているその振り方は弱々しく、拘束されているその姿は逆にいじらしい。汚された金髪も白肌も、晒されたたわわな乳房も小さく震えるその姿は、逆に可虐心をそそられてしまう程に可愛らしいかった。
「……だから…ね…?」
「…ひっ!? あぁ…うぅん…うぅぅっ……っ」
 そんな聖天使の姿を見据えた瞳は、少年の耳元で甘い声を出しながら、手に添えた竿を回すようにして刺激してゆく。そこからもたらされる快感は微弱ではあったが、そんな快感にすら若い陰茎は反応してしまう。その快感に再び弱々しく悶えながら蝕まれてゆく少年の思考に、魔姫の甘美な誘惑が囁いてゆく。
「……今だけは…なにも考えなくても良いから……一緒に気持ち良くさせよう……ね…? ほら……天使様も…本心では…あんなに誘っているんだよ…………」
 その言葉を最後の一押しとするかのように、紫紺の魔姫が堕落への最後の一歩を少年に促す。それと同時に、磔天使の足元を拘束していた触手が蠢きはじめる――
「あっ………あっ?」
 ユミエルがその異変に気付いて足の方を見る。そこでは両足を拘束していたものとは別の触手が片足に絡みついてきていた。まるで捕らえるかのように、純白のバトルブーツに巻きついてくる。そして巻きついた触手が蠢きを止め…今まで両足を縛っていた触手が、その拘束を緩めてきた。
 ――…え? な、何………あ…っ
 自分が磔られてから両足をずっと縛り上げていた触手が一瞬だけ解かれ、ユミエルは重力を肌で感じる。しかし次の瞬間、再び身体を縛られるように持ち上げられた感覚に引き戻される。
十字架から解き放たれた足首から下を、別々の触手が絡んできたのだ。すでに恥蜜で濡れきっていた純白の靴に『ぬちゅっ、ぬちゅっ』っといやらしい音を立てながら、先程と同じ様にしっかりとその身体を持ち上げていた。そしてその身体が固定されたのを確認すると、直立していたその両脚を左右に引っ張ってゆく。
「…きゃっ? …あっ、あぁぁ……っ!」
 思わぬことにユミエルは声を震わせ、なんとかして脚を閉じようとする。しかし快感にやられ抜いた身体では全く力を出すことが出来ない。全く抵抗出来ぬままに、その美股をあられもなく開かされてしまい、先程まで十字架と同じ体勢だったその身体は、大の字の状態へと変更させられてしまった。
「あ…あくっ…う……。やっやぁ……こんな……恥ずかしい、よぅ……っ」
 ただでさえ恥ずかしい格好なのに、更なる羞恥の体勢を取らされ、ユミエルは顔を真っ赤にしながら身悶える。プラチナロンドの髪も汗ばんだ美肌も、前方に突き出されたCカップの双丘も、晒されることに対する羞恥に可愛く震える。
 しかしそんな恥じらいの言葉とは裏腹に、美乳の先にある小さな肉果実はまたしても限界にまで勃ち、薄い金色の陰毛も肉の唇も脚を広げられることによって更に晒され、全てを淫蜜と黄金水で濡らし切っていた花園からは、またしても羞恥と『期待』に反応するかのように新たなる淫蜜を流し、太股を濡らしてゆく。
 そして銀色のロザリオを咥えたままの菊門は、天使の意思とは無関係にヒクヒクと蠢き腸液に濡れそぼっていた。まるで美味しそうに咥え込むかのように締め付けながら、前園から流れ来る恥蜜とともに、聖具を更に穢し続けていたのである。
 流石にお尻の状態は瞳達の場所からは見えなかったが……太股の間から垣間見える銀色の突起物は、七色の硝子から放たれる光によっていやらしく照らされ、まるで小さな尻尾のようになって、お尻と一緒に震えているのである。
「わぁ……す、すごい……」
「……フフ…悠美ったら…あんなに『ママ』を美味しそうに食べて……そんなにこの子の期待してたの?」
 瞳が、そして男根を刺激され再び思考が淀んできた巻幸が、その部分を食い入るように見つめてくる。
「っやぁ……そ、そんなに…見ないで…………っくぅぅっ…っ!」
 女の子としても、戦士としても見られたくない恥部を男の子の前で晒され、そのことを瞳に揶揄され、ユミエルは更なる羞恥に身悶える。そんな羞恥に思わず、必要以上の恥部を隠そうとするも、脚に全く力が入らない。
 しかも晒された秘部や十字架に焦点を当てられたことで、官能に火照り切った身体は更なる刺激を求め動き始める。
「くぁ…あ…あく…っ! …あぁ…あぁぁっ!」
 先程視線で絶頂に達してしまったことで慣れてしまったのか、先程体感した快感が身体を支配してゆく。それを証明するかのように、恥蜜を流している肉唇からは水滴がゆっくりと落ちてくるほどになり、ロザリオを咥えこんでいる白桃もまた、自らの意思とは無関係に挿入物を銜えこんで悦ぶ。
 それらが与える快感と更なる羞恥。それらが再びユミエルを蝕もうとしてゆく。
「あぁっくぅぅぅっ…! あぁっ! あっあ……し、新野…さん……っ!」
 視姦される快感…それが再び自らを蝕もうとする前に、ユミエルは必死に気力を振り絞って、瞳に語りかけてきた。
「……なぁに…?」
「………お、お願い……です……あぁぅっ! …ハァ…ハァ………は、早く…その子のを…私に……私の膣中に……このままじゃ…このまま、じゃ………あくぅっ!」
 快感に身悶えるその身体で、まるで誘うかのような台詞を呟きながら、磔天使は必死になって懇願する。今、自分の囁いた言葉に恥ずかしさを感じ、それに身体を震わしながら。
 …無論、巻幸の男根は最初から受け入れるつもりでいた。彼を蝕もうとする欲望を解放し、そこから救いたいから。だがこれ以上ゆっくりといたぶられていたら、その想いすら失われしまいそうになる…それだけが怖かった。ただでさえ快楽に打ちのめされている今、これ以上快感にやれてしまったら…ただ雄の肉棒に酔いしれるだけの雌犬に堕ちてしまいそうで怖かった。
 何度もそんな状態に陥ってしまっているだけに…残されている意思さえも打ち砕かれてしまう、そうなる前に少年を救いたい。そんな焦りから、自分を辱めるような懇願をしてしまった。
 そんな必死の叫びであり、堕落の宣言のような懇願を聴きながら…しかし軽蔑する節など全くなしに、瞳は恵理子の方を向いて話し出した。
「……というわけ……あの子もこういってるし……だから、させてあげよう……?」
 そんな親友達の語り掛けに、恵理子は溜息一つ付いた。いや、付かざるを得なかった。
 自分にはこの状況を止めることも、代わりの知恵も浮かばなかったのだ。それに彼女達が望んでいる以上…そもそも、その陵辱に交わっている時点で、自分もまたこうやって彼女達と触れ合いたいといっているようなものなのだから。
 苦笑しながら首を振った後…恵理子は瞳の両肩に手を置き、寄り添うようにして語りかける。
「分かった……もう止めて、なんて言わないわ。でも一つだけ約束して。もし何かあったら―」
「……分かってる…三人で…皆でちゃんと、ね……」
 恵理子の願いを理解しながら、恵理子の肌と触れ合う幸せを感じながら、瞳は先程から掴んでいた男根を、向けている方向へと引っ張りながら歩き始める。
「はぁっ! あぅぅ……あぅ…っ」
 天使の方へとずっと向けられていた陰茎を不意に引っ張られ、巻幸は思わず声を荒げて鳴いてしまう。不意に宛がわれた快感に逆らうことも出来ず、なすがままに瞳の引っ張る方向へと歩かされながら悶えてゆく…
 そして、掴まれたまま連行されていた男根…その亀頭がついに、磔天使の濡れきっている花園…その入り口に宛がわれた。
 * * *
 ――あ…熱…っ! この子のが……熱いのが…伝ってくるぅ…っ! やぁ…熱くて…いいよぉ…っ!
 自らの秘部へ…ほぼ垂直に宛がわれた少年の男根を見て、必要以上にユミエルは感じていた。羞恥と快感、恐怖…そして期待――
 未だその牝の秘門に先端が宛がわれているだけだが、発情し切っていた雌の身体にとっては、その温もりだけでも快感になって襲ってきているのだ。
触れ合うだけでこれほどまでに気持ちいい……なら、もしこれが自分の中へと侵入してきたら――
「そんなに…これを、待っていたの? …貴女のここ…ものすごくヒクヒクしてる……」
「や、やぁ…そんな、こと…はぁあんっ! あぁぅ…っ!」
「うぅあぁぁ…っ! うぅ…」
 瞳の指摘に、言い返せずに腰をくねらせてしまう聖少女。確かに否定は出来ない。ここまでにも指に、触手バイブに、視線にと、様々なもので弄くられ、天使の意思など関係なしに何度も絶頂へと導かれてきた女の園。散々嬲られ可愛がられた肉唇は、赤く腫れていながらも未だに鮮やかなピンク色を残していた。しかしすでに快感に蝕まれた淫猥なその口は、開いたまま恥蜜を垂らすことを止めようとしない。あたかも、あふれ出る黄金水を流すかのように……。いや、それどころか更なる快楽を求め、宛がわれた肉棒を今にも飲み込もうと『ひくんっ、ひくん』と蠢いている。
 自らの意思に反し、恥知らずにも快感を求めようとする秘所の蠢き。再びそこに向けられる三人の視線。そんな羞恥責めに、ユミエルは宛がわれた亀頭から逃げるように腰をくねらせてしまう。しかしそれは逆に秘部に密着していた陰茎を擦り濡らし、巻幸を快感で悶えさせた。
 そして瞳の手が宛がわれた陰茎の亀頭は、発情したその牝門から離れることなく、その奥へと今にも侵入しようとしている。
 少年の欲望の象徴とも…魔姫の『復讐』の刃とも…そして皆の想いと快楽を繋げる引き金となる鍵とも呼べるものが――
「……でも、そうしたのは私達だもんね……いいよ…また、いっぱい…いっぱい辱めて…踏み躙って…幸せにしてあげる……」
 『ズプッ』
 悪意なく微笑む魔姫の導きによって、ついに宛がわれていた亀頭が、牝門から秘園の奥へと侵入してきた。
「ひゃぁあああっ!」
「あぁあっ!」
 激しい快感が磔天使の身体に迸る。秘部から太ももを通し、甘い痺れが一気に身体全体を支配する。同時に侵入してきた巻幸の亀頭を、待っていたといわんばかりに肉襞が締める様に包み上げる。その締め付けから来る快感に驚いて、巻幸は身体を後ろに引かせてしまう。
 だが、二人を襲う快感の波はまだ始まったばかりに過ぎない。肉棒の先端が侵入したのを確認し、瞳は快感に悶えるように吸引してくる吸盤から手を離すと、少年の腰…そのお尻に手をあて、そのまま一気に押し上げる。
 『ズプッ! ズプズプズプズプッ!』
 教会全体に響くような淫猥な肉音が、天使の膣穴からその場にいる皆の耳へと響いてゆく。亀頭から始まって、小さな吸盤が多数ある肉竿を、天使の秘部は飲み込むように迎え入れてゆく。
「あぁっ!、あぁあっ! あはぁぁぁぁぁ―――っ!」
 次第に侵入してくる吸盤の群れ。それが奥へと侵入する度に膣壁を擦られ、そして吸われる快感。
 今までのように無理矢理こじ開けられ、引き裂かれてゆくような苦痛はなかったが、微弱ながらも膣内を吸引されるという魔悦の快感に、ユミエルの思考が物凄い速度で白く塗り替えられてゆく。
 その眼が大きく見開いてゆき…拘束された身体が、込み上げる何かに怯えるかのように震えを大きくさせてゆく。
そして――
 『ズプゥッ(コツンッ)!』
「…っああああぁああああぁぁぁぁぁぁぁ―――――っっ!」
 膣内を吸いながら擦り上げてきた侵入してきた吸盤肉棒が最奥まで飲み込まれ、天使の子宮に密着するように衝突した時…ユミエルの目の前が閃光に包まれる。そして直後に来る激しい官能の電撃。
 悲鳴のような嬌声を上げ、身体を激しく震わせ、象徴たる黄金の翼をまたも空へと跳ね上げる。悪魔の剛棒を飲み込んだ花園は決壊し、多量の愛蜜を噴出して少年の腰を濡らす。
それと同時に、膣内に侵入してきた肉棒を、まるで攻撃するかのように激しく締め上げる。
「っあっぐぅぅぅぅっっ!」
 肉棒を締め上げられる快感…そして強すぎる刺激による苦痛に思わず海老反りになりながら巻幸は激しく身悶える。
 もし最初に欲望を解き放っていなかったら、この時点で欲望を解放していたに違いない。それ程までに初めて味わう女体の中の気持ち良さ、そして再び訪れた痛み……そんな様々な感覚に思考が混乱しながら、ただ腰を突き出して身体を震わしてゆく。そんな微弱な震えが、意識がはじけた天使の脳天を更に刺激し、目の前を薄い発光で染め上げる。
「あぁぁはぁぁぁ…っ! ふぅぁあぁぁ……っ!」
 小さな雄の男根を咥えこんだまま、聖天使は意識を何度も薄く弾けさせ、その中で身悶えてゆく…
 * * *
 イってしまった……ただ挿入されただけで……それもこんな年下の男の子の『はじめて』を奪った行為で絶頂に達してしまった…
 いくら影魔に蝕まれた悪魔の剛棒にとはいえ、あまりに淫猥で恥知らず極まる行為を晒してしまった牝犬天使。だがそれを恥ずかしかる余裕は、今の彼女には残っていなかった。巻幸を見つめるように俯いたままで、ユミエルは絶頂の余韻に浸り続ける…
「あぁ…っ! あ、あぁぁぁっ…! あぁっ……あぁぁ…っ」
「…おねえ、ちゃん…っ?」
「あぁ…………え……っ?」
 そんな余韻に浸っているところで不意に声をかけられ、思わず間の抜けた声を上げる磔天使。ふと声のした方…俯いた目の前を見ると、自分を貫いた少年が心配そうに自分の顔を見つめてくる。
 顔を見つめられたことに思わず恥ずかしくなってしまうも、何とか気丈に振舞おうと、目の前の少年を見据える。
「…どうひ、たの…?」
「あ、あの……僕の…気持ち、いい? 気持ち良く…なってくれた…?」
 未だ呂律が回らない状態ではあるものの、何とか言葉をかけたユミエルに対し、巻幸は何かおどおどした様な表情で問いかけてきた。
 自分の逸物で、天使様が本当に気持ち良くなってくれたのかどうか不安なのだろう。自分があれほど気持ちよくなってきたのに、天使様があれほどの悲鳴をあげていたのであれば、小さな子供からすればそう疑うのも無理はない。
 そんな巻幸を見据えながら、ユミエルは出来うる限り微笑みながら語りかける。偽りのない、先程の結末を……
「うん…とっへも、きもひよかった………………わたひね……さっき…あなたので…いっちゃった……イっちゃうくらい…きもちよかったの…」
「………お姉ちゃん…」
 大好きなお姉ちゃんの偽りのその言葉に、巻幸の顔は嬉しさで表情が明るくなってゆく。天使様を嬉しくさせたことは、少年にとっても本当に嬉しいのだ。
 そんな喜びの表情に震える少年の頭に…天使の頬がそっと当てられる。
「……あ……」
 それは自分を気持ちよくさせてくれた御礼なのか、それとも共に悦楽の法悦へと堕ちる者に対する想いなのか…
 自分の居場所からはその唇には届かなかったが…聖少女は、自分を思ってくれている少年に対し出来うる限りの想いと賛辞を、その愛撫で応えようとしたのである。
『…ん…んぅ……』
 二人の親友が傍らで見守る中――ユミエルは少しの間、繋がった小さな異性と、肌で触れ合う心地よさに酔いしれていった……
――――――――――――――――――――――――
「っっんくぅぅっ! ひくぅっ、ひくぅぅぅぅっっ! っんううぅぅぅぅぅっ!」
 教会の傍にある茂みの中。
 人目からは死角となっているその場所で、光る二対の金色の翼を背中に生やした紅き修道女……光翼天使マリエルが地面で横になりながら、必死に悲鳴を…いや、嬌声を押し殺していた。
 しかしいくら押し殺しても、沸きあがる嬌声は激しさを止めない。それ程までに快感に身を震わせていたのである。
 肉唇に突き刺された、十字架の形を模った聖槍を自らの手で動かす……その快感によって。
 月夜の光に晒されたその姿は、必死に隠すには余りにも淫猥で蠱惑的。妖艶美に包まれていた。
 聖母の麗顔は必死になって地面の方へと頷こうとし、甘くて激しい鳴き声を抑えようと、右腕のグローブを顔の前に持ってきて、唇を当て塞ごうとしてはいる。
 しかし快感に悶え、重力に逆らって引き上げている今となっては、必死に隠す意味がなくなっていた。泣き黒子まで紅く染まった顔は空へと晒され、グローブを必死に咥え込みながら、垂らされている金色の長髪と共に震えていたのである。
 必死に隠そうとしていた部分ですらそのような状態なのだから、他の部分が隠されるようにされる筈が……いや、隠そうとする意思すら見られない。
 シスター服のような聖衣に纏われている筈の艶のある豊満な体は、地面に垂直になるような形で横倒しになり、背中の二対の翼共々『ビクンッ、ビクンッ』と跳ね上がっていた。
 また胸元で膨らんでいる豊満な胸はすでに服の谷間から曝け出され、その内の右側の乳房は先端の小果実共々、地面の茂みへと擦り付けられいた。
 無論圧し付けながらくねらせるようにして刺激する快感は痛く、それでいて気持ち良いものであった。すでに両方の乳首は勃起し、擦りつけているほうは真っ赤に腫れているというのに、その行為を止める止める気配は全く見せない。
 彼女の股部分…女陰を守るはずの純白のショーツは片足のハイヒール辺りのニーソックスで包まり、役割を失ったまま掲げられていた。そして外気に晒されている秘部、その肉唇は、彼女の武器である筈の聖槍の柄を美味しそうに咥え、ヒクヒクと蠢いていた。
 そして白尻の側から回した左手が、肉唇を銜えこんでいる槍を掴んで膣内を、そして子宮までをも激しくピストンさせていたのである。ただピストンさせるだけでなく円運動までかけて、自らの弱点を的確に責め立ていた。
 かなりの太さを誇る聖槍の柄を子宮にまで貫かせる…その官能電撃が彼女にとってどれほどのものかは、彼女の秘部から流れでる愛蜜の量を見れば疑いようもない。
肉唇に銜えこんだ部分はもちろんのこと、銜えこんでいないはずの部分や掴んでいるその手、太股、そして肉襞にの先にある金色の陰毛をもこびり付かせるほどにまでびっしょりと濡らし、溢れ出す秘部の下にある地面はすでにふやける程に湿っていた。
『ジュプジュプジュプッ! クチュゥ…クチュゥ……、ジュプジュプジュプジュプジュプッ!』
 辺りに響きそうなほどの淫猥な音を立てながら、紅き聖母は自らを法悦の快楽へと追い詰めてゆく。
 そんな彼女の自慰行為も異常なら、その体勢もまた異常であった。地面に垂直に横倒しにしている身体ならともかく、ショーツが包まれている彼女の左脚は空へ翳すように上げられていのである。
 まるでその姿を見せびらかすとも…聖槍を奥底まで受け入れようとするとも取られるそのポーズは、まさに『異性を誘っている』と蔑まれても仕方のないようなものであった。
 そんな変態的で、妖艶な美しさを醸した姿を晒しながら、淫乱聖母は激しい自虐行為に悶えていたのである。
「っっクうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ―――――っっ!」
 程なくして…この上ない嬌声と共に、聖母の身体が後ろに大きく反る。それに連動するかのように四枚の天使の翼が、豊満な身体が、純白の下着を掲げた脚が激しく痙攣する。
 そして聖槍を咥えていた肉唇が大量の愛蜜を飛び散らせ、自分を法悦の極地へと追いやったその擬似的な肉棒を祝福するかのように激しく締め付ける。
 そんな体勢で絶頂に暫く浸った後……まるで力を失った人形のように掲げた脚が地に落ち、その手が槍の元を離れながら、マリエルはうつ伏せの体勢なりながらがっくりと項垂れた。
肉襞からは締め上げていた聖槍がゆっくりと抜け落ち、その後からは快感の余韻を示すかのような飛沫が何度か溢れ、地面を濡らした…
「ハァ…ハァ…ハァ……ハァ……ハァ………ハァ………ッ」
絶頂の余韻に浸りつつ…マリエルは荒げた息を整えながら、今ここに置かれている自分のことで脳裏を過ぎらせてゆく。
……三度目…いや、四度目だろうか? 今夜…こんな風に聖槍を咥え、挙句に絶頂に達したのは。
 槍の柄の無機物的冷たさは生きている肉の凶器とはまた違った快感を与え、その太さは様々な影魔に侵されてきた肉唇を満たすのに十分すぎる。射精という終わりのない擬似陰茎の責めは一度貫ぬけば、雌としての自分を果て切らせるまで終わることがないのだ。
 だが影魔との戦いに敗れて、屈辱を味合わされる形で挿入されることは何度もあったが…こうやって自ら咥えこむ様なことは初めてだった。いや、影魔の責めによる誘惑によるものを含めるなら、二度目ともいえるかもしれない。
 ――あの時も…今の悠美のように十字架の触手に磔られた状態で発情させられ、自らの手であらゆる秘部を弄って……地面に直立にさされた聖槍の柄を、淫気に狂ったマリエルは恥知らずにも自らの意思で咥え込んでしまった。
 影魔達に見せびらかす様な立ちオナニーに、気を失うまで絶頂に狂い続けたのである。そして意識を戻した後も、その場に取り残されたかのようにいた年端も行かぬ子供の半影魔に犯され、そこでも歓喜を極めさせられた――
 そんな自らの正義を穢す行為を、今自らの手で行ってしまった……行為の後の空しさよりも、情けなさと恥ずかしさが先立ち、真っ赤に火照った頬がさらに紅くなってしまう。
 けれど今日は…今はどうしても逆らえなかった。悠美の…娘達の密かな痴態を眼に、嬌声を耳に響かせているうちに……身体は地に付き、空虚だった左手がショーツの方へと流されていったのだ。
 快楽を求め悪戯しようとするその手を必死に自制しても、ゆっくりと…ゆっくりと目的の場所へと進まれてゆく。そして淫気に犯された指が花園を守るショーツへと触れた時……官能の電撃が身体を駆け巡る――もう駄目だった。心を気丈にしても、身体が背徳の快感に痺れていう事を聞かない。ゆっくりと…しかし快感に支配されてゆくことに、自分自身への不甲斐なさと、自分のしていることに対する恥ずかしさで頬を赤らめてしまう。
 ――あぁ…だ、駄目ッ! こんな、こんなところ…誰かに…見られたら……
 不意に芽生えた羞恥心に苛まれた心が、教会の傍にある茂みへと足を向ける。魔姫の張った結界の事さえも忘れ、その姿を隠そうと必死に歩き始める。だが、そうしている間にもショーツ越しに秘部を摩擦する指の動きは早くなってゆく。影魔との戦闘で、ある程度敏感になっていた身体は、そんな小さな快感にも反応してしまい、まともに立つことさえも出来ない。それでも何とか隠れようと、快感に震える脚の変わりに、聖槍で身体を支えながら必死に茂みのほうへと向かう。そして茂みの中へと身体を放りだし、身体を地に倒す……瞬間、まるで理性の箍が外れたかのように、自らの身体を苛もうとする手がさらに厭らしく蠢いてゆく。
 既に雌蜜でびっしょりと濡れているショーツを擦り上げていたその手は、太股との間部分から花園へと侵入し、そのままショーツをめくり上げながら肉襞を、膣壁を先程よりも激しく刺激する。
 槍を掴んでいた右手は、身体を地に預けたとき…それを最後に、意思を持ち合わせたかのように豊満な双丘の片割れを鷲掴みにする。そして勢いのままに胸元にあるホックを外し、コスチュームをずらして豊満な美巨乳を曝け出しながら先端の果実とともに捏ね回してゆく。
「あっっはぁぅっ! …こ、こんなっ…! 身体がっ……熱いっ! 痺れる…のぉっ!」
 茂みに隠れてまだ間もないというのに…思った以上に発情していた身体は、隠れるようにして慰める行為にすら敏感に反応し、甘い痺れに震えてゆく。いつもより激しく始まった手淫に困惑しながらも、隠れたことに対する安心感も手伝ってか、彼女を蝕む手の動きは次第に激しさを増していった……
 だがこうやって自分の手で自分を慰めるのは、今に始まった事ではない。影魔に遅れを取って身体を弄ばれ、媚薬や毒が残ってしまい満足しきれないこともそれなりにある。そんなときにはこうやって隠れ、身体が満足して疼きが収まるまで自らの手でその豊満な身体を弄んでしまうのだ。
 今度の影魔との戦いでは、本格的な陵辱をそれ程受けずに終わらせることが出来たが…それが逆に身体の火照りを燻らせたままにしていたのは確かである。だが身体がこんなにも凄まじい速度で官能電撃を駆け巡らせていくのは滅多にない事だった――
「…あっ! あぁ…あぁ…あぁぁっ! っそ、そんな…っ! もう…もうっ、イックっ――くぅぅぅぅぅぅっっ…!」
 まだ指を膣に挿入すらしていなかった。豊満な胸を揉み下し、淫核を指で刺激する……そんな行為を少し続けただけで絶頂を迎えてしまった。包まるかのように身体を捻らせ、縮こまるかのようにして震える。
 だがアクメを迎えて落ち着くはずの身体は、それを期に更に発情してしまう。豊満な双丘の先にある果実は先程よりも勃起し、ショーツから覗かせている肉唇は当てられて指を飲み込もうとするかのように蠢く。
 そしてそれに呼応するかのように指の動きも活発になってゆく。
 『にちゅ…くちゅっくちゅ…くちゅ…じゅぷ…っ!』
 エナメル質の手袋に包まれた指先が卑猥な音を響かせながら、肥大してゆく肉芽から肉壁全体へと淫靡に踊る。そのたびに目の前が霞むほどの快感が背筋を駆け巡り、蠢く指をさらにいやらしい蜜で濡らしてゆく。
 ――くっ…! …手が、止まらない……っ! どうして…こん、なっ……あぁ、はぁぁぁっ!
 淫口で蠢いていた指の二本が、無意識に膣内へと侵入してきた。一瞬、空気が抜ける音がすると同時に膣内が蠢き、根本まで指を咥えこんでゆく。咥えこんだ指は膣内に導かれるかのように、根本まで侵入したかと思えばすぐさま引き抜かれ…また咥えこんでゆく。
 次第に膣内をピストンしてゆく指に、マリエルは快感とともに思考が困惑してゆく。
「私……止めな――ひゃぅぅっ! んンっ……だ、駄目…っ! 止められ、な……はあぁぁぁっ!」
 勝手に蠢いてしまう指がもたらす快感に耐えられなくなって、聖母は包まった身体を広げ仰向けの体勢になる。広げたことによって自由になったことを悦んだのか、快感にあてられた身体があられもない嬌態を曝け出してゆく。
 乳首と一緒に乳房を弄んでいた手は力が入り、搾り上げるように捏ね上げてゆく。女淫へと侵入した指は、上下だけでなくあらゆる方向へと膣内を掻き回してゆく。そのたびに駆け巡る快感に、自由になった身体は海老反りに曲がり始め、腰はまるで支えられるかのように宙へと浮き上ながら、膣内を掻き回す指に合わせてくねってゆく。
「はくぅっ、くぅぁあぅっ! …が、我慢でき……な…っ! またっ、私……イ、く――ぅあぁぁぁぁぁっ!」
 お腹を…胸を駆け巡る快感が限界を向かえ、マリエルは悲鳴に似た嬌声を上げながら再び絶頂に身体を震わせる。突き上げた腰…秘部は決壊し、多量の愛蜜を噴出して指やショーツを濡らしてゆく。乳房と共に絞られていた小さな果実…その先端からは『びゅっ』と音を立て、少量の乳液が噴出してしまう。
 だが絶頂を迎えながらも、その身体は本人の意思を裏切って更なる快感を求めるかのようにまたもゾクゾクと震え始める。次第に渦巻き始める快感の渦に、困惑する思考すら蝕まれ始めてゆく――
 その後はもうなし崩しだった……
 流れてくる――そんな風に脳裏を過らせていたのかもしれない――娘の嬌声に身体が反応するかのように、マリエルは自慰に溺れていく。
 隠れるかのように縮こまったたかと思えば、見せびらかすかのように身体を曝け出すなど、淫気に狂っていった聖母は快感を求め様々な体勢を取りながら自分を責める。更に身体を蝕む快感によって尻肉の…不浄の穴にまで痒みと疼きに蕩け、その疼きに耐えられなくなって膣内と交互に責め立てる。その度に快感に…絶頂に溺れ、その度に恥蜜と…時折、乳首から少量の乳液を噴出していった。
 そうやって何度も絶頂に上り詰めながら、それでも敏感に反応し更なる刺激を求めてくる身体は、ついには地面にあった聖槍にまで手を付け始めてしまう。
 幾多の影魔を葬ってきた自らの正義の証である十字架を、それも自らの意思で貫いて穢そうとする…そんな恥知らずな行為に羞恥心に苛まれるも、既に淫気に狂ってしまった身体と心ではその行為を止めることは出来なかった。
 既に恥蜜で濡れきった花園にその柄を当て、自らを貫いたとき……被虐の快感は、聖母を雌豚へと堕としていった。手の甲のグローブに唇を当て嬌声を抑えていたのは、恥知らずな自分へのせめてもの抵抗…僅かな羞恥心が起こした行為ともいえたが、そんなものは何の意味もありはしない。
 そして……数度目の絶頂で、限界を迎える形で身体を地に臥したところで現在にいたる――
* * *
 私は、一体何をやっているのだろう…?
 娘達を守る…彼女達が望んで挑んだ秘め事を、誰にも気付かれず、ましてや悟られないように終わらせるために、自分はこの場にいたのではなかったのか?
 ……確かに月夜が照らすこの教会の周りには、今もなお人一人の気配すら感じない。力の殆どを失ってもなお、魔姫の張った結界はしっかりとしたもので、このあたりに来る人は何の違和感の感じることなく普通にこの場を離れてゆく。
 だがそれも魔姫の力が消滅するまで…もしその力を失えば、彼女達を守る『影』は消失し、痴態を隠すことは出来なくなる。そんな時、もし誰かがこの場所の異変に気付いて訪れでもしたら……
 無論、悠美が彼女を元に戻すと信じている。だからこそ、彼女達の遊戯が終わったあと、自分がしっかりしていなければいけないのである。それなのに、結果的にとはいえその状況に甘え、自らの痴態を見られたくなくてこんな場所に隠れている。そんな自分自身の不甲斐無さに屈辱さえ感じてしまう。
……身体が快感に火照っていたのも否定できない。今日もまた影魔の気配を察知し、他者を襲おうとしたその影魔と戦って…不意を突かれ、身体を隅々まで弄ばれてしまった。
 しかもその下級影魔の責めは今までの下級連中のように力で捻じ伏せるものではなく、女性としての弱点を何度も責めてくるものであったのだ。しかもそれは卓越したもので、次第に自分の中にあるマゾヒスズムを呼び覚まさせるには十分すぎるものであった。さすがにそのことに夢中になりすぎた事が幸いしてその場は撃退できたのだが…既に発情させられてしまったからだの火照りはそう簡単に引いてくれるものではない。教会に戻ってもその燻りは納まることはなく彼女を蝕む続けていた。
 だがそんなものは理由にならない。一人で戦い続けていたころから、今に限らずこんな風に身体を燻らせたままで終わってしまうことも多々あったのだから。何よりそんなことを人目憚らずに耽るなど…戦士として、人としての心が許さない。
 彼女は肝心な場面において、常に自らの意思で堕落への誘惑を抑え続けてきたのだ。
 だが今は自らを辱める影魔ではなく、自分自身の手で火照った身体を慰めている。自分よりも大事な娘達の重要な局面において、人目に憚ることもなくよがり狂っている。
 今までにないその事態に、今だ絶頂の余韻に浸りつつも…自虐の天使は情けなさと恥ずかしさ、そしてこんなことになってしまったことに対する困惑に思考を蝕まれていたのである。
 だがその切っ掛けらしいものがなかったか………そう考えれば、思い当たる節が無かったわけではない。それがなんなのか、マリエルは快楽に淀んだ思考を揺り起こしながら、必死にその場面を思い出そうとしていた。
 ――………私…あの時……
 身体が火照り始める直前に自分が見た最後の光景……すなわち悠美が十字架に磔に処され、親友たちに可愛がられているときの光景が鮮明に浮かび上がる。最初はあの時、悠美が今まで得られなかった最高の宝物を得て、幸せを実感していることが本当に嬉しかった。それを見守っていてあげたかった。
 だが…今にして思えば、自分の中にあった感情は本当にそれだけだったのだろうか。あの時、自分の中に芽生え別の感情…それがなんなのかをゆっくりと思い出してみる。
 ……それは悲しくて暗い感情だった。自分の中にある、気付かなかった焦燥感。失われたなにかに対する絶望――
 否、それは決して身を焦がすかのようなどす黒いものではない。むしろ、皆が安心しているからこそ芽生えたような、まるで…取り残されたような感覚。娘達の遊戯を見ているうちに、知らず知らずのうちに向き合わされた感情……
 悠美が苛めて可愛がられているところを見る度、その感情は自分の身体をどうしようもなく火照らせ、悠美が可愛らしい声で鳴く度、自分の中にある雌としての弱さを剥き出しにさせられてゆく。
 そう…それは、今の自分の元にはなく悠美にはあるもの――
 ――っ! 違う……私は……私はっ!
 気付いたその事実を、地面に付けた頭を振りながら必死に否定するマリエル。なぜならそれは、今自分の望んでいる事の一部を否定することなのだから……自分はそんな事の代わりとして、自らを慰めていたというのか?
 だが、その感情によって自分が嬌態に陥ったのもまた事実なのだ――
《――あああぁぁぁぁぁぁぁ―――――っっ!》
 その時、傍の教会の方から一つの叫び声が聞こえた。それは最も愛する娘の悲鳴…いや、嬌声。
 聞こえるかどうかさえも分からないものであったが、母であるマリエルにとっては脳にまで響くほどに声高く、美しい叫びだった。
 そして――その声を聴いた瞬間、聖母の身体がまたしても震え始めてゆく。
 ――あぁ……悠美………
 娘の幸せを象徴する、昏き影を感じさせない嬌声。その声ととも、母としての想いと共に満たされる紅き天使の心。
――だが、今度はハッキリと感じる。満たされてゆくはず自分の心、その中にある空虚…嘗ての自分にはあって、今の自分には霞んでゆく…しかしそれでいい筈のもの。それなのに…無いと気付いたときの悲しさ――
「…………んっ? う、うぅぅぅぁぁぁ…っ!」
 その思いを確かめようとして……不意に訪れた、お尻からの異常な衝撃に聖母は悶絶し、思考が中断されてしまう。少女の声に反応したのか、聖母の桃尻の奥底から痒みと疼きが再び蠢き始める。
「――な!? こ、これ…私……あ、あっはぅぅぅぅぅ…っ!」
 再び自分の意思に反して、自らの身体を蝕まんとする官能が不浄の穴から発生し始めたことに困惑する聖母。その快感を必死に抑えようとして……桃尻を何かに掴まれ、既に官能美に掻き回された身体は無常にも甘い痺れを垂れ流す。
 それは愛蜜に濡れきった、自分自身の手であった。気付かぬうちに本体の意思に反して散々官能を貪ったその手が、またしても自らを弄ぼうと蠢き始めていたのである。
 ――あ…駄目…っ! 私……また、こんなことを…しては……っ!
 本体を弄ばんとする『指』という名の凶器を止めようと、マリエルは必死に手の蠢きを止めようとする。これ以上野外で恥知らずな嬌態に耽ることに対する羞恥心、そして心の奥底にある想い…悠美達を守りたいという想いが快楽にふやけきった心を制しようとする。 だが、快感を求める雌としての本能が桃尻の上で蠢く手を更なる奥底の方へと向かわせてしまう。
「…あっ…ふぅ…っ! だ、駄目…そんな……ひゃぁ…ぅあ…ん…っ!」
 尻肉の上を愛蜜で濡らしながら震えるその手を必死になった止めながらも、マリエルは尻肉を摩る快感に悶えながら腰を震わせてゆく。
 だがそんな葛藤の中、不意に先程の娘の嬌声が脳裏に蘇る。
 《――あああぁぁぁぁぁぁぁ―――――っっ!》
 あの娘の幸せな悲鳴が再び聞こえたとき…必死に耐え忍ぼうとするマリエルの表情の強張りが崩れ唖然としてしまう。そしてそのまま心に響いてゆく、自身のうちにある小さな…しかしそこに確かにある欲望。
 尻肉の上で蠢く細い凶器が再び蠢き始めたことも忘れ、紅き天使はその思いに震えてゆく。
 ――私…私……
 その思いを必死に否定しようとも、先程から浮かび上がった思い……心の空虚、寂しさを消すことが出来ず苦悩してゆく。

――自分には、今の悠美のように分かり合える友達はいるだろうか? 今までそんな人を作ってきただろうか?
答えは否。人々の幸せを蝕む邪悪な影魔と常に戦っている自分にとって…昔は多少理由は違うが…そんな危険な、そして辛い戦いに他者を巻き込むことなど出来ない。だから、娘の悠美が光翼天使として歩んでくれた事を除けば…今までずっと一人で戦ってきたのだ。そしてその悠美もまた、いつでも自分の元から離れ、自立できる力を既に持っている。

 そう…今の自分は、半ば一人。昔ならそれでも良かった……でも、今は――
「………っうぃ――ひぃっ、ひぃうぅぅぅぅぅっっ!」
 半ば空虚のまま取り残されようとしていた聖母の心は、不意に襲われたお尻からの激しい衝撃によって現実に引き戻され、俯いていた麗顔を上げながら震える。
 その快感に溺れそうになりながらも、何が起こったのか分からずにその中心地――その重力に逆らい、ぷるんっと揺れているはずの盛り上がった桃尻の方を向いて……尻肉の合い間に自らの指が刺さっている事に驚愕する。
 マリエルが自問に苦悩している間に、彼女の意思を離れたかのように尻肉の上で蠢いていた手――その内の中指が、彼女の尻肉の谷間にある秘穴…不浄の穴にその全身を埋めていたのである。
 ――や…私、また…こんな……あっはぁぅ…っ! 恥ずかしい、こと…して……く、くぅぅぅ…っ!
 シスターにとって禁忌とされている場所……肛門の中へと侵入したその指に、背徳の快感と羞恥心に身を震わせるマリエル。その行為を止めようと必死に意識を送って指を引き抜こうとするも、埋もれた指は奥底に侵食しようとするのを止めようとしない。
 それどころか更なる奥底へと侵入しようと蠢いてゆき、半ばまで引き抜いたはずの指をすぐにまた根元にまで侵入する。そんな快感を求める雌としての本能と、彼女自身の抵抗の意思がお尻の穴で繰る広げられる。
 だが、アナルで繰り広げられるその戦いは無慈悲にも快感を貪る指に傾いてゆく――肛門で蠢くその指の動きは、何時しかピストン行為へと変わっていた。
「あくぅっ…うぅあぅぅぅっ! だ、駄目っ…っ! どうし、て…こんな……あっあああぁぁぁっ!」
 速度を速めてゆく肛門ピストンに、次第に抵抗する意思が蕩けてゆく。今までの自虐行為で既にふやけきっていたアナルは指一本の暴虐などいとも容易く受け入れる。うつ伏せのままに尻肉で指を圧迫しても何の意味も無い。侵入される虐悦と引き抜かれる開放感…それが連続するたびに、尻肉は快楽の熱に満たされ、全身をマゾヒスティックな高揚感が包んでゆく。
 尻はぷるぷると震わせながらの肛辱に、紅天使は頭を震わせながら悶絶し、心の内にある孤独感という疼きは大きくなってゆく。
 ――ち、違う…っ! 私っ…こんなこと、望んでなど……っ! ……のぞんで…………
 再び快感に思考が蝕まれそうになりながらも、僅かに残る貞淑を振り絞って、先程出した結論を否定する聖母。だが快楽にうちのめされた心には、自らの意思を離れた自虐行為を止めるだけの力は無くなっていた。またしても雌豚に落ちようとしている天使の心にそれを考える余裕は失われてゆき、ただ衝撃的な事柄のみを考えるだけになってゆく。
 だがそんなささやかな思考さえも、裏穴の奥底で暴れる指のピストンが打ち砕こうとする。先端まで引き抜いたかと思えば、一気に奥底まで差し込む。
 そして指を咥える桃尻は、裏穴をピストンするその手…挿入されていない他の指に何度も叩かれ赤くなっていた。指に叩かれる度にその桃尻はぷるんと震え、その度に天使の身体はびくっびくと震え上がる。そこからもたらされる痛痒感と排泄感、そして官能電撃に、僅かに残った理性さえも被虐の悦楽に浸ってゆく。
「ひゃ、あはぁあぁぁっ! 違う…私、ちがう…っ! んひぃっ、ぃぃぃっ!」
 もはや自身の言葉とかみ合うこともなく、甘い喘ぎを漏らしながら肛虐行為に悶える淫乱聖母。それでも僅かに残った理性は「自虐」と必死に戦っていた。今ここで快感だけでなく、『そのこと』さえも認めてしまったら――そのことに対する恐怖と娘に対する後ろめたさが、完全に雌豚に落ちるのを止めていたのだ。
 確かに時間の問題かもしれない……様々な思いと快楽に身体も心も苛まれながらも、マリエルは必死になってこの場を収めようとしていた。
 ……だがそんな「戦い」も、不意に訪れたあの「声」によって変局を迎える――
 《――ぁぁぁぁっ! だ、だめぇっ新野、さ――ぅぅぅぅぅっ! や、あはぁぁぁぁっ!》
 またしてもその耳に届いてくる卑猥な声。傍の教会から流れてくる、甘く響くメロディ。歓喜に満たされた娘の声に、マリエルの心は再び揺れ動かされる。
 ――あ………ゆ、悠美…っ! ゆみぃっ………
 自分のものとは違う、苦しんでいるようで満たされた声。友との甘い行為で紡がれる幸せな悲鳴。その叫びは快楽に蕩けだしていた脳裏にすらも響く――瞬間、聖母の心で止まっていたはずの「寂しさ」が再び目を覚ます。
 ――私…は…………私………
 孤独、そして寂しさという責め苦に苛まれた今の彼女の心に、その嬌声は彼女の心にある欲望を呼び起こさせる。それは今の自分に無いもの…求めるもの。例えそれが自らを貶めるものだとしても。
「私…わたく、し――ひっ、あぐぅぅぅぅっはぁぁっあぁぁぁぁっ!」
 その答えを言うべきかどうかも分からずに、惑いの言葉を続けようとして…しかし次の瞬間、マリエルの口から放たれたのは更に甘い悲鳴であった。
 不浄の穴を責め、腸液にまみれた指の動きが激しさを増したのだ。しかも先程まで上下にピストンしていたその動きは、粘膜を掻き混ぜる円運動をも加えながらくねり回る。
 影魔に、そして自分自身に弄ばれて発情し抜いていた肉体にとっては、この肛虐はたまらなかった。先程まで寂しさに泣いていた筈の心が、被虐の愉悦に蝕まれてゆく。
「だ、だめぇぇっ! そんな、ことぉっ――ひぁ、あはあぁぁぅぅぅっ!」
 それは自らを苛む手に対するものか、それとも先程叫ぼうとした自分の悲鳴に対するものなのか……自らの手で自らを苛む聖母の口からは再び否定の言葉が紡がれる。だが媚びた様な喘ぎ声で否定しても何の意味もありはしない。
 指の動きに振り回されるかのように厭らしく腰をくねらせながら、紅き天使はお尻のほうから突き上げてくる官能の衝撃に振り回されてゆく。
「あがっ、くぅあぁぁぁっ! ………気持ち、いい…っ! 気持ち良いのぉっ! だめぇぇっ、ふぁあぁぁぁぁっ!」
 泣き黒子の付いた頬を更に真っ赤に染めながら、再び快楽に屈してゆく雌豚天使。うつ伏せに倒された身体は芋虫のようにくねり回り、光る二対の翼はぴくぴくと震えてゆく。白乳の付いた双丘の果実は痛いくらいに屹立し、収まったはずの女陰…その先にある子宮は再び疼こうとしていた。
 ……だがそんな快楽に振り回されている筈の天使の心には、何時しか寂しさの方が強くなり始めていた。
 ――やぁぁぁっ……私……足りない…! これだけじゃ……足りないぃ……っ!
 こんなに恥ずかしいことをしているのに、気持ち良いのに、心の奥底では足りないものを求めて疼いてくる。そしてそれが何か分かっている。
 ――いやっ! …そんなこと、しては…いけない……! ……………………けど……………いけないぃぃっ!
 未だ快楽に飲まれずに残る『母』としての思いが、求めてしまう『欲望』を必死に抑えようとする。けれど、その思考さえも背徳の快感と内にある寂しさに揺さぶられてゆく。
 入りたい…感じたい……穢したくない……そんな思いが、自分を穢す中何度も脳裏で回ってゆく――
 そんな時――マリエルの脳裏に、ある映像が映し出される。
 ――…あ……あぁ………これっ、は………
 それは光景の再現なのか、それとも自分の思考が作りだしたものなのか……快楽に淀んでいた天使の脳裏には、先程の教会の中が映し出されていた。
 七色のガラスの光に晒された中心の十字架に一人の天使が磔られ、周りの少女達と戯れあいながら、光る翼を震わせる光景だった。
 だが見届けたはずの先程の光景…その磔られた天使の姿を見つめて、聖母は驚愕する。
 ――っ! ……ぁあぁっ………あぁぁぁぁぁ………っ!
 そこにいたのは娘ではない…それは少女ではなく大人の女性。豊満な体に、それを包む紅き聖衣。そして背中で光る翼は一対ではなく二対。
 そう――そこにいたのは紛れもない、自分自身の姿。そして少女達…その片方にいるのは――紛れも無い娘の……悠美の姿。
 右に、左に、そして後ろから身体を弄ばれて、触れ合える幸せに震える紅き聖母――
 ――………ぁぁぁああああああぁぁぁぁっっ!
 それは自分の心の奥にある、自分自身の願望。今まで気付くことの無かった…否、悠美と触れ合いによって忘れていたかもしれなかった、自分自身の『欲望』。
 その映像がよぎった時、マリエルの心が叫ぶ――何かが…壊れる。制御が外れ、溢れ出す想いが…意識が、聖母の心から飛び出す。
「っぁはぅぅぅぅぅっ! ひぃっくぅぁあぁぁぁっ!」
 溢れる思いに比例して、天使の悲鳴が更に声高くなる。同時に地面に擦り付けられる乳房の動きも厭らしくくねりだし、曝け出されている秘部からは恥蜜が溢れて太股を流れてゆく。そして尻穴を責める指は、壊れそうなほどの勢いで出し入れされてゆく。もはや止めることが出来ないほどに肛虐に倒錯しながら、聖母は。甘くも悲しい嬌声を流し続ける。
「あっっやあぁぁぁっ! 私……悲しいのぉぉっっ! 私も、入りったいぃぃぃぃっ! っいひぃやぁぁぁっ!」
 ついに心にある寂しさを叫んでしまう紅き天使。もはや彼女に聖母としての誇りは無く、孤独に震える一人の女に堕ちていた。そしてその寂しさを埋めるかのように、肛虐自慰も激しさを増してゆく。
 紅く染まった顔は空のほうに仰け反ってゆき、何度も叩かれ穿たれる尻肉もまた空へと掲げられてゆく。まるで見せびらかすような格好を取りながら、指の動きに流されるままにヒップを震わせ、官能の衝撃に酔いしれてゆく。まるで快楽をもってその寂しさを埋めるかのように。
「…ご、ごめんっなさ、い……悠美ぃっ! 私をっっはぁあうっ! …私を、許してぇぇぇっ! こんな…あぁぁっ! …こんな、弱くてみっともない……どうしようもない、私をぉぉぉぉぉっ! っっあひぃううぅぅぅぅぅっ!」
 見せびらかすように肛門を貫く快感に酔いしれながらも、マリエルは脳裏によぎった娘の姿を見て、懇願と謝罪を漏らしてゆく。それは自分の弱さに負けた情けなさを言っているのか、悠美の「居場所」を奪おうとしてしまう愚かさを言っているのか……
 だがそれも、次第に思考がが真っ白になってゆくのと同時に塗りつぶされてゆくまでだった。目の前に火花が散り、身体が、翼が何かに怯えるように震えてゆく。
「あはぁぁっくぅあぁぁっ! やぁ、だめぇぇぇっ! 私っ……我慢っ出来ないっ! もうっ! もうぅっ!」
 耐えられなくなる――このまま堕ちれば、もう自分の「弱さ」に逆らえなくなる。だが、それを止めるようとする力は今の彼女には残されていなかった。震える身体が次第に痙攣してゆき、穿たれる指の動きの翻弄され掲げられた腰は踊る。「寂しさ」さえも埋め尽くしてゆく雌の快感が身体を熱くさせ、彼女をまたしても限界に追い詰めてゆく。そして――
「イ、イック…イクゥゥゥっ! わたくし…悠美と一緒に……いっしょにぃっっ、イっちゃうぅぅぅぅっっ! ひぃぁああああああぁぁぁっ!」
 身体を激しく痙攣させ、紅き天使が再び快楽の前に屈服する。恥知らずな叫び声を上げながら喉を仰け反らせ、突き上げた腰からは大量の絶頂蜜が溢れ出す。指に責められていた尻穴は指を痛いくらいにきつく締め上げ、腸液を噴出しながら尻肉とともに痙攣する。
 弓のような体勢のままに、涙に濡れた浅ましいアクメ顔を晒しながら、雌豚に落ちた聖母はオルガズムの悦びに悶絶し続けてゆく。
「あっひぁぁぁぁぁっ! ……ひぅぅぅぅっ…! んぁぁぁぁ…っ! ぁぁああぁぁぁ……っ!」
 そんな暫く続いた絶頂感も次第に引いてゆき……力が抜けると同時に再びうつ伏せになって倒れる雌豚天使。それと同時に尻穴に刺さっていた指は「ズポッ」という浅ましい音とともに抜け、腸液に濡れそぼったままに地面へと落ちた。
「ハァ…ハァ…ハァ……ハァ……」
 そして体を横に倒した聖母は息を切らしながら、アクメの余韻に浸ってゆく。だが身体は悦びに酔いしれても、心の奥底は満たされきれない。アクメの余韻が引いてゆくと同時に、マリエルの心には先程の『寂しさが』溢れ出して行く。
 ――あ…あぁ…私……こんなものじゃ……………あの子、たちと………一緒に………………いっしょ、に………
 既に雌豚に落ちてしまっていた紅き天使の頭にはもう、娘達と肌を交じり合わせることしかなかった。母としての尊厳も、人としての恥も忘れ、堕ちた聖母はゆっくりと身体を動かし始める。
「あ…はぅ……く…」
 絶頂によって虚脱した身体に力は入らず、まるで芋虫のように這い蹲ってしまう。それでもゆっくりと身体を茂みの外へと、その傍にある教会のほうへと向かわせる。
「あぁ…はぅ…あぁん……はぁ…」
 何度も天国を味わった今の発情ボディは、地面や草に擦ってしまうだけでも快感に変わってしまう。だから動くたびに甘いと息が流れるのがとまらない。甘い声で鳴きながら身体をくねらせながら地面を這いずる姿は、まさに媚びた雌豚そのものであった。
 だがそんな痴態も、その先にある快感を求める余りに思考が淀んでいた天使だからこそ行えた。今のマリエルの思考を支配するのは、人としての温もりを求める衝動であった。
 ――もし…悠美と……あの子達と交じり合えたら………
すぐその傍で三人の少女が…今は悠美が弄ばれているだけではあるが…身体を触れ合わせている。その行為を自分に当て嵌める…それがどれだけ気持ちいいのだろうか。そんな風に考えるだけでも、期待に身体が…心が震える。
 そしてもうすぐその機会を得られる。この茂みの向こうの先、教会の中心にある神を現す十字の台。
 もはや神への冒涜も、他者に見られる危険性も関係なかった。自らの心に負けた弱い雌一匹にとっては、快楽によって満たすことのほうが大事であった。その心の奥底で「何か」が訴えかけてはくるものの、今の紅天使は己が欲望を満たそうとする影魔と変わりない。
 そんな哀れな雌豚天使の手が、茂みの先へと伸びる。いよいよそのはしたない姿が月夜の空へと曝け出されようとしていた。――その時、彼女の脳裏に別の映像が閃光のように過ぎる……それは娘の…自分のほうに向かって、優しく微笑む悠美の姿――
 ――あ……悠美………………悠美……っ!
 その光景に、思わず進行を止める淫乱聖母。そして快楽という安寧に埋もれてしまった筈の心に、娘への想いが甦える。
 ――私……私、は……っ!
 自分の行おうとしていた事に、急に恥ずかしさが心を埋め尽くしてゆく。羞恥心に身体を震わせながら、その眼に淡い光が宿る。
 ……今の情けない姿を見せて、娘が喜ぶのだろうか? 今の昏くはしたない自分が、痴態に紛れ快楽に溺れて、それで幸せになれるのだろうか?
――違う。そんなものに幸せなどありはしない。そんなことをしても大事なものを傷付けるだけでしかない。
 ――そう、よ…っ! 私、何を、甘えて…いるのっ! あの子を悲しませるなんて……馬鹿なことを、真理っ!
 自分の甘えていた心に渇を入れる聖母。自分の心で消えようとしていた、欲望に対するほんの僅かな理性が再び燃え上がってゆく――「――あっくぅぅぅ…っ! やぁぁぁぁぁ…、また…またぁぁぁ、あぁぁぁ…っ!」
 奮い立ったその意思を屈服させようと、発情した身体が再び疼き始める。止められた筈の身体はその場で地面に擦る快感に悶え、茂みと教会への境目を破ろうと地面に付いた手が歩み寄ろうとする。
 再び反抗した心を貶め、なんとしても自分のはしたない姿を娘達の前に曝け出そうとしているのだ。未だ心の内で燻っている欲情と孤独感が共同して、聖母を無意識のうちに責め上げ、背徳の世界へ進ませようとする。
 ――…くっ! 身体が…熱い…っ! 言うことを、きいて…くれない…っ! ……このままじゃ…また、堕ちて…しまう……っ!
 自らの快楽に対する弱さに思わず歯噛みするマリエル。取り戻したはずの意思は、自らを裏切る疼きで消えてしまいそうになるほどの弱いものだった。このまま葛藤を続けていけば…そうでなくても、もし娘のあの『声』が聞こえてしまったら……今度こそ「寂しさ」に抗する力を失ってしまう。
 どうすればいい? どうすればこの「弱い」自分をこの場で止められる? そんな葛藤に苛まれながらも、聖母は身体を駆け巡る官能電撃に震えながら必死になって身体をその場で足止めする。
――そんな「戦い」の最中、彼女の眼に地面に横たわっていた十字の槍が映る。
 ――あ…あれっ……! あっ、あぁ………
 自らの武器であり、先程まで自らを貫かせながら穢してしまった自身の聖なる証。恥蜜で厭らしく照り光る柄を見て、聖母は先程までの自分の痴態を思い出してしまい、恥ずかしさで赤みが引いていた落ち着いてきた頬が紅潮する。…だがそれから顔を背けようとした瞬間、何かを閃いたように彼女の眼が見開いた。
 ――そう、だ……っ! あれなら……あれで、なら…っ!
 その方法を思いついた瞬間、天使の頬は更に紅く染まってしまったが、表情は何かを決めた強い意思が浮かんでいた。そして地面へとだらけていた腕を動かそうとする。散々に自分を弄んだその手は…必死に動こうとする天使の意思に従い、槍のほうへと向かってゆく。
 だが、もう少しのところで槍に手が届かない。何とか身体を必死に動かそうとするも、全く力が入らない。それどころか未だに教会のほうへ向かおうと身体をくねらせてゆく。
「うぅ……くっ……! …うぅぅぁぁぁぁぁぁ…っ!」
 蠢く身体を必死に押さえながら、マリエルは力を振り絞るかのように叫ぶ。その意思に揺さぶられたのが……身体が一瞬だけ自由が戻る。その一瞬を逃すことなく、聖母は必死の思いで槍をその手に掴み、そのまま自分の元に引き寄せる。
「はぁ…はぁ……ああぁ…これ、これっで…っ!」
 手に掴んだ槍を見て、聖母は悲愴な笑みを浮かべる。その眼に秘めた決意とともに……
 ――聖母には分かっていた。今の自分には、どんなに足掻いても心のうちにある『さみしさ』、そして身体を蝕んでゆく快楽に勝つことが出来ないことを。今は娘への想いによって何とか自制してはいるが…こうやって一度行為に流されれば、自分の意思に関係なく最後まで流されることを知っているのだ。
 それで自分が苦しむのはいい。けれどそれが娘を苦しめるものに繋がるのなら…それだけは絶対に止めたい。そしてそれを止められるのなら――
 その覚悟をしたかのように、マリエルは聖槍を掴んだ手を……先程まで自分自身で貫いていた場所へと導く。すでに叩いた指の紅い後が残っているその場所…桃尻の奥底の、散々に弄ばれた筈の尻穴が、今なお受け入れるものを求めてヒクヒクと蠢いていた。
 その場所に柄の部分を当てる……痴態でべっとりとついた恥蜜の感触が、熱の冷めた柄とともにお尻から伝わってくる。その感触とともに、「寂しさ」に心が苛まれていたはずの天使の心に、今から行おうとする決意と怯え…そして、言いようも無い期待感が湧き上がってしまう。そしてそれに応えるかのように、彼女の子宮がキュンッっと疼いてしまい、身体全体に甘い痺れをもたらす。
 だが今の彼女のはそこで躊躇している暇はなかった。少しの間の後、自滅の予感を過ぎらせて生唾を飲み、そして――
 『グチュッ! ズプズプズプズプズプッ!』
「――っひぃぃぃっ! ぃぁあああぁぁぁぁぁぁぁ――――っ!」
 天使の手が一気に進み、愛蜜と腸液に塗れていた菊門に無機質な剛棒が穿ってゆく。その瞬間、壮絶で甘美な衝撃が彼女の身体を駆け巡る。
 既に自らの手で何度も弄ばれ、ふやけていた菊門は蜜の溢れ出す花園と同じようにあっさりとその太い棒を受け入れてゆく。腸内の一部を無機質な物体が満たしてゆき、圧迫感と痛痒感で聖母の身体は痙攣した。
「っぁがあぁぁぁっ! …あっぐぅぅぅぅっ…っ!」
 すでに恥蜜で溢れ、火照らされ抜いていた冷たき棒が腸内に侵入してゆく。自らの誇りであるはずの槍が、持ち主の意思によって更に穢されながら。剛棒によって満たされる圧迫感と被虐的快感に、腸内は悦ぶように熱さを増していった。痺れるほどの快感が聖母天使の心を満たし、ふやけ切っていた小さな菊穴は痛くなるほどに柄を締め上げてゆく。
 だがそんな凄まじい快感でさえ、まだ挿入途中の段階に過ぎない。それを聖母が知ったのは、前進する剛棒が腸内の行き止まりの曲がり角にぶつかった時だった――
 『グチュゥッ!』
「ぃいっ――ひぃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 侵入されている時とは比べ物にならないほどの苦痛と、それを上回る快感に紅き天使は悶絶した。異物を埋もらせた腸内から発する熱さと痺れが官能の電撃となって脳へと迸り、聖母天使の目の前を火花で散らせてゆく。その快感を発した証拠として秘部からは潮が、柄を咥えている菊穴からは腸液が噴き出し、光る翼がまたピンッと跳ね上がる。
「――あっ…はぁぁぁっ! ああっ、あぁぁん……っ! っんあぁぁぁ……っ!」
 不覚にも腸奥に入れただけで迎えた浅い絶頂に、マリエルは息も絶え絶えに身悶えする。すでに官能に蝕まれていた身体を、そして翼を断続的に震わせ、地面に倒れるまま惨めに自虐の快感に酔いしれる。
 だがそんな被虐行為も、今の聖母の心の闇を止めるには不十分だった。快感の淀みによって動かなくなっていた身体も、時が経ち震えが落ち着くにつれ動き始める。聖槍を手に掴んだままに、再び地面に這い蹲りながら前に進もうとする。今の自分の寂しさを娘に埋めてもらいたくて…
 ――あぁ……悠美…悠美……っ! 
 先程まで被虐的快感に溺れていた聖母の心が、再び孤独に苛まれる。娘と触れ合いたい。共に快楽を味わいたい。そんな歪んだ欲望が、聖母にある慈愛の想いすらも塗り潰そうとする。
 そして彼女の中で燻っている孤独は、雌豚に堕ち快楽に溺れている筈の天使の身体すらも支配し、その醜い絶望を晒そうと歩を進めているのだ。
 ――…だ、駄目っ! 駄目っ! そんな…そんなの……そんな醜い私……今は…見せられないぃぃ…っ!
 だが、そんな娘達の触れ合いを潰そうとする自分の愚考を、僅かに燻る理性が今だに抑えていた。快楽に負け、今にも自身の欲望に堕ちようとしながらも、天使の心には大切なものへの想いは決して消えることは無い。娘への想いと娘との触れ合い…二つの思考がぶつかりながら、マリエルは残された理性を振り絞る。
 ――…そう…そうよっ! ………絶対に……悠美達は……絶対に、悲しませさせないわ……真理っ!
 心の叫びと共に、虚ろになった筈のその眼に光が灯る。まるでそれが最後の灯火であるかのように燃え上がったその眼が鋭くなると共に、震える身体を…槍から離したのも含めたその両手が浮かし上げる。
「う…うぅうぐ…ぐぅぅんぅぅぅぅ…ッ!」
 腕立て伏せの状態から、膝を伸ばし尻肉を突き上げた体制になったマリエル。槍を突き刺し、ぷるんっと震える美尻を晒す姿は、まるで尻尾を振って媚びる様な恥知らずな雌犬であった。
 しかし今の彼女にそんな痴態を恥ずかしがる時間は無い。その尻上げの状態から、マリエルは小さな一呼吸を入れた後――その眼を見開いた次の瞬間、突き上げた美尻を自らの後ろの方へと突き出してゆく。
「……ぁあああああぁぁぁぁっっ!」
 まるで最後の力を振り絞るかのような叫びと共に、突き出した尻肉…挿入された槍の刃が、彼女の後ろにあった樹木に突き刺さる!
「――っっがはっ、っああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 十字の鍔に引っかかるまで、その刃は樹木の奥底までを突き刺していた。そして鍔によって聖槍の侵入を止められたとき、奥まで入っていた槍の柄が彼女の腸内を深く抉り込む。
 勢いよく突き出したことで腸内を抉られる衝撃は凄まじく、今までの自慰行為で快感にふやけていた身体でさえ激痛を奔らせてしまう。すでに槍をびっしょり濡らすほどに溢れさせていた腸液が少しは緩和してくれたが、それでも激しい苦痛に絶叫を上げる聖母天使。
 その姿はまるで樹木から盛り上がった突起に、縛られるような形で秘穴を穿られる一匹の雌そのものであった。
 …だが、そんな状態に縛ることこそ今のマリエルの狙いだった。
 ――ああぁぁぁぁぁっ……! い、いいわ……っ! これで…これ、で…ッ!
 心が衝撃に打ち震え、その眼が虚ろになってゆきながらも、マリエルは自らを封じ込めたことを苦笑しながらも確信した。そして穿っている槍の長身を受け入れやすいように美尻を上げ直す。
 そして地面を押し出すようにしながら腕で身体を支え、不浄の穴に咥え込む槍の『呪縛』から逃れようとする自らの身体を必死になって抑え付ける。
 そうやって四つん這いの体制のままで暫く震え……震えが一瞬止まったかと思うと、彼女の身体が再び前方に動き始めた。
「あぐっ! っひぁぁぁぁ……く…っ!」
 自らの尻穴に深く穿たれた槍から抜け出ようとする天使の身体。ゆっくりと本来の排泄方向へと剛棒を引き抜き、この場から抜け出して痴態に耽る娘達の元へ向かおうと。
 ゆっくりと腸液に濡らされた柄が引き抜かれてゆき、超粘膜が捲られてきた菊穴からいよいよ柄の先が見えようとして――彼女の動きが止まった。
「うぐっ……あ、あぁん…ッ! あぐ、はうぅぅぅん……っ!」
 聖母天使の身体は、身体を震わせるようにする形で止まっていた。それは腸内で異物が暴れる快感からか、それとも支えている両腕で身体の動きを抑えているのか…マリエルは必死になって、地面に突き出している両腕で身体の動きを止めていたのだ。
 その体制が少しした後……今度はその身体が樹木の方向、その尻穴が再び柄を飲み込んでゆく。
「…ひゃっ! んぅぅっ、はいるぅぅ…中にくるぅぅぅぅぅ…っ! やぁぁぁぁぁぁ……っ!」
 再び菊門を貫き、ゆっくりと腸内へと侵入してくる十字の柄。何度も天使の中で暖められたその聖なる十字架は、無機物でありながら生身の陰茎と同じほどの暖かさを腸内へと伝え、並みの影魔にも劣らない太さで拡張された狭門を腸粘膜ごと擦り上げる。半ば暴虐ともいえる肛内への侵入に聖母は尻肉を震わしながら悶え泣いてゆく。
 そして、再び膣内を征服してゆく柄の先がその行き止まりを抉るように貫く。
「――っ! あひぁああぁぁぁぁぁっ! ひぃぃぃぃぃ……っ!」
 再び苦痛と、そして今度はそれと同じくらいの気持ちよさに泣き叫ぶ紅き天使。今度は絶頂へとは導かれなかったが、それでも擦り上げる肛内への責めはどうしようもなく気持ちいい。そんな自虐的快感を、聖母はただ四つん這いのままで鳴きながら感受するしかない。それもまた、自分を縛るために必要な代価でもあるのだから。
 ――あぁあ……これは、少し……きび…しっ、ひぁぁあぁん…っ!
 その想像以上の苦痛と快感に、浮かした頭を振りながら身体を震わせていると、犬のように四つん這いになっている身体が聖槍から抜け出そうとまた身体を前進させようとする。しかしそれもまた、柄の先端が見えそうになる寸前に止まり、また柄を咥えこんでゆく。
「っやぁぁぁぁ………っ! ま、また…っ! 気持ちよく……いっっいひぃぃぃぃぃぃっ!」
 何かを言い終えるまもなく、またしても十字の柄が天使の肛内を奥ごと擦る。苦痛と官能の電撃が再び全身を駆け巡り、マリエルは悲鳴を上げながら悶絶する。
 ……そんなふうにその豊満な身体を十字の槍で貫かせては、それを抜き出そうと前進し、寸前のところで止めてはまたその十字の槍に身体を貫かせる。その度に紅き天使の身体は震え上がり、悲鳴のような嬌声が溢れては、桃色と化した尻肉と共に晒された花園から恥蜜が流れてゆく。
 そんな行為が何度も繰り返されるうちに……最初はゆっくりだったその速度が次第に早まってゆく。
「あっはぁぁぁぁんっ! い、いいわ…っ! おひり、気持ちよくっっなって――いっ、ひぃうぅぅぅぅぅぅっ!」
 最初はぎこちない身体の上下運動も次第に滑らかになってゆき、槍を咥え込んでいる腰の動きが厭らしくくねってゆく。苦痛が混ざっていた表情は快楽に溺れるような雌のものなって頬を紅らめさせ、苦痛が混ざって悲鳴に近かった嬌声も甘いものに変わってゆく。そして無機質の棒を咥え込んでる尻穴と前園から溢れる恥蜜が、その太い剛棒を濡らし穢してゆく。
「ひゃぁぁ、はぁあぁぁぁっ! だ、駄目…また、わたくし…っ! お尻で……お尻でぇぇぇぇっ! ぃひぃぃぃぃぃぃっ!」
 その光景はまさに完全に肛虐自慰に耽る雌豚へと堕ちる様そのものあった。媚びる様な甘い声で鳴きながら、雌豚天使はまたしても被虐の快感に倒錯しだしたのである。 
 だが――
 ――……い、いいぃ…っ! ……これで…いい……っ! このままっ………果て堕ちてしまえば………悠美達を――あっ、ひぃぁぁぁぁぁ…っ!
 ……だが今のマリエルにとっては、そのまま惨めに意識を消してしまうことこそ望むことであった。こうやって自ら快楽に溺れることによって、湧き上がる『寂しさ』で暴れる『欲望』を捻じ伏せる――それこそが寂しさにで打ち震える自分を抑える手段でもあり…罰でもあった。
 例えどんなに愚かな行為に走っても、惨めな痴態に耽っても……それで悠美を悲しませることを止められるのなら構わなかった。そしてそんな感情に溺れ、悠美の支えになることを放棄しようとした自分が許せなかった。
 だから……神の教えに背き快楽に溺れてでも、ここで自らを縛っておきたかった。恥知らずによがり狂っても、この場で「今日の自分」を消してしまいたかった。
 今発情して求めている快感が、先程の影魔との戦いによるものか、それとも全てが自分の意思なのか……それはもう分からない。けれどそのマゾヒスティックな感情…本来なら影魔と同じような欲望が、彼女の中に残された理性を手を組んで、今燻っている自身の「欲望」を抑えたかった。
 すなわち、彼女は自滅を求めていたのである。
 今後もそれは燻るかもしれない。それで悠美に嫌われ、それでもそんな醜い欲望を悠美たちの前に晒すかもしれない。そしてそれに逆らえないかもしれない。
 けれど…今だけはそれをなんとしても防ぎたい。悠美の想いはなんとしても守りたい。今日がその『欲望』のピークであったとしても。
 ――はぁぁ…っ! ご、ごめん…な、さい……っ! 悠美…っ! こんな、愚かな私を……あなたのママなのに………身勝手にあなたを求める、醜い私を……許し、て……っ!
 もはやそこには聖母としての気高さは残っていないのかもしれない。今の彼女は、歪んでしまった心が求める愛に苦しみ、娘に許しを請う一人の哀れな女性に過ぎなかった…
 だがそんな残された理性を叫びながら母としての苦悩に悶える彼女の姿も、旗から見れば尻穴に無機物を出し入れしてよがり狂う雌豚にしか写らない。腸液と…そして前穴から恥蜜を溢れさせながらジュプジュプと厭らしい音を立て、美尻を前後に震わしながら無機物を出し入れするその行為は更に激しさを増してゆく。
 並みの影魔の陰茎程もある太い柄のピストン運動。腸粘膜を削ぎ落とすかのような激しい運動が展開されてゆき、その度にどうしようも無く気持ちよくなって悶えてしまう。もう彼女の全身を支配するのは苦痛はなく、あるのは自虐的な快感のみであった。
「ひっぐぅぅぅぅっ! こ、こんな…気持ちいい、なんてっ! っあぐぅぅぅぅぅぅぅっ!」
 無機物からの想像を超える肛虐に、雌豚天使は金色の髪を振り回しながらよがり狂う。自ら虐めているお尻が果てしなく熱く、きつく、そしてどうしようもなく気持ちいい。その激しい虐悦がまたしても天使の意識を快感に、そして真っ白に染め上げてゆく。
「…だ、駄目…っ! わたくし…! また、またっ…あっはぅぅぅぅぅぅっ!」
 またしても自虐行為で、それの肛逆のみで限界を迎えようとしている変態天使。四つん這いになっている全身が、二対の翼が激しく震え、豊満な胸が腰の動きに連動するかのようにたぷんたぷんと揺れる。喉を仰け反らせ、開いた口から屈服の叫びが木霊する――
「イッく…っ! お尻で…わたくひぃ…っ! また、イっちゃうぅっ…いくぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!」
 犬が空に遠吠えを吐き出すような体勢で、あさましい声を上げながら紅き天使はまたしても絶頂を迎えた。柄を咥え込んでいる尻穴が柄を痛いくらいに締め上げながら痙攣し、しかしそこから腸液が溢れ出し、そして放置されていた秘部から大量の愛蜜が噴出す。
 再び迎えた絶頂の余韻に、雌豚に堕ちた天使はただ身体を震わせながらその悦びに浸る。しかし……
 ――き、気持ちいい…………だ、だめぇ…もう動け……………………え…? そ、そんな……っ!
 彼女が法悦の極致に吹き飛ばされたとしても、もはや今の彼女の身体はそのくねりを止めることは出来なかった。絶頂の余韻が全く覚めやらぬうちに、尻穴を責めるピストン運動が再開されたのだ。
「っっあぁぁあっっ! ……はぁう、ぅぅあぁんっ! だ、だめぇ…、ま、また…わたくひっ! こひが…とまらないぃぃぃぃっ!」
 今だにどんなに止められても娘を求めようとする自らの欲望と、それを抑えようと快楽に身を任せる『理性』という欲望との『戦い』は、もはや彼女の意思をですら止められない程に暴走していた。もはや彼女の心が狂ったとしても、欲情に耽る彼女の肉体が暴れるのを止めることは出来ない。
 ――いやぁ……私、また…お尻で気持ちよくなって……止まらないぃぃぃぃ…っ! らめぇぇぇ…っ!
 再び再開された肛虐のピストン運動に、肉体の自由を放棄した聖母はただその悦楽を貪るしか許されていなかった。肉体すら裏切られ、紅き天使はその虐悦に対し尻肉をぷるぷると震わせる。肉体の暴挙を止める為に悦楽に堕ちた天使の心は、何時しかその悦楽のみを求めるようになってゆく……
 ……しかしそんな激しい肛虐ですらも、次第に彼女のマゾヒスティックな『欲望』を満たす事が難しくなってゆく。
「やぁぁっ……他の所が…切ない…っ! おっぱいも……あそこも……っ! 切なくなって…あ、あぁぁぁぁんっ!」
 身体を繋ぎとめるためとはいえ、先程まで弄んでいた秘所を放置してしていたために、次第にその部分の疼きが湧き上がってくる。特に乳首の方はどうしようもなく勃起して、今にも捏ね回したいという衝動が湧き上がってくる。
 ――さ…触りたいぃぃ……抓って…捏ねて…っ! ………………だ、だめ…っ! そんな事、したら……っ!
 今にも自らの手で嬲りたいという衝動を、僅かに残る理性が歯止めをかける。自らの歩を止めているその両手…その両手を地面から離してしまったら、自らを抑える最後の枷を失ってしまう。いやもしここで少しでも体勢を崩してしまったら、もう自身の身体を止めることが出来ない。
 雌豚天使は自らを縛ると同時に、身体を弄ぶことは愚かその体勢を崩すことすらもままならなくなっていたのだ。けれど先程まで弄んでいた豊満な肉果実も剥き出しになった肉芽も、肛内を穿たれる快感に反応して勃起してしまう。何度も絶頂に追い詰められ、とてつもなく敏感になっている雌の急所は彼女の手によって弄って欲しいと必死に訴えてくる。
 ――…が、我慢できない……っ! これ以上は…もう…っ!
 しこり立つ乳首の疼きの甘美な誘惑が、孤独に鳴く天使の心を激しく揺さぶる。独りぼっちになっている聖母にはもはや快感に抗う力は残っていなかった。自らを縛りつける為に快楽へと堕落したはずなのに、その快楽によってこの緊縛が解かれようとしているのだ。
「っあぁぁんっ! らっ、らめぇぇぇっ! からだっ崩しては…らめなのぉぉぉぉぉっ! っいぅぅぅっ、ひあぁぁぁぁぁぁっ!」
 自らを抑える筈の二つの腕が折れそうになり、同時に尻穴を穿つ槍柄の先端が次第に見えてゆく。このままでは聖母に離反した身体はその戒めから解き放たれ、快楽に悶えながらも近くにいる少女達の元へと向かうだろう…悲しみと悦楽をもたらす堕天使として。
 もうこれ以上、支えとして腕を抑え付けることが出来ない――マリエルの心が絶望に満たされてゆき、快楽から孤独という闇へと再び堕ち始め――
 ――………っ!?
 ふと――顔を振っていたとき、自らを支える大地が目に映ったとき…同時に映ったのだ。その大地に横たわる、光る翼の羽を。
 何度も肉欲に溺れ、絶頂によって何度も震えぱたつかせた翼から飛び出した羽が散らばっていたのだ。今だ光を失っていない羽は、快楽に堕ちたはずの天使を優しく照らしてゆくかのようであった。
「っひぁああぁぁっ! …んぅん、んぅぅんっ! っこれっ、これっっなのぉぉぉぉぉぉっ! っぁあぁん、ああぁぁぁぁぁっ!」
 再び目の前がスパークしてゆき、半ば意識が朦朧とし始めながらも、マリエルはまだ自分に残されていたものに気付いた。たとえ手足を封じられても、自分にはまだ自由に出来るものが。
 …けれどそれは、自身の存在意義を否定すること。みんなの幸せを…悠美の幸せを守る光翼天使としての自分すらも穢すこと。天使としても、母としても恥知らず極まること……けれど、もうそれ以外に自分が動かせるものはない。このまま自らの手を解放して、大切なものを悲哀にくれさせるくらいなら――いや、それは違った。
 ――…だ…だめぇ…っ! 触りたい……早く、はやくぅっ! もうっっだめぇぇぇっ!
 守るものが無い天使の心はなんと脆いものなのか……既に淫気に狂ってしまっていた紅き天使は、母としての尊厳すらも忘れて、堕落への宣言を心の中で叫んでしまった。もう完全に雌豚へと堕ちてしまった証であるかのように、涙まで流していた表情は、雌としての期待と焦りに満ち溢れていたものになっていたのである。そして、そうこうしている間にも疼く肉果実はもう抑えられる段階になってきていた。――もう、我慢できないっ!
「うんぅっ! っくぅぅぅぅぅぅっ……!」
 ……まるでその快楽を求めるかのように、地面へと折れかかっていた両腕が再び伸び上がり、先程と同じ四つん這いの…雌豚に堕ちた彼女に相応しい体勢になる。
 そして今だ続くアナルピストンによって再び法悦への境地に追いやられそうになる中……今までパタパタと打ち震えるだけだった二対の光る翼が、肩と脇の方から彼女自身を包んでゆき…たぷんたぷんっと揺れる豊満な双丘を上下からぎゅっと圧し潰してゆく。
「――っひ、いぁぁああぁぁぁぁぁぁぁんっっ! イクイク、イクぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!」
 聖槍で腸内の奥を抉るのと同時に双方の乳房を光る翼にプレスされ、またしても限界を迎えていたマリエルは絶頂を宣言した。背中が弓形に反り上がり、地面を支えている手が浮き上がったまま痙攣する。
「あぁぁぁっ! いぃぃのぉぉぉ……イってるのぉぉぉっ! わたくひ……またぁぁぁ、あはぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 悦楽に蕩けたその口からは涎が流れ、手を付けられなかった秘部からは大量の潮が吹き出て勃起していた肉芽を刺激する。そうやって再び訪れた幸福を、聖母は前進を仰け反らせる格好で貪ってゆく。
 けれどそんな体勢もそう長くは続かず、再び両の腕が地面へと突きつけられ、残る余韻は四つん這いのままに味わうことになる。元の緊縛の体勢に戻った金髪雌豚は、涎を止めることも出来ないままに全身を震わせてゆく。
 …だがそんな至福に傾倒する天使の意思など、今の彼女の肉体には関係ない。自らの意思をもったかのように動く彼女の肢体は痙攣しながらもなお、その緊縛から抜け出そうと身体を前進させようと……いや、もうその動きは前進するだけのものではなくなっていた。
 ――やぁぁぁ…なにっ!? こ…これ、おかひすぎるぅぅっっ!
 絶頂の余韻も覚めやらぬうちに、再び始まったアナルオナニーに聖母は混乱したままに金髪を振り乱した。先程までただ抜け出そうともがくだけだった自分の腰がピストン運動に移行し、肛内を激しく穿ちだしたのだから当然といえる。それは自らのうちにある欲望が、一時的にせよ快楽に屈し始めた証なのか。その無機物棒による責めは、絶頂直後で敏感になっている腸内を震撼する。可能な限りその剛棒を咥え込んでゆき擦り上げられる…その快感に肛内や腸内は激しくうねり、グラマラスな肢体を震わせながら聖母を更によがり狂わせてゆく。
「あぁっ! あっ、あっ! っまた、気持ちよくなってゆくぅぅぅぅっ! あっぐぅっ…あひっ――あっ、ぁあはうぅあぁぁぁっ!」
 恥知らずなアナルピストンによってまたしても法悦へと向かい始めたマリエルは、今度は胸の方からくる甘い快感に痺れ狂った。先程自らの双丘を押す潰してきた光翼が、震えながらその巨乳を捏ね回してきたのだ。
 快楽に悶え狂っているの彼女と同じように激しく震えながら、その先の肉果実ごと乳肉を捏ね回してゆく二対の翼。多数の羽に擦り搾られるという快感美。天使の象徴で母性の象徴を襲うという、いつもとはまた違う乳搾に聖母は悶えてゆく。
 ――やぁぁ…こんな、気持ちいいなんてぇぇ…っ! 馬鹿なことしてるのに……たまらなく…気持ち、いいの…っ! 止められないぃぃ…っ!
 次第に胸弄りの快感にも倒錯してゆくマリエル。もはや触られるだけでも官能の電撃が迸り全身を蝕むというのに、翼という特殊なものに張り詰めた美乳を責められる。手淫では味わえない、ざらざらとした羽の感触のはまさに異質の悦楽だった。その快感を最も味わうかのように、二対の翼の搾乳が次第に激しさを増してゆく。
 …しかし彼女は知っている。乳房よりももっと感じる…そこよりももっと刺激を求めている部分を。そしてこの翼は、自分への新たなる責め道具。どうやって責めさせるかは自分の思いのまま――
「――ひっ! んぅ…ああぁぁぁぁぁっ! ……乳首っ、ちくびがぁぁぁぁぁぁっ! やぁぁぁんあぁぁぁんっ!」
 官能に溺れてゆくマリエルの喘ぎが更に加速してゆく。乳房を捏ね回していた翼の先端が、その矛先を先端の肉果実へと変え、一気に擦り上げてきたのである。すでに限界にまで勃起していた余りに敏感になっていた肉粒は、摩擦運動だけでも過敏に反応し官能を貪ってゆく。
 だが巨乳を捏ね回す二対の翼の責めはそんなものではない。片方に上下一対の翼が纏わりつき、柔乳肉を捏ね回してゆき、ときに強い圧搾を咥えてゆく。そして翼の先端が同じ先端の肉果実を挟み込んでは、摩擦と圧迫を加えながら抓り回す。今までの滑らかな手の感覚にはない、翼のざらさらした感覚が、普通に弄ぶよりも遥かに速い速度で胸全体を痺れさせてゆき、甘くて熱い感覚で支配してゆく。そんな乳辱がどうしようもなく気持ちよくて、マリエルはただ尖った顎を振り回しながら悶え喘ぐしかない。
 ――た、たまらないぃぃぃ…っ! おっぱい、全部…熱いぃぃ…っ! 壊れるのぉぉぉぉ…っ! あぁあっ…あぁっ! 
 壮絶かつ異質な肛自虐に乳自慰。自身の、天使の象徴である全てを自慰の道具に使うという、戦士としてあまりに恥知らずな行為。普段の彼女ならどこかに消えてしまいたくなる程の惨めでいやらしいそれらの痴態も、今の雌豚にとっては余りに至福だった。
 彼女の心も娘を求める欲望も、その全てが正気を蝕まれ、マゾヒスティックな官能美が今の聖母を支配していた。快感に喘ぐ口からは涎が止まらず、胸も、尻穴も、そして晒されたまま放置させられている花園も、全てが悦びの蜜を溢れさせ――その快楽がマリエルの脳を完全に蕩けさせながら、限界への階段を一気に駆け上ってゆく。
「ら、らめぇぇぇっ! …また、わたくひっ! もうっ、あぁぁあぁんっ! …もうっ、イっく…っ!」
 耐えられない…いや、耐える意思すらない。脳を溶かすほど快楽が全身を蝕み、目の前を真っ白に染め上げてゆく。自虐に全身を痙攣させ、全身が真っ白になる。――くるっ!
「いぃ…くっ! イっちゃうっ! イっちゃうイっちゃうイっちゃっっっああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!」
『ぷしゃぁぁっ! ぷしゃぁぁぁぁぁっ!』
 身体を激しく痙攣させ、大量の愛蜜と…激しく柄を締め付けている菊門からも腸液を噴出しながら、またしても絶頂を迎える淫乱聖母。周りに誰もいるわけではない…自らに宣言するかのように、犬が仰け反るかのような体勢のままに叫びながらマリエルは再び迎えたアクメに酔いしれる。
 …だが絶頂を迎えた筈なのに、今度は自らを弄ぶ行為が止まる気配がない。それどころか再び迎えた絶頂を今度は逃すまいと、胸を弄る行為も、尻穴を穿る行為も更に速度を増してゆく。
「あぅぁぅぅぁあぁぁっ! ら、らめぇぇぇぇっ! イったはずなのにぃぃぃぃ…とめられないぃぃぃっ! 気持ちよく、なるのぉぉぉぉぉっ!」
 まるでタガが外れたかのように、全身を持って自虐地獄に堕ちてゆく淫乱天使。その浅ましさはまさに痴女そのものであった。激しく腰を振りながら、自らの翼で搾乳してゆく…その姿は余りに惨めで厭らしくて、雌の匂いを充満させるものであった。
 そして再び絶頂への扉が開かれようとする中…乳房の奥から何かが流れ込んでくるような感覚に、胸全体が激しく痺れてゆく。
 ――あぁぁ…っ! 駄目ぇっ! また、おっぱいぃ…っ! 乳首っ…我慢できなくなぃぃぃ…っ! 
 まるで再び堪ったものを吐き出すかのように、激しく震える身体よりも更に震える美巨乳とそれを搾乳する四枚の翼。厭らしく動きながら、ざらざらした感触で乳首もろとも責め立てるその羽の感触と圧迫に、豊満な柔胸肉はあっという間に我慢の限界を迎え、胸の中を流動してゆく――
「やぁぁぁぁっ! あぁっ! あっ…またっ! またぁぁぁっ! おっぱひっでっ、イクぅっ! また、イッちゃうぅぅぅぅぅっ!」
『ぶぴゅるるる、びゅるぅぅぅっ!』
 絶頂も覚めやらぬまま、聖母の身体を新たな絶頂が覆いつくす。新たなる恥蜜たちが溢れると同時に、今度は白い乳液が乳首から噴出した。新たに胸の中で溜め込まれたミルクはかなりの勢いで放たれ、前方の地面だけでなく紅い聖衣や、絞り上げていた翼を白く濡らし上げてゆく。
「あはぁぁぁっ! いやぁぁぁっ…お乳、出るのが…きもちいぃぃぃぃっ…! 出しながら、イってるのぉぉぉぉぉ…っ!」
 次第に乳首から噴出してゆくミルクが収まってゆきながらも、今だ乳腺を刺激する快感に絶頂天使は酔いしれた。まるでその名残を惜しむかのように全身を震わせ、摩擦運動を繰り返している尻穴を思いっきり締め付けながら、その絶頂に溺れてゆく。
 …そして乳腺の流れが納まり、母乳の出が止まる。そして出された母乳は様々な箇所を…光る翼の先端をもその白濁で濡らした後が残った。
 ――あぁぁ……っ! やぁ、これ…いやらしすぎるぅ…! でも、気持ちよくて……たまら……あはぅぅぅあぁぁぅっ!
 自らの象徴である翼の光よりも光沢を放っている乳液の付いた先端を見て、その厭らしさと浅ましさに眠っていたはずの羞恥心が僅かに起き上がる。だがそれも一瞬のことであった。少しの間だけ止まっていた二対の光翼が、再び聖母の美巨乳を責めてきたのである。
「らっらめぇぇぇ…っ! おっぱひ…おっぱひぃぃぃ…っ! …ミルクで、塗りたぐってるのぉぉぉぉ…っ! ……あはぁぁぁぁっ! まっ、またぁぁぁぁぁっ!」
 どんなに身体を穢されることも、身体の自由が利かなくなることも、もはやその身体に潜む雌としての衝動にとっては関係ない。光る二対の翼もまた天使の衝動に応えるかのように乳肉やその果実を弄ぶ。ザラザラと擦ってゆく羽の感覚は、今だ絶頂から覚めていない敏感乳にとって余りに強烈だった。
 すでに熱く、そして気持ちよくなり過ぎている柔乳肉もその果実も、捏ね回され擦られる快感美が炸裂し一気に全身を駆け巡る。柄に何度も突き上げられる肛内と共に、脳内を真っ白に何度も染め上げてようと嬲り尽くしてゆく。
「やぁぁぁぁぁっ! イクっ! …おっぱひでイク、イッちゃうっ! また、おっぱいでぇぇぇぇぇっ! ――ひぃぃっっ!? …っぃいあああぁぁぁぁぁぁっ!」
 再び限界を迎えてしまう――そう感じた瞬間、不意に太ももからくる衝撃に脳を叩きつけられ、覚悟していた以上の衝撃がマリエルを襲った。乳房を襲っていた翼の一枚が乳責めから離れ、今まで放置されていた秘園を、勃起していたしきっていた肉芽ごと擦り上げてきたのだ。
 肛内も乳肉も責められ行く中、女の最も敏感な場所でありながらずっと放置されていた部位をざらついた感触が擦り上げる。その余りの官能衝撃に耐え切れず淫乱聖母は狂ったようにイキまくった。肉唇が激しく震え、大量の愛蜜が擦り上げる翼を、そして太股を更に濡らしてゆく。
「ら、らぇぇぇぇっ! きもひよすぎるぅぅぅっ! また、またイクぅぅっ! イッちゃうぅぅぅっ! っやぁはああぁぁぁぁぁぁぁぁっ! わたくひぃぃぃぃぃぃっ!」
 絶頂の最中で再び絶頂に達してしまう自虐の天使。自らの翼に乳房も乳首も捏ね潰されながら擦られ、秘所もまた勃起しきっているクリトリスごと擦られる。そして樹木に突き立てられた槍の柄によって、腸内を突き上げながら肉壁ごと肛門を擦り上げてゆく。その度に翼ごと全身を肉悦の電撃が迸り目の前を真っ白な世界へと吹き飛ばす。
 余りに激しい肉悦、その消意寸前の連続絶頂に、マリエルは翼ごと全身を震わせながらイキまくった。上の口から涎を垂らし、舌の口から潮を噴き上げながら、四つん這いの体勢のままに痴態を晒しながら、絶頂の間に新たなる絶頂に悶絶しまくる。その余りの連続絶頂に、すでに聖母の意識は消える寸前にまで朦朧としていた。
「イッてるぅぅぅぅっ! わたくひぃぃぃぃっ、じぶんへぇっじぶんをいひめてぇぇ……イってるのぉぉぉぉぉっ! ぁはああぁぁぁぁぁぁっ! らめぇぇぇぇぇっっ…もぅぅぅっ、あはあああぁぁぁぁぁっ!」
 すでにアヘ顔になりながら、何度も襲い来る絶頂の官能美に雌豚と化した天使は悦びの泣き声を上げながら何度も快感を貪り食らう。自らの全てに背かれながら、性感帯を自ら何度も弄びながら、自虐の天使はその虐悦によって何度も果て続けてゆく…… ――あぁぁ……よかった…っ! これで、悠美達を脅かすものは……無い、わ…っ!
 朦朧とする意識の中、雌豚に堕ちたはずの聖母の心に、安らぎの想いが過ぎってゆく。
 もう自分にはこの快楽の呪縛から逃れることは出来ない。おそらく、このまま意識が消え去るまで自らを責め続けるだろう。そして、次に目が覚めるころには…娘達の痴態も終わっている。もう彼女達の幸せを脅かすものは何も無いし、周りにもそれは感じない。
 自分はおそらくこのまま果て切ってしまう。その後で意識を取り戻した時、そこにいるのは自分一人か…それとも、この醜態を誰かの目に晒すか……。いずれにせよ、この余りの痴態に、死にたくなるような恥ずかしさに苛まれるのは間違いない。そのまま、自分の愚行を嘆くのか…己が欲望を叶えられなかったことを後悔するのか……
 先のことは分からない。
 でも……それでもいい。それが悠美達が不幸を避けられるのなら…自分の醜い想いで、悠美達の思い出を潰すのを止められるのなら………彼女は、例え自らを不幸に貶める事も厭わなかった。
 ――…悠美…悠美……ゆみ、ゆみぃぃっ!
 何度も襲い来る絶頂によってもはや消えゆこうとする意識が過ぎるものは……娘への愛の叫び。だが、もはやそれが理性であるのかも、欲望であるのかも、そして快楽であるのかも分からない。全てを包み込んだものか、それとも唯一つの想いだけがそう叫ばせるのか…それはもう当人にも分からなかった。
 ただ悠美への想い――純粋な愛だけが、絶頂に溺れる中にある意識に残されたものだった……
 
「あぁぁぁぁぁっ! ひぃぃぃぁあはぁぁぁぁっ! 悠美ぃっ! ゆみぃぃぃぃぃっ!」
 自らをイキ殺してゆくなか、泣き叫ぶ言葉にさえも娘の名を呼ぶマリエル。月夜の光が僅かに草木の中、犬のような体勢で淫らに泣き叫ぶその姿は、余りに惨めで、それでいて美しく…そして余りに悲しかった。
 …そしてそんな悲しみの自虐地獄もついに終わりを迎えようとする。果て続けたまま…雌の甘美さを溢れ出しながら、汗と愛密に溢れた身体を激しく震わせながら、いよいよ最後の意識が消滅しようとする。悠美を想い、そして求める愛という意識が――
「いっくぅぅぅぅぅっ! ゆみぃぃぃ、わたくひ……わたくぃぃぃぃぃっ! っヒっくぅぅぅっ! ぃぃいいぃぃぃぃぃっ! いっっ――――――」『ガシッ!』「――っっひっ!?」
 その時――意識を完全に弾けさせようとした、まさにその時。
 不意に身体が動かなくなる。まるで何かによって動けなくなってしまったかのように、全身の動きが止められてしまう。後一歩のところで深き暗闇に意識を落とそうとしていた瞬間に、まるでそれを止めるかのような硬直してしまう。
 その余りに不意なことに自らを責めていた翼が思わず身体から離れる。そして性感帯を擦り上げるあらゆる責め苦が止められ、肉悦に蝕まれていた身体が淀んだまま落ち着いてゆく。今だ快感美に苛まれてはいるが、どうしようもないくらいに震えているわけではない。
 ――あぁぁぁん…っ! っな、何…っ? っあぁぁぁぁ…! 一体っ、これは…何、が…っ!?
 何が起こったのかもわからず、半ば消えかかっていた意識が再び覚醒してゆく。絶頂の波は今だ止まらず半ば放心状態ではあるが、目の前の草木が認識できるほどに意識が甦ってゆく。
 そして今だ紅く染まりきった麗顔を動かしながら、一体何が起こったのかを確認するために自らの周りを見回してゆく。 ……そして彼女は見てしまったの――自分の両脇を掴んで捕らえる影を。夜の光ですらも分かるほどの、影の姿をしたその腕を――
「――あ、あなた……は…っ!」
 今だ呂律が回らない中…マリエルは確認したその影に、官能に蕩けた顔を呆然とさせてしまった――

 

 

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