エクリプス図鑑外典一巻 P7
●Noπ シアンエクリプス
・モチーフ 犬
・分類 下級エクリプス
・人間時 速水 直
・登場 聖天使ユミエル外伝 リコーリング・インティグニティ
野に放した野良犬が二足歩行で動くような、基本的なエクリプスを体現しているエクリプス。
能力も醜き欲望も並に持った、一見するなら一般的なエクリプス――しかしその実、別の方向で特化性を持ったエクリプスである。
犬という特質上、本格的な勃起は挿入後であり、彼の陵辱はそれを起点に行われる。
陵辱の際はまず膣中で肥大し、そこで二・三度射精する。そこからはまるで爆発したかのような、少し刺激するだけで射精してしまう陰茎をもって相手を辱め、何度も白き汚濁で染め上げぬく。
そこまでなら普通の影魔と大差はないが、彼が一度の陵辱で解き放つ精液の量は凄まじく、何体もの影魔がとき放つ量を一人分で持ち合わせている。
しかし自身が早漏である故に、影魔化当初においては普通の女性が普通の行為で一・二回絶頂を迎える程の総持続力しかない(後に訓練によって少しずつ持続力は付いてきているが、それでもまだ女性が普通の行為で二・三回絶頂を迎えるまでである)。
そんな不利を持ち合わせているからこそ、性の快楽だけで心身的に女を屈服させてやろうという欲望は強い。
それ故、責め方においては(自身が必死に勉強・訓練した賜物により)熟練したものであり、仲間内ではそちら側の方で有名。口はかなり悪く陵辱は激しいが、決して暴力的なものでない。
そして彼の影魔としての特殊能力は、彼の周りに纏わり付いている『蚤』である。
この力は欲望というよりむしろ絶望の産物ではあるが、彼はこれを遠隔操作に使うことで相手の神経中枢に干渉して、遅効的に発情させたり相手の心を読んだりそれで干渉する事もできる。
中でも恐るべきなのは快楽神経を操作する能力であり、これを取り付かせた相手の快楽の感覚を操ることが出来る。
彼は基本的に、それを絶頂への感覚を寸止めさせるために使って相手を陵辱する。絶頂を止められたまま飢餓感を増大させてゆくその焦燥責めは、並の女性なら数回もしないうちにあっけなく屈服してしまう。
しかもこの能力は男性に対しても有効であり、彼はそれで自身の陰茎を強くするための訓練に使用したり、他の邪魔な影魔を屈服させたりしている。
そしてこの蚤は発動直後は一般的な大きさにまで小さくなることも出来、どこであっても張り付いていれば効果を発揮できるため、この効果を回避することは非常に困難である。
ただし相手の神経と繋がるという能力上、これで繋げているうちはどんなに責めても相手の精神が崩壊することはない。また下級影魔という自身の力の関係で、一匹しか生み出して操作することしか出来ない(なお蚤の形をしているのは、犬に取り付くものといえば蚤という当人の認識を反映してのものである)。
とはいえ、屈辱と焦燥で屈服させるという点ではまさに最適といえる、また違った方向性で厄介な能力を持った影魔である。
なお犬という基本的能力も持ち合わせており、四速体勢による走行や視覚・嗅覚の能力も十分にある。しかしながら影魔としての戦闘力は並みの影魔よりちょっと弱い程度――すなわち、マリエルほどの相手には瞬殺されてしまう程度の力しかない。
影魔に堕ちた直はかなりの早漏。
当初女友達との初体験のとき早漏であること相当に馬鹿にされ、それが原因でグレて不良となる。その後に別の女友達との行為のときにもそのことを激しく侮辱され、その悔しさと絶望で影魔に堕ちた。
その影魔化に得た剛棒で女友達を陵辱するも、やはり早漏であることを侮辱され、更なる絶望と欲望蝕まれることで『蚤』の力が目覚める。
その蚤の力の扱いに苦労しながらもようやくのことで、懇願されるほどに屈服させることが出来る…しかしながら結局は、自身の陰茎を馬鹿にした「女」への悔しさが消えなかった。
そして女達を言葉や愛撫などで陵辱しながら、何時か自身の陰茎だけで女を屈服させるために必死に訓練して鍛えている。
陵辱する際にはこれだという女と決め手から行い、その間は(例え他に極上の美人等がいても)他の女性には目もくれない。そしてそれを邪魔した相手には、『蚤』による超絶焦らしで懲らしめる。
相手を快楽で踏み躙ることに喜悦を感じる下衆になっているが、自身の考えによりあらゆる「死」だけは絶対に認めず、その行為を許しはしない。
最終的に彼はマリエルを犯し完全に屈服させられることに成功するも、それで力を使い果たした直後ユミエルたちに捕縛され、なし崩しの形で浄化される。
何故マリエルを屈服させることが出来たのか? そしてユミエル達の前に彼女を引きずり出して心の内を吐き出させたその真意は?
それらが語られたとき………
「なぁっ、本当はそいつと……がぁっ! ……抱き合い、たいんだろう…っ? …もう素直にっ言っちまったらどうなんだっ、うらあぁっ!」
オメガ様のお言葉
こいつ、エクリプスになっても早漏だなんて、もうどうしようもないクズじゃない!
で…… ええ? こんな弱っちぃクズみたいなエクリプスにやられちゃったの?
ママらしくもない……いくら賞味期限切れの中古ヒロインだからって、ママも焼きが回ったものよねぇ、あはははは!
●Noρ ワアルエクリプス
・モチーフ 鯨(抹香鯨)
・分類 下級エクリプス
・人間時 鯨(人間ではなく、人間に飼われてはいないので名は無い)
海に生息している海洋生物、鯨。その鯨が、新たなる影魔王の覚醒や大量の影魔覚醒などによる影の力の奔流によって影の意思が目覚め蝕まれた、動物からの派生型エクリプス。
本来生存本能という欲望に強い動物が堕ちるという稀な影魔の一体。影に目覚めたといっても、他の影の意思の奔流に飲まれてしまっているために自身の欲望と他者の欲望が混同している。
外見上…少なくとも、海で泳いでいる姿を見る分には普通の鯨と変わらない。
だがその内側にあるものには人間の男性がもつペニスが盛り上がる形で反り立っている。影の意思によって生み出されたその陰茎は、自身の巨躯に見合うあまりに巨大なものになっている。
その巨大な陰茎と、生存本能を超える性欲を持って、自分の好みにあった牝を容赦なく犯してゆく。その犯す相手の大きさは一切気にしないため、大抵の場合相手はその巨根に下半身ごと押し潰されるか膣口から引き裂かれるかしてしまう。
そして射精の際は、その巨根からだけでなく、自身の水抜きである頭の上の穴からも噴水の如く放出する。鯨という巨体が解き放つ欲望の汚濁は、あらゆる一面を精液の海にしてしまうほど膨大である。
また鯨のイメージにあるその頭の上にある噴水の穴は、同時に媚薬の匂いを醸し出す水を放出する。その広範囲に広がる媚薬水の搬出範囲からは、空にでも逃げない限り難しい。
そして体の変化は肉体にも起きており、本来は空気、あるいは水をためて置く肉体の内部にもう一部屋…触手が大量に潜む部屋が生成されている。
性欲という影魔の本能に突き動かされたこの鯨は、時として獲物の牝をその大きな口で嘗め回しながら飲み込んでゆき、その部屋につれて陵辱しつくす。鯨という巨体の容量上、人間サイズの獲物程度が十数人入れるその中に、ありとあらゆる触手による間のない責めを展開させることが可能。
その中で獲物を消化して自分の栄養分にしたり、メスを悦楽に付させ自分の性欲の下準備とするのである。
また影魔に変化するという基本的な特質も受け継いでおり、筋力や顎の力に海での速力、そして皮膚硬度も通常のものとは比べ物にならないくらい増大している。また海の中でなら口から超音波を発して相手を遠隔攻撃することができる。
総合するなら、むしろ人間から派生したエクリプスよりもずっと強いという噂が流れるほどである。
影魔化してからというもの、あらゆる異性を犯しにかかっては、その度にその獲物を潰しては次の獲物を見つけにかかるという影魔としての忠実な本能に従っている。
海の生態系の新たなる主として多くの子分となる他の深海魚を引き連れているという大将肌も持ち合わせている。
海の生物のため一見陸にいれば安全と思いがちだが、影魔化したときに飛翔力も増大しており、高速度で体を跳ね上がらせあらゆる物を押し潰しながら獲物を追い回すその巨体から逃げる術はない。
ただし幸か不幸か、鯨としての体力だけは変化した身体についていけず低下しており、活動時間の限界を迎えるとその巨躯を指一本動かせなくなってしまう。そのあたりの体力配分は体で感じているので、そう簡単には体力切れは起こさないが。
新たなる海の王者の誕生……海と陸の世界は新たなる脅威に晒されてゆくのであろうか――
「――プシュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!」
オメガ様のお言葉
動物のエクリプスって……くじらさんって何にも考えてなさそうだけど、けっこう欲望ためこんでるのね〜。
身体も大きいし、かいじゅうみたいでカッコイイわね。
くじらのペニスかぁ、すっごく大きくて太いんだろうね。ふふふ、お姉ちゃんも大満足よねぇ♪
●Noσ ラッツエクリプス
・モチーフ 熊鼠
・分類 下級エクリプス
鼠と人間が融合したかのような姿をしたエクリプス。性別は女。
熊鼠の生息する、荒廃した屋根裏の一角で自身の生んだ子供たちと一緒に生活している。
影魔に堕ちる前は、下町で多くの子供を持つ母――俗に言う「肝っ玉母さん」。
大家族ならではの悩みを抱えながらも逞しく生きている一家の母親として幸せに暮らしていたが…ある日の夜強盗に襲われ火をつけられ、自身は奇跡的に助かったものの他の皆は死亡。
その犯人達は逮捕され法的断罪はされたものの、強盗に襲われたときの心身的障害で子供を埋めない体になってしまった。
子供を全て失ったことの絶望と、また子供が生みたいという悲痛的欲望から影魔に堕ちることになる。
山奥の大きな一軒家の屋根裏に居を構え、山にやって来た男を自身の音波によって方向感覚を狂わせるようにして誘い込む。
そしてやってきた獲物を子供達で押さえ込み、自身や娘達主体の元に陵辱して何度も受精させる。そして精を絞りつくした後は子供達と一緒にその獲物を骨の髄まで食い尽くすのだ。
そして数週間後に彼女から鼠の子供達が生まれ、新たな家族の一家として生活してゆくのである。
また迷い込んできたものが女だった場合は、自身もまた狩りに加わって捕縛し、自分の息子達に好きなようにさせる。そこで女に受精させた子供もまた彼女の子孫として生活してゆくのである。
しかしながら、影魔になっても彼女の生殖器官に欠陥があったのか…彼女から生まれてくる子供も、その子供が生む子供もまた非常に短命であり、結果として一定数以上の子供が生まれてくることはない。また血筋同士での交配で子供が生まれない。
また影魔としての進化の影響からか前歯の成長と強度もまた進化しており、そのせいで餓死してしまう子供も少なからずいることもまた家族の悩みの種となっている。
もっともその子供達が普通の寿命を持って生きていれば、彼女の子孫は文字通り鼠算式に増えていくという恐ろしい現実が訪れていたかもしれない。
この不毛ともいえるこの生活を、けれど彼女は止めることはない。絶望によって歪められたその願いこそが今の彼女の欲望なのだから。
山にやってきたもの――自分達の居場所を奪いに来た憎き強盗を性の道具とし、返り討ちにして恨みを果たし、生活の糧としながら愛する子供達と逞しく生きていっている。
「皆起きなっ! さぁっ、今日も一日精一杯生きるんだよっ!」
オメガ様のお言葉
やっぱり、ママって自分の子供が大事なんだよね〜。
エクリプスになっても同じだなんて感動的じゃない♪
そこいくとマリエルママってダメよねぇ。わたしを可愛がるどころか、わたしに可愛がられて悦んでるんだもんね、アハハハ!
●Noτ ギガントエクリプス
・モチーフ ギリシャ神話における、ギガンテスと呼ばれる巨人族の一種
・分類 上級エクリプス
・人間時 暁坂 逞哉
二メートルを超える身長と引きちぎれんばかりの肉体を誇り、そして紅く血走る一つ目を持つ影魔。
一見するなら単なる下級エクリプスとしてしか写らないだろうが、彼もまた上級エクリプスの一体である。
素体となった逞哉は不治の病に冒された病弱な少年であり、常に入院生活を余儀なくされていた。
日を追う毎にゆっくり病魔に蝕まれ衰弱してゆく身体、いつまでも病院という牢獄から抜けられない日々……ついにはベットの上での日々を余儀なくされてしまい、悲しみと絶望にくれながらも「自由に外の世界で生きていたい」と常に願うようになった。
そんな時に起こったオメガエクリプスの生誕と横暴、そして大量の影魔の氾濫の一件……そのことにより彼のうちにある影魔もまた目覚め、彼の心を蝕もうとする。
しかし自身の生への渇望が影の性の欲望を凌駕していたのか、それとも影の欲望もまた自身の欲望と一致したのか……彼の意思は影の意思を見事自らの意思でねじ伏せ、上級エクリプスへと変貌を遂げた。
その時に得た巨人のような姿は、入院生活のときに読んだギリシャ神話の話に出てくるギガンテスの姿に憧れたという深層心理からきている。
彼の行動はとかく自由奔放。特に身体を動かすことに関しては、一秒を無駄にすることなく楽しむ。
確かに影魔は欲望に忠実に動くのが基本だが、彼の場合にはそこに生の脈動を感じさせる…端的にいうなら、他の影魔のように陰湿なものを感じさせないのだ。
走るにしても、飛ぶにしても、何かを持つにしても、そして相手と身体を重ね合わせるにしても…それらの全てに喜びを感じ、生き生きとした動きをする。
それらの生き生きとした行動は見ているものも、本来は犯されているものでさえも魅了するほどであり、あらゆることが終わった後に彼を嫌悪するものはいない。
単純に強大な力を持つ影魔ならごまんといるが、単純な筋力において彼の右に出るものはいない。
神に仇名す巨人の名の如く、彼の「力」は神の如き力と破壊力、そして躍動感を誇る。
無論彼はそれをあらゆる場面で奮い、妥協を一切しない。それは今まで病院生活で何もすることが出来なかったことへの反動をも意味している。
それは陵辱行為においても現れており、その激しすぎる行為と回数すらこなしていないハンデを補ってあまりあるその剛棒は、人間はおろか影魔ですら悦楽で落としてしまう。
また彼の強靭な肉体は、他の影魔を持って「まるで金剛石だ」とまで言わしめるほど。正面切っての肉弾戦だけなら間違いなく、影魔の歴史において五本の指に入る強者といえる。
ただ弱点として一つとなったその大きな瞳が存在するために、やはり総合的な上級影魔としてのの能力は低い部類である。
影魔とななり理想の自分を手に入れた彼は、ありとあらゆる行動に欲望を見出している。
しかし、彼のうちに潜む病魔は影魔となった今も直っていない。今は生命力あふれる強靭な内臓によって何とか病状が収まり落ち着いているが……
もし彼が影魔の力を失い、元の人間に戻るようなことになれば、その病魔はすぐにでもぶり返し彼の命を再び蝕んでくる。無論彼もそのことに気付いており、もはやかつてのひ弱な自分に戻りたくない、死にたくないと願っている。
そしてそれを遮る者は、たとえ神であろうと容赦はしない――今の彼自身こそ、神に仇名す反逆者でもあるのだから。
無論影魔になった人間は元に戻ったという経緯はまったく聞いていないので、彼もそのことに関しては全く気にしていなかった――だが……
「嫌だ! 僕は人間に戻りたくないんだっ! ――死にたくないっ!!」
●Noυ ドラキュラエクリプス
・モチーフ 吸血鬼(ヴァンパイア)
・分類 上級エクリプス
・人間時 ブラッド・ズェッペシュ
ヨーロッパにある一つの古城、そこには嘗てブラッド・ズェッペシュと呼ばれた一人の貴族が住んでいた。
立派な鬚を蓄え、上に立つものとしての風格を備えたその者は、嘗ては公爵として国を統治していた。
しかしその人生は内紛と戦争に明け暮れた辛いものであり、長い間の内外からの圧迫と裏切りによって彼の良心は次第に失われ、その精神を磨耗していった。
そしてある日、外交に来たさる帝国の書状に遂には怒り狂い、やってきた使者を生きたままに串刺しにしてしまう。
苦痛に叫ぶ生贄、目の前に紅き血…それを舐め上げたとき、彼の内に合った何かが壊れ、理性を崩壊させ、狂気と言う快楽に全身を蝕んでしまったのだ。
そしてその時から暴君としてその力を振るい、最後にはキリスト生誕のその日に暗殺に及ばれる。だがかろうじて生き延びることが出来た彼は、うち捨てられた一つの城に身を隠し、後にその主として君臨することになる。
後に付けられたドラキュラという二つ名の通り、他者の生き血の味こそ彼の欲望。
その血を求める活動が行われるのは常に暗き夜。自身の支配する領域において、若き生命をその手で攫う、あるいは誘惑の術を用いて自身の城へ誘う。
そしてその生き血をすすり自身の欲望を満し、そのものの内にある影の力を奪い、時に気に入った贄に自身の血を介し影の力を与え僕とする。
逆に昼間は城奥にある自身の棺おけにおいて就寝する。当初死亡したと言われる自身の存在を隠す名目で置いていたが、次第にや構成となってからは完全に自身の寝床として気に入ったらしい。
彼自身の象徴である吸血行為は、まさに世間で言われるヴァンパイアそのもの。そして同時に彼自身の性行為そのものである――なぜなら、彼が吸血する牙を通す場所に指定はないのだから。
最初はただ欲望のままに、血の味を堪能したり、相手が苦しむ光景を楽しむことを目的としていた。
だが血を吸い続けているうちに、その血の味に色々なものが存在することに気付き…そして若い女性、特に愛蜜と共に流れる血の味が極上の味であると辿り着く。
特に穢れを知らぬ処女の流す混ざり血は何者にも勝る美味であり、その味を知ってからというもの、常に生娘を求めて彷徨っている。
ただし死亡したと人々に認識される頃には、彼自身が新たなる生贄を求めることは滅多に無く、故に一部の地域で恐怖伝説が広まる以上に彼の噂が広まることなく、それが彼の存命に繋がったと言う事実もある。
また彼の吸血行為はただ血を吸うだけでなく、相手の身体ををしゃぶり尽くし嬲りつくし、相手に死と隣り合わせの背徳感と絶望、そしてそれを上回る快楽を何度も叩き込むのだ。
また僕と化した処女吸血鬼と、互いに吸血行為に及ぶ異質極まる行為は彼の最高の快楽であり、彼の城においてはパーティーさながらにそれが行われている。
それは例えるなら…男女との行為を「生」の快楽とするなら、まさに「死」の快楽という言葉に相応しい。事実、その行為において彼に吸引に耐え切れず、滅びた従者も少なくない。
最初は吸血行為を楽しむだけの下級エクリプスであったが、血を吸引し力を手にするたびに影に飲まれた自我が次第に影の意識と混ざり合い、元々狂気に蝕まれていたその自我は上級エクリプスとしてのものに変化している。
常に力をと共にその生命を吸い上げているために、不死ともいえる寿命と若さを保ち、既に何百年もの長き時を生きている。
吸血において基本的に牙を用いるが、手の爪や下肢の爪からも吸血行動を起こすことも出来る。また影の意思を使っての吸血も可能であり、戦闘においては全身が吸血としての凶器と化す。
他との影魔の悪意と能力を吸血しているために様々な能力を使用することも出来、当人の魔力容量も相まって放たれるその能力は当事者のものよりも強力なものも多い。また吸血した相手の影の姿へと変身することも出来る。当然、無限の蝙蝠に変化することも可能。
同じ吸血能力を持つ蝙蝠を使い魔に、ヴァンピールと呼ばれる吸血した者達を配下に従えおり、その数による戦術や上に立つものとしての指導力も卓越したものである。
必殺技は自身の呪われた血を影の魔力によって増幅させ、自身の生み出した空間内を血の海で満たし、敵を溺れさせ僕を強化させる『ブラッティ・オブ・ワラキア』。そして相手の影の意思の生き血に当たる魔力を直接吸血する『シャドゥ・ヴァンプ』。
自分の認めたもの以外の関わりを生理的に嫌悪している彼にとって、基本的に世界征服などと言った俗世的なことには興味は無い。
ただ血という欲望に溺れるままに、今も語り継がれる吸血鬼の祖として、聖なる夜の前後に死と背徳の快楽を振るっているのである。
「我にその穢れなき血を捧げよ! さすれば、生の道では味わえぬ快楽をその身に与えようぞっ!」
オメガ様のお言葉
死の快楽かぁ、わからないでもないわね。
わたしがもたらすのは終末ノ快楽……確かに近いところはあるかもね。
吸血鬼と言えば有名な魔物。そのエクリプスなんだから強力よね!
●NoX−X スクロファエクリプス
・モチーフ 猪(亥)
・分類 下級エクリプス
猪が二足歩行で立ち上がったかのような、半人半獣の姿をした影魔。
影魔の基本的な部分を忠実に体現した標準的ともいえる影魔。
猪と言う特性上鼻の筋力と脚力に秀でており、瞬発力を生かした突進力は目を見張るものがある。無論それを当人も自慢であり、その衝撃を何度も叩きつける責めを得意とする。
また影魔に変化した際に進化した、下顎から生えている一対の巨大な鋭牙は男性の陰茎のような性感帯と化しており、自身のペニスで犯す以上にその牙で犯すことに快楽を感じている。
その牙を使って獲物を貫き四速歩行になって激しく走り回る、あるいは壁に叩きつけるその行為は、後に「死のロデオ」と称される程に乱暴で激しく、受けてまともにいられたものはいないと自負する程である。
無論一対の牙にはそれぞれ一体ずつ獲物を貫くことが可能。二体の獲物が目の前で虐悦に壊れゆくさまを見るのを最大の興奮にしている。
オメガエクリプスが覚醒する前から影魔に堕ちていたが、覚醒後は他の下級影魔と共にその傘下に入った。
そして他の影魔共々、更なる欲望に溺れるために悪意を膨らませている……
……筈だったが、影魔神の気紛れ――「今年は猪年かぁ……んじゃ、新年の供物は猪に決定!」――という単なる理由であっさり首を刎ねられてしまう。
そして魔宴(サバト)――影魔流の新年を迎える場において、影魔神を称える供物として捧げられてしまった(首から下の肉は正月の御馳走として配下に配られた)。
「そっ、そんな御無体なオメガ様っ! どうか、どうかお許し――」
――スクロファエクリプス、この世における最後の言葉
オメガ様のお言葉
わたしの遊びに付きあえたんだもの、光栄に思いなさい♪
え、わたしは食べなかったのかって?
こんなまずそーなの食べられるわけないじゃないの、あはははは!
※以上、S人様の生み出されたエクリプスです。投稿ありがとうございました!