エクリプス図鑑 6
影魔王
●No8 アルファエクリプス
・モチーフ 悪魔(サバトの黒山羊)。神。
・分類 影魔王
・登場 聖天使ユミエル シャドークルセイド
聖天使ユミエル3 ダークリバイバル
すべてのエクリプスの頂点に立つ欲望の支配者―影魔王。
アルファエクリプスは、ユミエル1以前に君臨していた先代の影魔王である。
巨大な漆黒の翼と山羊の髑髏を備えた姿、即ち伝説に謳われる悪魔そのものの外見を持つ。
残念ながら、アルファエクリプスについてわかっていることは少ない。
本体は一体何者なのか、どこから来たのか、そもそも「エクリプスの王」とは何なのか。
「始原(アルファ」の名のとおり、「あらゆるエクリプスの始祖」 を名乗っているが、それが何を意味しているのかも不明。
その言葉が事実だとすれば、エクリプスという存在自体、彼から生み出されたことになるのだが……すべては、謎に包まれている。
一つわかっていることは、「王」を名乗るに相応しい能力を誇っていた、ということだけである。
神の如き統御力を持ち、他のエクリプスに対して絶対的な支配力を持っている。
数多のエクリプスを部下とし、また自らの影からエクリプスを生み出すこともできる。
戦闘力も他のエクリプスとは一線を画し、光翼天使マリエルを圧倒するほどだった(それでも、全力を出していたかは怪しい)。
自らの意思と力を引き継いだ、自分以上の力を持つ「次代の影魔王」の創造を目的としていたように思われる(恐らく、同じ時間軸には一体の影魔王しか存在できないものと思われる)。
マリエルに次代の影魔王を孕ませた後、暴走した悠美=エンジェルエクリプスによって惨殺される。
だが結局は、それが天使母娘にさらなる悲劇と絶望を招くことになる。
そして、彼の思惑通り、次代の影魔王は、最強のエクリプスとしてこの世に降臨することとなった。
始原の王にとっては、己の死さえも掌中の出来事に過ぎなかったのだろうか……?
●No9 オメガエクリプス
・モチーフ 神。魔王。蝶。そして……
・分類 影魔王
・登場 聖天使ユミエル3 ダークリバイバル
光翼天使マリエルを母胎とし生まれた次代の影魔王。
究極最強のエクリプス、終末の影。
影魔の神とも呼べる存在である。
漆黒のゴシックドレスに身を包んだ、儚く幼げな少女の姿をもつ。 だが、彼女の正体はその可憐な容姿からはかけ離れたものだ。
他者の意をまったく介せず、己の欲望のみに忠実。
無邪気な愛くるしさで残虐無比の邪悪を愉しむ。その本質は、言わば完全なる純粋悪である。
他のエクリプスや聖天使の追随をまったく許さない、唯我独尊的な力を持つ。
その存在は、まさに全知全能の神のようにも思われる。
圧倒的な力とはアンバランスに、幼い言動が目立つ。その思考は、 わがままな子供そのもののである。
だがその根底にあるのは、恐ろしいまでに純粋な悪意と欲望―「自分さえ楽しければどうでもいい」という底無しの邪念である。
思いつきで街ひとつを滅ぼしたり、まるで花でも摘むかのような軽々しさで数え切れない命を奪い取る。
残虐無比な行為に僅かの呵責を感じることはなく、そもそも良心さえ存在しまい。
生まれついての支配者である彼女にとって、他の全ての存在はオモチャに過ぎないのだ。
戦闘力、特殊能力ともに他のエクリプスとは別次元の力を誇る。
無限大の欲望のごとく溢れ出す力を、無邪気無造作に、そして冷酷残虐に振るう。
完全覚醒前でさえも、軽く魔力を解放しただけでユミエルを圧倒し、お遊びで街一つを破壊しつくした。
また胎児の状態でさえマリエルを完全に操り、生死の理さえ逆転させてみせた。
生まれついて無数のエクリプスの能力を兼ね備え、それらの特質を併せ持った様々の触手型の下僕を作り出すことが出来る。
また他者の影を奪い取り、本人を自在に操ることが可能。
その圧倒的な力は、すべてのエクリプスの頂点に立つ王の名にまこと相応しい。
だが恐るべきことに、復活したばかりの新王の力は、これでもまだ完全ではないのだ。
すべての力を解放したオメガエクリプスの力は、一体いかほどのものなのか……。
子供のように後先考えず行動しているように見えるオメガエクリプスだが、真っ赤な瞳の奥には人知を超えた思慮が垣間見える。
胎児の状態ですでにマリエルを操り、己の復活のために様々の策謀を用いていたようである。
その悪意は聖天使母娘の運命を捻じ曲げ、淫惨な悲劇へと導く。
彼女の真の目的は知れない――いや、そもそも常人には理解できないのかもしれない。
あたかも、人には神の思惑がわからないのと同じように……。
いずれにせよ、いまや黙示録の鐘は鳴り、終末の王は復活した。
そして、完膚なきまでに敗北した聖天使。
神の如く君臨する幼き暴君を止められる者は、もはや存在しないのだろうか?
蛇足
エクリプス図鑑も、ついに影魔王紹介に至りました。
オメガ様は、自分が考えたキャラクターの中でも、特に一番好きなキャラです。
シリーズ全体のラスボスであり、「完全な邪悪」として設定しました。
1,2の瞳は狡猾ですが哀しいキャラでしたし、そういうキャラは好きなのですが(レナの茉莉華とか)、やはり真の悪は完全な邪悪であるべきだと思っての創造です。
また、主人公であるユミエルは「天使」なので、1では「悪魔」的デザインのヴジャドエクリプスを出したのですが、オメガエクリプスのイメージはその上を行く「神」です。
ユミエルもエンジェルエクリプスという影魔でもあるので、その視点から見れば、正しく影魔王は逆らうことさえ許されない、全知全能の神に違いありません(ユミエル3三話はそういうシチュエーションでした)。
人々のため、健気にも神に挑む天使――この図は非常に美しい。大げさに言えば神話的でさえあります(いやいや、そこまで大層なことは考えていませんよ(笑))。
そして、絶対的な力で叩き潰される様たるや……(笑)。
弘騎は、子供(むしろ幼女)の純粋性は神性に通じるものがあると考えています。
ですので、彼女の外見は幼女だと決めていました。
子供はときに、恐ろしいほどに残酷です。無邪気に花を摘み虫を殺す、そこには善や悪といった理屈はありません。
唯我独尊な子供のわがままっぷりは、悪気がないからこそ始末におえないものです。
まぁ、オメガ様に悪気がないかどうかは甚だ疑問ですが(笑)。
オメガ様もスネア同様、連載版と単行本版とでかなり扱いが変わったキャラクターです。
連載版では本当に顔見せだけでしたが、単行本版では無敵の暴れっぷりを見せ付けました。
多分、二次元悪役のなかでも最悪クラスの被害を出しています(街破壊、市民虐殺の残酷スペクタクルに関しては、編集様に無理を言って通してもらいました。感謝!)。
当然、弘騎としては単行本版のほうが好きです。
P179「未曾有の恐怖の只中で(中略)人々は、聞いた」以降の数行は、とくにお気に入りです。あの僅かな分量に、オメガ様の底知れなさをぎゅっと凝縮して表現できたと思っています。
また、その部分や、ママの胎内にいるときの、純粋な欲望が思考の波になって発露するカタカナ描写など、かなり気に入っています。
作中では聖天使母娘を完全に圧倒し、思うが侭に弄びます。
すべてをかけて必死で戦いを挑む聖天使を軽くいなし、悲壮な決意を嘲弄し正義の思いを踏み躙る。
いやぁ〜、たまりません。
このぐらい強い敵キャラがいると俄然燃えますね。
オメガ様はいわゆるゴスロリファッションでデザインしましたが、これはゴシックの持つ退廃、背徳感に惹かれてのものです。
ゴシック趣味のデカダンスは、究極的には死と結びつくものだと考えますが、それは即ちオメガ様のモチーフ「終末」と直結します。
漆黒のカラーリングも(もともと、ゴスファッションにおいてもそうですが)、邪悪のイメージに相応しいです。
ヴジャドと違って、オメガ様は姿は完全に人間の姿をしていますが、その姿でさえも超然とした存在感を感じさせます。
単行本でようやくイラストにおこされましたが、最初にデザインを見たとき狂喜したのを覚えています。
マガジンにも掲載された立ち絵、あの、どこか人間離れした超越感がたまりませんでした。
大きな蝶を象ったヘッドドレスや、パンプスにあしらわれたリボンなど、衣服は蝶をイメージした意匠が施されています。
これは、彼女のモチーフの一つです。
蝶は鮮やかさ、美しさの象徴としてもあげられます。それに、卵から生まれた醜いイモムシが蛹に包まれ美しい蝶として羽化する、その変態の様は妖しく幻想的です。
劇中でも、影魔王は蝶のように様々の姿に変化していきます。
マリエルの胎内から頭部を現したイモムシから、復活直前の暗黒の蛹、そして美しく成長した影魔姫へ。
力を増すに際し、徐々に変化していく敵キャラは大好きです。
「変身」ヒロインであるユミエルに対しても、いい感じで敵キャラとして立っていると思います。
さて。オメガ様の華麗な変身は、影魔姫の姿で終わりではありません。
いずれ、その真の姿をお見せできるときもくるでしょう。
それに、オメガ様自ら手を下す陵辱シーンもまだ書いていませんよね( 連載版では搾乳がありましたが、あれはいま思えばまったくぬるすぎました。オメガ様に相応しくない。反省しております)。
最終ボス自らが手を下すのです。他の陵辱とは一線を画したモノを書く必要があると思っています。
その点、同じ影魔王であるアルファによるマリエル逆十字磔陵辱はかなりいい感じだと思っています。
です が、オメガ様は先代を遥かに上回る影魔の神なのです。当然エロシーンでも、前者をはるかに上回るものを考えています。
いずれお見せできるときもくるでしょう。
自分も楽しみにしています(笑)。