エクリプス図鑑外典 六巻 P1

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●ハンターエクリプス

・モチーフ 日本における般若。
・分類 変則・イレギュラー
・人間時 安部勇司(あべ ゆうじ)

二本角を持った鬼の顔を持ち、侍の鎧と騎士甲冑を合わせて装着したような姿をした上級に近いエクリプスの亜種。
背丈は角を合わせて180未満とそれほど体格がある訳ではないが、主要武器である妖刀”禍津神の太刀(マガツカミノタチ)”―切った相手の血肉を吸収して硬度、妖力を制限なく上げ、形を思うが侭に変化できる力を持つ―に人魂の様に蒼く燃え上がる炎”怨嗟の鬼火”―焔が触れた部分は焼けるような痛みと共に激しい凍傷を引き起こす。更に炎に包まれた者の動きを止める効果を持つ―それら二つを組み合わせた技”禍魂乃怨殺(マガタマノエンサ)”―蒼い焔を纏った刀の切り傷は再生が効かず、徐々に炎に焼かれ傷口が広がりやがて死に至らしめる―を用いてエクリプス達を狩り続ける名前の通りの狩人。
その欲望の本質は憤怒―怒りの発散。怒りを鎮静化する事が主目的となる為に他のエクリプスと比べ性欲はあまりない。その為、襲う対象は脆い人間より丈夫なエクリプスにほぼ限定されてきている。

中学卒業より少し前の部活帰りに、自宅近くの神社で天使を名乗る人物とエクリプスの戦いに巻き込まれ、偶然其処に収められていた”妖魔の骨”が心臓に刺さり肉体と融合。その骨に封印されていた怨みの念が彼の精神を蝕み、理解できない状況と自分が苦痛を味わうと言う理不尽に怒り半エクリプス化する。当時の記憶は無く気が付いたら神社の巫女である少女に看病され、自分の変化について告げられるて自分の身体の変化を知る。
妖魔の骨は何時とも知れない昔、影魔に対抗する為に人々の怨嗟を集めた器。
別名神器、または呪祖と言われ、その器を人間に施す事で人造のエクリプスを作りだす事が可能。それがエクリプスを狩る為の負の想念が生み出した狩人。エクリプス達にとっては正しく規格外の存在。その器は代々宿主を選び、受け継がれ力を付けていったと言う。
器である妖魔の骨は普段は宿主の体内にあるが、その時に応じて身体の姿を変えずに刀だけ具現化する事も出来る。

彼自身は他人の事には興味が無く係わり合いになりたがらない性格だが、絶えず影魔を吸収しなければ彼の意識が乗っ取られ、やがては見境無く切り捨てる亡者へと成り果ててしまうと聞かされ否応無く戦っている。
性欲の発散を本人が毛嫌いしているのと、心の内からくる性欲との葛藤。そして自身の精神が蝕まれていく恐怖。自分に降りかかる理不尽な現実に対して怒り、その全ての怒りはエクリプス達を殺す事で消す。
安らぎを得る為には戦い続けるしかない。戦う為には相手が居なければならない。やがて彼は敵を求めて夜の町を彷徨い歩く。それは己が死んだ事に気付かぬ亡者の様に。
狩人の本能なのか人間の生命力が身体を取り巻く炎として見え、何となくのレベルだが人外の者を判別する事ができる。

『面倒臭え…でも、仕方ねえよな。けど、どうして俺がこんな事しなくちゃならねえんだよ!』

●シーザー

・モチーフ 狛犬
・分類 変則(従属魔獣)

銀に輝く鎧に包まれた巨大な体躯に、頭部や獅子の間接部に黄金に炎を猛々しく燃え上がらせるハンターエクリプスの召還獣。
性質的にはエクリプスと同様だが、これも影魔に対抗する為に古代に作られた人造魔獣。その欲望の性質は服従心。主に服従する事こそが最大の喜びとなる為に何があっても主を裏切る事はない。それ故に彼等には従魔と言う名称がつけられ、世界各地には様々な力と姿を持つ従魔が木の実の殻のような卵状の神器に封印されて自分の主となるものが来る日をを待ちわびている。
シーザーはハンターエクリプスが解放した従魔で、4メートル近い巨躯に見合わぬ俊敏さと鋭い爪や牙、黄金の火炎やプラズマ火球を用いてエクリプス達を葬る上級エクリプス級の力を持つ。
最大の必殺技はハンターエクリプスの炎を加えて自身の体を金白の炎で包み込み、ハンターエクリプスが振るった刀身目掛けて増幅した業火を打ち出し、特大の焔の斬激を切り出す”獅神焔轟火斬(シシエンゴウカケン)”
この技の発動時に禍津神の太刀は大太刀となって強化され、金色の炎と獅子の様な装飾紋様が現れる。

 

オメガ様のお言葉
へぇ〜、まるで変身ヒーローじゃない。
このコ結構悲惨な境遇ねえ。さながら悲劇のヒーローね!

力の源はエクリプスだけど、自分でエクリプスになたわけじゃないんだから、まだなりそこないか。
人間ごときがエクリプスに対抗する力を手に入れようとするからこんな目になっちゃうのよね。
力を得るだけなら簡単なのに……ふふふ。




●スネークエクリプス

・モチーフ 蛇
・分類 従属エクリプス
・人間時 無明梨那(むみょう せつな)

蛇頭の様な兜を被って顔を隠し、全身鱗の様に鎖を巻きつけ、髪も硬質な機械のチュ−ブの様な物で括った女性の姿をしたエクリプス。
年は勇司の一つ下だが、やや切れ長な瞳に背中まで伸びる黒髪が大人びた雰囲気を持つ。エクリプス化した時は妖艶な雰囲気を持つが、普段は落ち着いた世話好きお姉さんと言った感じで優しく積極的。

”妖魔の骨”が納められていた代々続く神社の娘で、必然的に勇司を支える役目を負わされる。その役目とは昂ぶった性欲の沈静化であり、継承者に自らの身体を捧げる事。
家の掟、受け継がれた器の所為で人で無くなった勇司への罪悪感、自分を捧げる事への抵抗など様々な葛藤に耐えられずエクリプス化してしまう。人でなくなった事、そして自らの性欲が強まっていく事に絶望してハンターエクリプスに自身を殺すよう仕向ける為戦いを挑む。
ハンターエクリプスの抱える苦悩を知ったスネークエクリプスは彼に自分の身体を捧げる決意をするが、ハンターエクリプスはそれを拒否する。当人の性格もあるが、本人曰く『一度やったら歯止めが利かなくなる気がする』との事。実際やったら生命力を吸われて彼女は数日間立つ事もできないだろう。それを聞いて更に胸を打たれた彼女は普段の生活から、戦闘まで近くで過ごしてサポートを行う事を誓う事になる。

戦い方は全身に巻きついた伸縮自在の鎖を自在に操り相手を拘束する『ブラッディバイド』で敵を捕らえ、先端の鋭い毒の力を持つ棘『ポイズンファング』で止めを刺すのが常。
鎖自体に敵を探知する力があり、それぞれ独立した動きをしつつ攻撃の直前までその存在を相手に察知されないようにようにすることが出来る。
巫女として秘められた特殊な能力もエクリプス化して引き出されてきている。
エクリプスとしての強さはそれほど高いとは言えず、前線向きではなく作や援護など主体として戦う。
エクリプスとなっても性格は大して変わらないが、ハンターエクリプス曰く弱冠イジワルになるらしい。

「もう…あんまり心配掛けさせないでね……こんなになっちゃってほら、大人しくしてくれなきゃ。しっかり縛れないでしょ?」


オメガ様のお言葉
こいつエクリプスにしてはイイ子よねぇ。
エクリプス同士の男女カップル、しかもどっちも正義の味方だって珍しいかも。
ふふ、イイ感じじゃないの。
それにしても、世話好きお姉さんで巫女さんなんて……エクリプスたちがほうっておかないんじゃないの? うふふ。


 


●光翼天使ガヴリエル(クレリック)

・分類 光翼天使
・モチーフ 僧侶
・人間時 天見愛 (あまみ あい)

ユミエル達とは別に戦う天使。
マリエルの物に近い服装だがエメラルドグリーンのレオタードの上に全体が碧く十字の紋章の施した聖衣。腰下まである青い長髪に頭両隣に白いリボンを纏い、瑠璃色の瞳が特徴的。

実はハンターエクリプス誕生の際に戦っていた天使の娘で面識があるが二人は覚えていない。
元々親と二人一組で戦っていたが、ある影魔との戦いにより母親は命と力を娘に託して事切れ、それ以来彼女は友達さえ作る事が無くなり一人になってしまう。

勇司より一つ年上だが、大人しくあどけない表情からはソレより下に思わせる。
性格はどちらかと言うと内向的で、自分に自信が持てない。自分の意見を通す事も出来ず、戦いに赴く事も本当はしたくない。その所為で親の力を受け継いだが使いこなす事ができずにいる。
その為ほとんど攻撃的な力は無く、一人では下級エクリプスを退けるのがやっと。しかし、潜在する浄化の力は天使の中でも群を抜くものがあり、治癒の力も強く肉体だけでなく精神的な傷も癒す力を持っている。
攻撃力は皆無に等しいが、回復や防御に関してはそれなりに長けていて、光の膜で邪なる意思を持つ者を弾く”セレクトフォール”は自分以外の仲間の疲労を回復する力がある。

彼女が戦うのは、自分を護る為に己の力と命を授けてくれた母の行為を無駄にはしたくないという一心からだが、時折寂しさと悲しさから一人で泣いてしまう事も多い。
そんな中、影魔に倒され陵辱されそうになった時にハンターエクリプス達に救われる。
だが、エクリプスという彼等の素性に恐怖し中々打ち解けずにいた。けれど、家族の様に親しくしてくれる刹那や自分を傷つけつつも戦う勇司を見て心を開き、彼等と共に戦っていく事を決意する。二人もそれを快く思い一緒に暮らすことになる。
何故か勇司が着替え途中の所に入り込んでしまい、我を忘れてビンタを咬ましてしまう事が多々あるのが困りもの。
彼等曰く「ちょっと大人しいドジッ娘」「娘みたいで可愛い」との事。
彼女自身は温かく見守り共に戦ってくれる二人に、そして母親思いに報いる為に強くなろうと心に誓う。

「わたしでも……誰か、を……守れるんでしょうか?」

 

オメガ様のお言葉
あれ、また新しい光翼天使?
この子いいわねぇ……こういうなよなよしたコって、もうメチャクチャにいじめたくなっちゃう♪
天使なのにエクリプスたちに助けられて、理解しあって一緒に戦ってるのかぁ。
一人ぼっちでだぁれも友達なんていないおねえちゃんより幸せなのかな?
ちょっとラブコメっぽい毎日で面白そう〜んふふふ!




●マーメイドエクリプス

・モチーフ 人魚
・分類 従属エクリプス
・人間時 時海真実(ときうみ まみ)

上半身が人間、下半身が魚の人魚の姿をしたエクリプス。
勇司と同い年で容姿は陸上でも水に濡れたような雰囲気を持ち、胸は貝を模したようなアーマーで保護されている。低空飛行にて陸上での移動が可能で、それは微弱な念力で物を浮かす事ができる能力を行使しての事。
水中での戦いを得意としており、様々な歌声を使い分けて獲物を誘き出したり敵を翻弄して倒すなど意外と戦闘能力は高い。
誘惑の歌声・幻惑の歌声・魅惑の歌声・破砕の歌声等と名前をつけて本人は呼んでいる。精神・肉体両方にダメージを与え、音波による攻撃なので物理的な防御はほぼ不可能。

交通事故で下半身が麻痺し、車椅子での生活を余儀なくされていた少女が更に病気で声までも失い未来に絶望した事で生まれたエクリプス。
自ら他人に訴える事が困難になりながらも、人に自分を見て欲しいという想念が強く、性欲は強め。
元々は大人しい少女だったがエクリプス化した際に自ら他人に訴える事が困難になりながらも、人に自分を見て欲しいという想念が強かった為に性格は明るく、五月蝿いほどによく喋る。

陸上でも難無く活動できるが、水辺でこそ彼女の能力は発揮される。
水中での高速移動に念力で水を操り、歌声で敵を魅了し混乱させて最後の止めを刺すというある種容赦ない戦い方が彼女のスタイル。水辺でなくとも、その歌声だけですら脅威の対象である。弱点は広範囲の攻撃だが、前方に扇状に広がる攻撃であり距離を取れば弱冠威力は下がる。更に声なので呼吸を整える時―つまり強力な歌声を発するにはそれなりに溜めが必要―に隙ができる。

偶然出合った愛に親しみを持つも、心のうちでは自分の苦しみの解らないと線を引いて接していた。
ハンターエクリプス達と戦う時に互いの正体を知り、苦悩しつつも自分の苦しい胸の内を吐き出すようにしながら彼等に襲い掛かる。
ガヴリエルが真実の苦しみを感じ取り、それを知らされたハンター・スネークエクリプスも加わった三人の説得に心を動かされ浄化される。その後、彼等の仲間として戦う事を三人の事もお構い無しに約束する。

弱冠エクリプス化の前の名残で足が不自由。歩く事はできるがふらつき、長時間は歩く事ができない。だが性格の方は変わらず喧しいほど元気。ショートボブの髪に両側の髪に止められたヘアピン、その明るさは笑顔が眩しいとさえ思えてくるほどで、勇司達の良きムードメーカー的な存在となる。でも仲間内からはもう少し落ち着いて欲しいという声が上がってたりする。
性欲が仲間内でも強い為に、時々勇司と愛を色んな意味で狙って二人きりになろうとする。さり気なく年下系が好みのようだ。


「あ、こんにちわ。えっ何してたかって……歌の練習。みんなが教えてくれた事に恥じない歌を歌えるようにって……いま、ちょっと可愛いと思わなかった?」

 

オメガ様のお言葉
このコも含めて四人はオトモダチなんだね〜、ムードメーカーか、にぎやかで楽しそうねえ♪
でも、せっかくこれだけの力あるエクリプスになれたんだから色々できたろうに……人間ってバカよねえ。
まぁ、弱いヤツは群れたがるモノだしね、んふふふ!


 

●キマイラタランチュラエクリプス

・モチーフ 牛鬼
・分類 変則エクリプス

全長2.5m、体重176kg

”妖魔の骨”が納められていた神社に現れた牛の顔に蜘蛛の身体を持つエクリプス。
意外と動きは早く、攻撃方法は相手の死角から襲い掛かり足先に鋭い棘で相手を引き裂き、口から粘着性の透明な糸を吐き出し相手を絡め取り身動きできなくなった所を陵辱する。戦いになり自身が窮地に立たされると、全身の体毛を硬質化させて一気に放つ。
爪先や体毛、口から出す糸には強い媚薬効果があり、掠っただけで動きを阻害するほどに速く全身に広がり抵抗を失くさせる。
何者かが蜘蛛に影魔に近い力を埋め込み使役。神社に現れた固体の目的は”妖魔の骨”の奪取、または破壊だった。
本来なら自分を倒した相手に寄生する事ができるのだが、半エクリプス化して意識の無い勇司に喰われて消滅。むしろ彼の完全なエクリプス化を促す糧となった。

『ギチギチギチ……主ノ命……異系ノカゲ、宿リシ器……』



オメガ様のお言葉
こいつは普通のエクリプスじゃないわねえ。
誰かに操られているのか、誰が黒幕なのかな?
ナカヨシ四人組も、このまま幸せにくらせるのかなぁ。少し楽しみかも、ふふふ!


※以上、無礼者様の生み出されたエクリプスです。投稿ありがとうございました!


 

 

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