渇望の狼

マリエル誕生日ネタ

コンコン、ガチャ。
ああ? どうした鈴。何か用か?
何? 今日は真理の誕生日だから、悠美にパーティに誘われているが、いってもいいかだと?
俺に断る必要はない。いきたければいけばいい。俺はあいつが嫌いだけど、別にお前にまで強制するつもりはないからな。
ま、愉しんでこい。
うん? 俺? 俺はいかねえってば。
何で俺があれの誕生日を祝わなければいけねえんだよ。いったってケンカを売るだけだ。せっかくのパーティが台無しにするのが落ちさ。
だから、いかねえよ……
何? そんなに気を使わなくてもいいだと? 
ふ、ふざけるなッ! 何で、俺があいつに気を使わなければいかんのだ!
俺は気なんか使っちゃいねえよ、全く。いきなり変な事をいいだして。
とにかく俺はいかねえよ。あいつらはノンキに誕生日パーティでもやってればいいんだ。
そうすれば、俺は誰にも邪魔される事なく影魔を狩る事ができるからな。精々、楽しめばいい。
……くれぐれもいっておくが、あいつらがゆっくりと休めるようにする為に戦うわけじゃねえからな! 俺自身の力を増す為に戦うんだからな。変な勘違いすんなよッ!
じゃ、そういう事で……って。まだ何かあるのか?
他の人達が何かプレゼントするだろうから、俺も一緒に贈れだあ〜?
(顔をしかめたあと、ふと考え込み)
……あいつ……酒飲めたっけ? 
知らない?
ふ〜む。ま、いい。とりあえず、こいつでもくれてやれ。
ワイルドターキー12年ものだ。羽根つきにはお似合いだ。
不満そうだな? 何か文句でもあるのか?
こっちの瓶……ええっと、四本の薔薇の花がついている奴だから……フォアローゼスか。こっちの方が似合いそうだと?
おいおい、勘弁してくれ。こいつの逸話を知らないだろ。
こいつは創業者が恋人にプロポーズした際、四つの薔薇のコサージュをつけ、結婚を承諾したという逸話があるんだぞ。
そんなものをあれに渡せるかよ。もし逸話を知っていたらどうするんだ? まるで俺が好意を持っているかみたいじゃないか。
だから、駄目ッ! 絶対に駄目だ!
うむ。分かればよろしい。
ところでなんでバーボンなのかだと?
しょうがないだろ! 他に思いつくのがなかったんだから!
他に体のいい、当てつけのできる酒が思い浮かばなかったんだよ。
これ以上は聞くなあッ!
ふぅ〜、全く。何なんだ。
はぁ、まだ何かあるのか?
あぁ……悠美の奴のか……
あいつの誕生日の時、俺達は何もしなかったからな。
そうだな。そのお詫びもかねて、か……しかし……
あいつは未成年だから酒を送るわけにはいかないし……何か趣味があったっけ?
うん? 料理が趣味?
う〜む。しかし……贈るとしたら、具材とか調味料とかしか思い浮かばないな。
……しかし、それじゃあ……
そうだな。こいつでも贈るか。
包丁。
岐阜県にいった時、刃物祭りがあって、つい衝動買いした奴だ。
あそこは刃物の名産地だからな。中々にいい品物だが……問題は……
あいつって刃物研げたっけ?
これ和鋼を職人さんが丹念に鍛えたものだから、手入れが少々難しいのだが……
う〜む。いい包丁だから、できるだけ大切にしてもらいたいけど……あいつにできるかなぁ?
まあ、そうだな。真理の奴がどうにかするだろ。うむ。多分、大丈夫なはずだ。
て、事で包丁一式だ。こんなものでいいかな?
うむ。問題がないのならいい。
じゃあな、あんまり遅くなるなよ。

 

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