エクリプス図鑑外典 二巻 P6

 

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●メフィストエクリプス

・モチーフ 悪魔メフィスト・フェレス(光を憎むもの)と海の怪獣リヴァイアサン(渦巻くもの)
・分類 準影魔王。三大副王の一人で、ロード・オブ・ヘイト(憎悪の副王)の称号を持つ。

過去の履歴
九世紀半ばのヨーロッパに存在したといわれている伝説的な人物・女教皇ヨハンナ。ある時、彼女に目をつけたアルファエクリプスは彼女を強姦し、無理やりに子供を作った。その子供こそメフィストエクリプスである。
教会はこの呪われた事実を隠す為に彼女を破門し、その存在抹消。更にどうしても消しきれない事実を隠す為に、偽物の伝聞などを作って念入りに隠蔽工作を施した。それが今日に伝わっている諸説である(だから、ヨハンナの存在は、はっきりと確定できない)
教会から追放された彼女は、僅かな財産で人里離れた一軒家を購入。人生の殆どを教会で過ごしたきた為、信者である事は辞めず、教えを守る為に出産する事を選ぶ。しかし、それもまたアルファエクリプスの姦計の一つだった。妊娠不良で苦しむヨハンナは父親が影魔である事、自分で望んだものでない事、そして何よりメフィストのせいで教会から追放された事から彼を憎む(この時、既に意識はあったらしく、彼は母親の自分に対する憎悪を『理不尽な憎しみ』だと証言している)
出産の日。出産の激痛に彼女は耐え切れず狂ってしまう。出産した我が子に呪いの言葉や侮蔑の言葉を口汚く吐き散らし、虐待を繰り返す。
事情を知らず、生まれる前から理不尽な憎悪を向ける母親だが、まだエクリプスとしての力も自覚も持っていなかった彼は、ただただ母親の虐待に耐え、少しでも愛情をかけてもらおうと健気に尽くす。
しかし、狂っている母親には彼の想いは届かなかった。成長すると共に父親を思いださせる容貌と雰囲気を持つ彼を疎み、憎しみを募らせていく。
そして、ある時、その感情は爆発した。メフィストはヨハンナに連れられて、薪を拾いにいく。薪を拾っていると、彼女はいきなりナイフを彼の胸に刺し、更に押し倒して首を両手で締めつける。死ぬ際、余りの母親の理不尽さに対する憎しみから、影魔の力に目覚めた彼は母親を弾き飛ばし身を守る。
彼の影魔の力を見て、異形の存在である事をはっきりと確認した彼女は、父親の事や産まれるまでのいきさつを喋ったあと、人間としてではなく、影魔として彼を殺そうとした。しかし、そこにアルファエクリプスが現れ、彼女を殺害し、彼を助ける(実はアルファ王はこれまでずっと彼の事を観察しており、このたび、影魔の力に目覚めたので助ける事を決めた)
彼を助けたアルファ王は自分が父親である事を明かし、このまま自分と同じ道を歩むか、それとも別れるかの選択を彼に求め、人間ではない事を自覚した彼はそのままアルファエクリプスの下にいく事を決めた。
憎悪の副王となったのち、アルファエクリプスがいなくなったヨーロッパにおいて、影魔達をまとめ上げ、影魔組織『全盲の殉教者』を設立。天使はおろか教会を始めとする影魔への対抗組織ですら手がだせないほどの組織にまで発展させた。
その為、彼は『ヴァイスロイ・オブ・シャドウ』(影魔王の代行者)と呼ばれ、彼はアルファエクリプスの存在も知らず、愚かにも神や王を名乗った影魔達を、副王の称号とアルファの名の下に打ち滅ぼしてきた。

性格
胎内にいる事から憎悪によって育てられ、更に様々な虐待を受けてきた為か、彼は人間という生き物を非情に憎み、教会を忌み嫌っている。
ただし密かに自分が生まれながらにして人間でない事をコンプレックスにしており、普通の人間に対しある種の羨望と嫉妬も抱いている。羨望と嫉妬が回りまわって人間への憎悪に変換されているらしい。この相反する二つの感情のリサイクルこそが彼の強さの秘密である(また自分には救いがこない事を自覚しているが故に、己が道を歩まなければいけなかった。この点があらゆる救いを拒絶し己が道を歩んでいる京郎と共通意識を生じさせた)
女性に対しては冷淡な、典型的ミソジニスト(女性嫌悪主義者)である(彼いわく「女というものは、とかくバカで無知でいい加減で行き当たりばったりで反省の欠片もなくて、その上高慢で恥知らずな存在だ」)そのせいか、女性に対しては、玩具や性欲発散道具以上の価値を見いだしていない。
ただし、彼の差別感情が働くのは、自分より能力が低いものに対してのみなのか、何故かクレーエエクリプスは特別扱いしていた。
最も彼を満足させるだけの能力を持つ女性は滅多にいるものではない為、腹心や組織幹部、正式な構成員は基本的に男性のみである(女性はいるが、肉便器である為、数には入れられない)
ウルフヘジンエクリプスとは性格が一致したのか親しく、日常レベルで交友があった他、クレーエと三人で、とある組織を壊滅した事もある。

能力
人間時は影から無数の動物を作りだす能力を持つ。蛇を好んでいる為か、主に無数の蛇を操って獲物を捕らえ陵辱する。蛇には様々な陵辱能力が与えられており、媚薬を持つもの、毛に覆われたもの、ぬるぬるの体液をだすもの、電気や熱、振動など、その時の気分次第で自在に変化させる事ができる。またこの蛇達には戦闘能力を持たせる事も可能で、普通の相手ならこの蛇達だけで十分なほどである。
その力を完全に解放した彼は、六本の角と六つの目そして六本の腕を持つ、成層圏をも貫いた巨大な蛇の姿になる。その防御力は都市破壊クラスの攻撃ぐらいでは全くダメージにならず、その戦闘力は最盛期のアルファエクリプスと破壊の副王バールエクリプスを除いては、無類の強さを誇った。
憎悪の副王の称号が示す通り、彼は憎悪を力の糧とし、憎めば憎むほど、憎まれれば憎まれるほど強くなる他、あらゆる感情から憎悪を生みだし、それを操る術を持っている。更に力を吸収できる範囲も桁違いで、世界中から力を吸収する事が可能である。
また彼には天使の力が一切効かないという特殊な能力がある。人間時は自分だけ効果がない程度だが、力を解放した時は力が及ぶ範囲にいる光翼天使の変身そのものが強制解除されてしまう。その事から天使に対しては無敵の能力を持ち、対天使戦闘においてなら、アルファエクリプスをも上回る戦闘能力を持つ為、『エンジェルキラー』の徒名をつけられている。

最期
ある事が原因で『全盲の殉教者』はウルフヘジンエクリプスのいる法王庁滅魔省特務機関所属部隊『フィサリスの華』と戦わなければいけなくなった。
『フィサリスの華』は『全盲の殉教者』の本拠地があるバレンツ海ビュルネイ島に攻め入り、『全盲の殉教者』はそれを迎え撃つ。
両者は激しい戦闘を繰り広げ、その最中、メフィストとウルフヘジンは互いを見つけだし、戦闘を開始する。
『大神憑き』(『力への渇望』が最大限に高まった時に発動する特殊能力)とストームブリンガーの強化能力を活かし互角以上の力を持ってして戦うウルフヘジン。それに対し、メフィストエクリプスは世界中の憎悪を吸収し、更に自身の中の憎しみを募らせる事で対抗しようとするも、京郎に対して憎しみを抱く事ができず、追い詰められてしまう。追い詰められたメフィストは力を完全解放。自身の中の甘さを捨て去り一気に逆転。圧倒的な力で打ちのめしたあと、ストームブリンガーを粉砕し、京郎を北極海に沈めた。
しかし、北極海に沈んだウルフヘジンエクリプスは魔剣の中に蓄えてきた全ての力を完全に解放。大神憑きと相まって、サイズ的に負けぬ大きさのヴォルベルクエクリプスに変化し死闘を再開する。
両雄の死闘は強大な力の領域を作りだし、天は裂け、舞台となったビュルネイ島は更地と化し、周辺の海域は塩の大地へ変貌する。
あと一歩のところまで彼を追い詰めながらも、メフィストエクリプスは逆転され敗北。
散り際に正気に戻った彼は、自身の力と魂の集合物であるソウルストーンを手渡し、ウルフヘジンエクリプスに戻った彼はソウルストーンを受けとるとストームブリンガーで砕き、メフィストエクリプスの魂と力を魔剣に吸収する。
その後、メフィストエクリプスの敗北により、『全盲の殉教者』は一気に崩れ、更に天使の軍団の投入によって、戦いは完全に終結した。


備考
1.アルファエクリプスがヨハンナを殺害したのは、彼を助けるのもあったが、それ以上に憎しみの対象をメフィストから奪う事で、絶対に憎悪を発散させなくする為でもあった。

2.彼はアルファエクリプスが行なったマッチポンプの真実を知っている。
知った上でアルファエクリプスに仕えている。
いかなる理由があろうとも、母親が自分を虐待した事実は代わらず、アルファエクリプスが自分の居場所を作ってくれた事実も代わらない。故にアルファエクリプスには感謝こそすれど憎悪など抱いていない。
むしろ、母親や教会への憎しみの方が深く、ある時彼は、「俺の母親は、教会の教えを守る為、戒律を破って地獄に落ちない為、自分だけが助かる為に俺を産んだ。あのバカは、絶えず光を追い求め、救いを追い求め、奇跡を追い求めていた。あいつは俺を殺そうとした時、こういいやがったよ。『さあ、私を殺しなさい! それができないのなら殺されなさい!』ってな。自分を殺させる事で自殺せずに命を絶とうとしやがった。自殺が禁じられているからって、俺に殺させようとしやがったんだ。俺に全ての罪をぬすくりつけ、自分だけが助かる道を選びやがった。俺があの女からもらったものは憎悪と侮蔑と暴力だけだ。身勝手で糞ッ垂れな女め! そして、それをさせたのは教会の教えだ。全く持って忌々しい」と証言している。

3.メフィストエクリプスはウルフヘジンエクリプスを何度か組織に勧誘している。それも部下としてではなく、友人としてである。アルファエクリプスの実力を知り、それよりも更に強大な存在になるであろう次世代影魔王オメガエクリプスの事を知っていた彼にとって、ウルフヘジンエクリプスの行動は虚しい行いであり、自分達の味方になった方がいいと思ったからである。事実、彼の為に毎日十体の上級影魔を捧げるなど、高待遇の条件を提案していた。

4.一時期、彼の組織の下にオメガエクリプスを懐妊したマリエルがいるという誤報が流れていた。この誤報はオメガエクリプスを守る為に流された嘘の情報であるが、時告はその事を見抜きながらも、ウルフヘジンエクリプスにこの情報を教え、彼をヨーロッパに向かわせた。

5.『フィサリスの華』は法王庁滅魔省特務機関『イバラの姉妹』に所属する部隊の一つで、時告華羅子が管轄している。
主に人類側に寝返ったエクリプスや分け合って彼女に従っている妖魔など、本来なら退治すべきもの、あってはならないもの達で部隊は構成されているのが最大の特徴。
ちなみにフィサリスとは鬼灯の学名で、花言葉は『裏切り』や『偽り』を意味する。

6.メフィストエクリプスとの戦いに勝利した京郎だが、『恋人殺し』についで、『友殺し』までした事が心に堪えたのか、戦い後、すぐに日本へ帰国。虚脱した日々を過ごしている時にロリータエクリプスと邂逅する。
その後、フェアリーエクリプスを拾い、フェアリーエクリプスに力の使い方を教えていた為、御座市でのオメガエクリプス誕生に係わる事ができなかった。


「そうだな。確かに俺は影魔王の血を引いている。しかし、勘違いするな。俺をこうい人間にしたのは俺の母親だ。アルファ王は関係ない!」



オメガ様のお言葉
いちおうわたしのお兄ちゃんになるのかな? でもわたしも影魔王だからぁ、息子でもあるのかな?
まぁどのみち過去の負け犬だから、今のわたしには関係ないけど。
そこそこ力はあったみたいだけど、所詮生まれついての道具に過ぎなかったって事。
残念だったねぇ、おにいちゃん♪


※以上、無責任様の生み出されたエクリプスです。投稿ありがとうございました!







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