エクリプス図鑑外典八巻 




●サキ・エクリプス

・モチーフ 剣あるいは刃
・分類  下級エクリプス
・人間時 矢桐早紀

 矢桐早紀が変化するエクリプス。本人が「名乗らない」ため正確な名称は不明。どういった経緯で堕ちたのかも不明。三年ほど前まで、自分がエクリプスだということさえ知らなかった有様。
 外観は早紀が鎧を纏った姿。鉄色の装甲のあらゆるところに刃がついており、また背中には右側にのみ骨のような翼が存在する(これは限定的な加速装置の役割を果たすが、飛翔能力はない)。しかしながら影が早紀を支配しきれていないため、本来の姿とは異なる可能性もある。なお、多少の再生能力も有する。
 「人間としての思考を持っている」、「単純な半人半獣ではない」という点では『上級』の基準は充たしているが、基本的なスペックが平均並みであるため『下級』にカデゴライズされる。よって、性格は早紀本来のものと大差はない。口数少なく黙々と戦闘し、時に口を開けば言葉遣いが若干乱暴になっている程度。これは戦闘行為により早紀自身が高揚、あるいは緊張しているためか。

 戦闘においては、相似形の双剣『デュエル』と『デュアル』による斬戟戦を主とする(基本は『デュエル』の両手持ち、『デュアル』も用いた二刀流は必要に応じて使用)。また全身に装備されている刃(両肩のカッター、両腕のレザー、両爪先のエッジ)を用いた格闘戦も得意とする。特殊な武器として自分の影から大量に放つ槍状の触手(インナーナイフ・ファランクス)、鎧の一部を地面に埋め込むことにより発生させる防御領域(ブレードマイン・テリトリー)なども所持。このように多彩な武装を持つが、どれも決して強力とはいえず、これまで培ってきた経験と技術を最大限に駆使して戦いに臨む。
 並のエクリプスには過ぎた力である存在否定能力(ヴァーミリオン・オーヴァーキル)は、そんな彼女の最終武装といえる。当然、心身ともに負担が激しく乱発はできない。

 彼女は『斬り殺す』ことにのみ特化したエクリプスであり、多くの影魔に見られる陵辱行為用の器官は持っていないと見られる。
 また、翼の存在や刃を武器にすることからエンジェルエクリプスの亜種という見方もできるが、基礎能力の雲泥の差から、やはり別種と考えるのが妥当だろう。
 

「斬られて死ぬのは、お前の役目だ」



●ドラゴニュートエクリプス(ファントム)

・ モチーフ 竜人
・分類   下級エクリプス
・人間時  ナナ

 鍬原彩に拾われた少女、ナナが変化する暴食のエクリプス。『ドラゴニュート』の名は彩によるもので、正確な名称は不明。サキ・エクリプスとは反対に上級エクリプスに匹敵するだけの高い能力をもつが、もはや人間どころか影魔としての自我もない。
 裸身に黒い鱗が螺旋状に張り付いており、両腕は竜の頭部状に変化している。両手は伸ばすことも、任意で五指に戻すことも可能。
 自らの影から大量に召喚する獰猛な触手『喰牙』、両腕の竜頭を融合させた大顎から放つ黒い炎『顎門』、巨大化させた腕でハンマーのように殴りつける『竜鬼』などの強力な武装を持つ反面、後述の理由から殆ど使いこなせていない。また、近くの人間に無意識のうちに自分の情報を送りつけてしまうこともある。
 彼女はすでに一度『倒されて』おり、なんらかの理由によって再び復活したエクリプスである。しかしながら再生が不完全であり言語などに様々な異常が見受けられる。同じ再生影魔でも、ヴィジャドエクリプスによる再生体より格段と劣っているといわざるをえない。本能の赴くままに動いているようにも見えるが、彩の言うことを聞く一面もありその思考も不可解である。


「み、つ、け、た、ぁ――」

 


※以上、ハギの月様の生み出されたエクリプスです。投稿ありがとうございました!


 

 

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