エクリプス図鑑外典 二巻 P3

 

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●ヒルドルフエクリプス

・モチーフ 北欧神話最高神ヴォーダン。ヒルドルフはヴォーダンが持つ無数の名前の一つで、『戦の狼』を意味する。
・分類 イレギュラー
 

ウルフヘジンエクリプスが正義側に反転し、今まで溜め込んできた全ての力を解放した姿。狼の仮面の代わりに大きな帽子を被り、熊のマントを身にまとい、その四肢には狼の毛皮を巻き、その手には黒き魔剣の代わりに長い槍──形状はウィングドスピアで、彼はヴォーダンが持つ槍からとって『グングニール』と呼んでいる──を持つ。
ウルフヘジンを超える高い身体能力とウルフヘジンが有していなかった飛行能力を持つ他、毛皮からあらゆるものを飲み込み喰らう二匹の狼『ゲリ』(略奪者)と『フレキ』(大食漢)とあらゆる情報を引きだし、記憶する二匹のワタリカラス『フギン』(思考)と『ムニン』(記憶)を召喚する事ができ、更にウルフヘジンにはなかった必殺技、全てのものを貫く巨大なる閃光『グローグニール』を放つ事ができる。

元々イレギュラーに近い存在だったウルフヘジンだが、ユミエルに説得(何だかんだいったってマリエルに助けられた事実と彼が捨て去ったはずの善的人間性、他者への想いを指摘された)され、完全に正義の味方側になってしまった。正し、性格などは少しも変わっておらず、正義側にいった事をいわれると、真っ向から完全否定する。その癖、天使親子の味方をしたりするので、ただのツンデレだと思われる。マリエルもとい真理ともある程度和解し、逆恨みもしていない。表面上は嫌っているように見せているが、実際のところは全然嫌っていない。ただ、彼女に対しては、他の人間のように普通に接する事ができないだけだ(過去に助けられた事実が、彼女への苦手意識として働いているせいである。それ故に嫌っているように見せているのだと思われる。早い話がただの照れ隠しだ)
緊急回避として、本体と狼そして魔剣の三体分離をする事ができ、更にその後、合体する事で、このヒルドルフエクリプスを筆頭に、オルトゥルフ(剣の狼の意)エクリプスやヴォルベルク(凶暴な狼の意)エクリプスに変身する事ができる。変形するたびに違う姿と能力を持つ。

オルトゥルフエクリプスの場合は、黒騎士を思わせるハーフプレートの鎧と毛皮のマントで身を固め、狼の頭に似せた兜を被っている。中空に二振りの黒き魔剣──当人はストームブリンガーとモーンブレイドと呼んでいる──を浮かせ、両手にも黒き魔剣──当人はダインスレイフとティルフングの魔剣と呼んでいる──を持つ。四振りの魔剣には、魂を食べる能力だけではなく、それぞれがでてくる話に沿った四属性の力を有している(火──ティルフングの魔剣。水──ダインスレイフ。土──モーンブレイド。風──ストームブリンガー)中空に浮く黒き双剣は、彼が操らなくても自動的に敵を攻撃する能力を持つ。必殺技は四振りの魔剣を一つにした、天まで届く巨大な黒い閃光の剣『真・モーンブレイド』と百万の黒き魔剣を召喚し、敵を殲滅する『真・ストームブリンガー』。

ヴォルベルクエクリプスの場合、二メートルを超える巨大な黒い狼の姿をし、十三本の尻尾を持つ。機動力と単純な力だけなら、恐らくは三変身の中で一番。普通時は格納されていて分からないが、顎の下から黒き魔剣を生やす事ができ、また、補助武器として身体中から無数の触手や刃、投槍をだす事もできる。
尻尾の内十二本はウルフヘジンエクリプスと同能力を持つ『ウルフヘジン』が内臓されており、残りの一本は必殺技の時に使用する。
必殺技は、全身全力の雄叫び『ゲシュタルトクライス』余りにも強力過ぎる雄叫びな為、空気中の原子核が崩壊と融合を繰り返し、核爆発を引き起こすほどである。もう一つは『ゲシュタルトクライス』とは真逆の、何もかも光も闇も飲み込んでしまう『グランドヌル』ヒルドルフの時に使う『ゲリ』や『フレキ』とは純粋に規模も、飲み込めるレベルも桁違いである(『ゲリ』や『フレキ』と異なり、対象の存在概念およびそこから発生する因果律すらも飲み込んでしまう)今まで喰らってきた魂達を全て戦士にして、尻尾から具現化して解き放つ『エインフェリア』などを持つ。

このように巨大な力を有するエクリプスではあり、神を名乗るに十分な力を有してはいるが、反面、全ての力を使った変身である為、何度も変身できるものでもない。一度の戦いで彼いわく「溜め込んできた力の半分を消耗してしまった」ほどらしい。


「勘違いするなよ、光翼天使! 別に貴様らの味方をするわけじゃねえからな!」


オメガ様のお言葉
エクリプスなのに正義の味方ね〜、んふふ。
まぁいいんじゃないの? わたしのオモチャが増えたって事だしね。
それにしても、あんなにママを憎んでたのにこの変わりよう。
あ〜なんだっけ、わたしこれ聞いたことあるよ。え〜とえ〜と、ツ、ツ? ツンデレとか言うんだっけ?
ま、本当はママとお姉ちゃんにたらしこまれて身体につられちゃったのかもしれないけどね、アハハハハ!

 



●フェアリーエクリプス(バンシーエクリプス・ワルキューレエクリプス)

・モチーフ  妖精
・分類  従属エクリプス。
・人間時  羽張鈴(はばね すず)

儚げな少女の姿をしたエクリプス。年齢は悠美と同じだが、外見年齢は彼女よりも下である。容姿は泣き腫らした赤い目に、とても長い髪の毛、そして、清楚そうな白いワンピースを身に着け、その背中には蜻蛉の羽を思わせる、薄く透明な二対の羽根が生えている。

性格は、基本的に無口で、人見知り。人と接する事が苦手な癖にどこか寂しがりやである。責任感のある優しい性格であったが、それが故に苛められ、成績の低下による両親との不和が重なり、彼女はあらゆるものから逃げたい、助かりたい一身で、フェアリーエクリプスへと遂げたが、元来の優しさがが邪魔してしまい、完全なエクリプスへと遂げる事ができず、その為フェアリーが持つ能力、自己の存在感を消す『フェアリーインビンジブル』の能力が使えこなせず、結果的に文字通りこの世から居場所を失ってしまった。その事で更に絶望した彼女はどこにもいく当ても頼るべき相手もなく、フラフラとしているところをウルフヘジンと遭遇。エクリプスとなって初めて自分の存在に気づいてくれた彼に対し、感激しむせび泣いて喜ぶほどだった。
ウルフヘジンは彼女の目に宿る絶望と悲哀から、自分と似たものを感じとり、殺さず、一緒についてくる事を許可し、それ以後、彼や他の従属者と一緒に暮らす事になる。

ウルフヘジンから力の使い方を教えてもらい、現在では『フェアリーインビンジブル』を完全に使いこなしている。
また、彼から狩ってきた力の一部を分けてもらっており、フェアリーエクリプスからバンシーエクリプスへと変身する事ができる。この姿になると、ベールを被り、緑色の服と灰色のマントを着ている。背中の羽根は消滅している。

バンシーエクリプスへと変身時のみ『バンシーシュー』と呼ばれる技を持つ。この技はあらゆる存在に対して有効で、例え感情や心がなくても強制的に悲哀の感情を与える事ができる。反面ただそれだけであり、実質的な損傷──精神的にも肉体的にも被害を受ける事はない。元々が彼女は心が優しい少女である為、誰も傷つけたりしたくないせいだ。

ワルキューレエクリプスはウルフヘジンエクリプスがヒルドルフエクリプスへと変身した影響と彼女自身が持つ心の光(ウルフヘジンへの想い)が覚醒した結果である。荘厳な甲冑で身を固め、マントを身に着けている。髪は邪魔にならないよう、首筋で一つにくくられ、前髪が目にかからないよう、猛禽類の羽が飾られた兜で留められている。その手にはグレイブ型の槍を持つ。その力は単純な戦闘力だけで、上級エクリプスすら超えている。
ワルキューレエクリプスは、光翼天使に近い性質を持つが、ウルフヘジンエクリプスの影響(光翼天使が嫌い)なのか、背中に羽は生えていない。
今まで感情を抑えてきた反動なのか、ワルキューレエクリプスになった彼女は、ウルフヘジンエクリプスと敵対するものに容赦なく、あたかも感情を爆発させるが如く、敵を屠っていく。

 

「……あたしも……戦う!」


オメガ様のお言葉
エクリプスにもなりきれないなんて、なんてダメな子なのかしら!
誰かに縋らないと生きていけないなんて、何のために生きているんだか。
まぁ、弱いヤツなんてそんなものなのかなぁ。
最初から上に立っているわたしにはわかんないわね〜、んふふふ!




●クレーエエクリプス(ラーベエクリプス・ブランエクリプス)

・モチーフ  鴉
・分類  従属エクリプス。
・人間時  時告華羅子(ときつげ からす)

 細身ながらも妖艶な女性の姿をしたエクリプス。年齢は二十代半ばぐらい。下顎のない鴉の顔に似せた仮面で顔を隠し、腰まで伸びた黒い絹のようなストレートの髪は、黒い水滴のように光沢を放ち、きめ細かい綺麗な肌は、粉雪のように白く、百七十センチを超えるすらりとしたスレンダーな身体には、気品のあるノースリー
ブの黒いドレスをまとっている。その背中からは黒い羽根が生えている。

 どういった経緯でエクリプスになったのかは不明だが、ただ分かっている事はウルフヘジンエクリプスの協力者であり、一番の戦友である事のみ。狼と鴉は古代民族達の間で厚く信仰された動物であるが、その中でもヴァイキング達からは、戦いに赴く際にであうと縁起のいい動物として扱われ、狼と鴉の二匹が揃った場合、そ
れは勝利の前兆とさえいわれているほどであった(故にキリスト教やヴァイキング達の被害を受けた国からは、狼と鴉は嫌われ、縁起の悪い動物として扱われた)二人の中がいいのもそのせいかも知れない。
分類上、従属エクリプスとなってはいるが、当人達はお互いに協力者としての感情が強く、純粋な意味では主従関係ではない。一番最初に彼の味方になったエクリプスでもある。
 他のエクリプスの情報提供や戦闘で壊れたものの再生、一緒に戦う報酬として、彼から力だけではなく、仕留めた獲物の死体も貰っており、それを吸収する事で、更に力を蓄えている。
 性格は妙に計算高い癖に、人懐っこく、お喋りが好き。一言でいうなら『人のいいお姉さん』的な性格をしている。
 クレーエエクリプス時は高い情報の収集と解析の能力を持つ反面、戦闘能力は皆無。だが、ラーベエクリプスへと変身した場合は別である。

 ラーベエクリプスと変身した彼女は、その背にクレーエ時よりも巨大な羽根を生やし、首にはふさふさとしたマフラーを巻きつけ、顔を隠していた仮面を外し、素顔をさらしている(素顔は、冷たい理性を湛えた非常に整った顔で、青色のアイシャドウを塗ったその黒い目には、闇のように深い知性が、紫色の口紅を塗ったその
口元には、波のように揺らめく好奇心が浮かんでいる。間違いなく、美人に部類される女性)
ネイティブアメリカンのとある種族では、大鴉は世界を創造し、星と月と太陽をもたらしたとされており、その神話になぞらえて、ラーベエクリプスとなった彼女は物を創造する能力を有している。

ただし、創造できるものは彼女の持つ力の範囲のものであり、彼女自身の許容範囲を超えるものは作る事はできず、また、力の強いものや複雑なものほど、創造するのに時間がかかってしまう。当然、彼女の知らないものは作る事はできない(最も色々と勉強しているから、大抵のものは創造が可能。単純な構造のものほど楽らし
い)また、理論上は可能でも、実現されていないものや存在しないものは創造できない(つまり、実在のものしか創造できず、また、既に失われてしまった技術でできたものも、創造する事はできない)

 霧と霜なら瞬間的に放つ事ができ、大量の霧で姿を隠すと同時に無数の幻影で相手を惑わせる『ミラージュミスト』、瞬間的に大量の霧と霜を放ち、冷気によって相手を凍らせ、視界を奪う『フロストノヴァ』、爆発して周囲に雹弾と氷刃を撒き散らす、凝縮された冷気の塊『フリーズンオーブ』、霧と霜を混ぜて引き起こす極
寒の嵐『チリングブリザード』、更にそれに帯電させた『ライトニングフィールド』などはそれを活かした技である。

他にも磁鉄粉を利用して磁界を作りだし、そこに電気を流す事で力場を発生させる『フレミングの法則』、空中窒素固定法を利用して火薬を作りだし、局所的な爆発を引き起こす『粉塵爆発』、過酸化水素の雨を降らせる『酸性雨』など、創造能力と知恵を活かした多彩な技を持ち、戦闘力においても上級エクリプスに引けをとら
ない。
 ただし、あくまでも遠距離戦に特化した戦闘力であり、接近戦はすこぶる苦手としている。その為、戦闘する際は常に、ウルフヘジンと組み、互いの弱点を埋めながら戦ってきた。
 ブランエクリプスはウルフヘジンエクリプスがヒルドルフエクリプスへと反転した影響を受け、自身が溜め込んできた力を完全に解放した姿である。
 ブランとはアーサー王が死後、その魂を宿した鳥の事で、ウェールズ語、アイルランド語両方で『大鴉』を意味する。
大鴉の羽で飾り立てられた漆黒のゴシックドレスを着、背中から六枚の黒き翼が伸び、その手には宝石や貴金属で装飾されたポールウェポン(棹状武器)を持っている。

 ラーベエクリプスの創造能力も強化されており、瞬間的になら自身の力を超えるもの(太陽や月、星など)も創造する事が可能。太陽の力を全身にまとい、巨大な黄金の鷲と化して、触れるもの全てを焼き尽くし、火災旋風を引き起こす『ベルクート』、月の力をまとい、巨大な白鷲と化して、大規模な低温空間を作り、暴風雪
と急激な気圧変化による災害(竜巻や局地風)を引き起こす『フレーズヴェルク』、星の力をまとい、巨大な蒼鷲と化して、電界と磁界を作りだし、大量の陽電子を捕獲・蓄積したあと、反物質を大量に生成。対消滅エネルギーによる攻撃『サンダーバード』など、必殺技は震災レベルにまで及ぶ。
また、世界そのものと直接交信する事ができ、あらゆる情報を瞬時に引きだす事ができる。その為、あらゆるものを創りだす事が可能。『アヴァロン』はその能力を最大限に活かした技で、過去に実在した英霊や英雄・偉人や聖人・魔王や魔神などの魂に、肉体と戦士としての力を与え、一時的にこの世に蘇らせる事ができる。
 ただし、強い存在ほど蘇らせたり、維持するのに、多くの力が必要だから、結果的に召喚できる数や蘇らせている時間は限られる。
維持する力がなくなると、蘇った存在達は元の死体に戻ってしまう。

「やれやれ。大変な事になっているみたいね」

 

オメガ様のお言葉
あれあれ、ミステリアスな美人って感じで、素敵なおねーさんねぇ。
知略派のエクリプスって珍しいし、わたしは結構好きだなぁ。
モノを創造する力か……結構生意気な力を持ってるじゃない。
まぁ、 本当の神様はわたしただ一人だし、わたしは何かを創るなんてつまらない事に力は使わないけどね!




●ディアブロエクリプス

・モチーフ 悪魔
・分類 古代エクリプス


中世ヨーロッパ時代から生き続けているエクリプス。
天使達に存在を悟られず、なおかつ確実に力を溜め込む為に、彫像に身を変え、現代まで力を溜め込み続けた。
明治時代に日本に運ばれてき、先代影魔王アルファエクリプスにも仕え、大切な懐刀として、アルファから更なる力を与えられ、ディアブロもまた、アルファの期待に応える働きをしていた。
アルファエクリプス亡き後、継続的にオメガエクリプスの配下になるが、その後、オメガエクリプスが煌翼天使ユミエルに倒されたと聞いて、彼女に失望。掌を返して、自分が影魔王になろうと画策する。

その力は数百年以上も力を溜め続け、更にアルファエクリプスによって強化されただけあって、エクリプス達の中でも、最も影魔王に近い力を持っている。
通常時は背中から蝙蝠の羽を生やし、頭部に牡牛のような二対の太い角を持つ、髭を生やした男性型悪魔像の姿をし、隷属させた人間に自らを持たせているが、力を完全に解放すると、隷属させた人間を吸収して、怪獣の如く十メートルサイズまで巨大化。紅い爬虫類の皮膚と均整のとれた筋肉質の肉体、背中にはドラゴンを思わせる巨大な翼が生え、頭部の角も肥大化しただけでなく、螺旋が浮かび、金属質になっている。四肢の指先からも鋭い爪が生えており、また、腰からも先端が二股に分かれた尻尾が生える。まさしく悪魔を連想させる姿になる。

陵辱方法は二種類あり、一つは見るもの全てに恐怖を与えるやり方。四肢切断や内臓を引きだすなどは序の口。人体をグロテスクに改造変形など当たり前。古今東西のあらゆる方法を用いて、見るもの達に恐怖を与える。もう一つはやられる側に恐怖を与えるやり方。相手の心の中に入り込み、恐怖源を調べ上げ、それに合わせた陵辱を行なう。
他者の恐怖を好む故か、それにまつわる技が多い。
相手の心に強制的に恐怖感を与える『テラーコンタミネート』、相手の罪の意識を通じて、精神的なダメージを与える『クルエルダムネーション』、相手の精神世界内で現実では不可能な責め苦をする『エターナルダムネーション』、肉体と共に心も傷つける湾曲した刃の嵐『イーブルイノメティー』、自責の念の鎖で縛り上げ、後悔の殻に心を閉じ込める『ホリッドインカーセレント』、死体を始めとする心なき肉体を操る『ガダバーレイド』、相手を暗黒空間に閉じ込める『ダークネスインターメント』などを持ち、他にも、影から無数の腕を呼びだす『マッドハンド』、虚空から無数のガーゴイル像を呼びだし襲わせる『ガーゴイルマーチ』、自分の配下の悪魔型下級エクリプスを無数に召喚する『デモンズサーバント』などを持つ。

ウルフヘジンエクリプスを倒し、戦いを挑んできた天使親子をガーゴイルや下級エクリプス達と共に陵辱するも、正義側に反転したウルフヘジンとその従属者達の協力により、ユミエルによって倒される。
その後、執念深くこっそりと復活を遂げようとしたところをオメガエクリプスと遭遇。散々嘲笑された挙句、呆気なく食い殺されてしまう。



「天使如きに負けるとは。失敗したのだな」



オメガ様のお言葉
あれれ、これまた賞味期限切れのお古じゃないの。
まぁこれでも昔は役に立ったんだろうけど……時代の流れって残酷よね〜。
結局さ、役に立たなくなったものは捨てちゃうしかないよね?
身の程は脇編めてもらわないと困るし、わたしそんなお人よしじゃないし。クク、アハハハハ!

 

●ロリータエクリプス

・モチーフ 多重人格探偵『サイコ』にでてくるキャラクター「ロリータ℃」
・分類 上級エクリプス


狂気に近いほど、天真爛漫で無邪気。いつもほんわかとした笑みを浮かべ、どこかぼんやりとした雰囲気を持つ。 詩や小説、漫画など物語の言葉や台詞を会話の節々に入れて喋る癖を持ち、常人とは多少異なった感性の為、どこかずれた印象を与えさせる。
一言でいうなら、不思議っ娘である。二言でいうなら、電波がかった不思議っ娘。

普段は十四歳の姿で年齢を固定させているが、十歳から十七歳までなら、年齢を自由に変化させる事ができる。どの年齢の時でも、肩まで伸びた漆黒の髪と、無邪気な光を宿した猫のような大きな目、透き通るような綺麗な肌は変わらず、着ている服は、大抵の場合、シフォンのドレスか赤いワンピースを着ている。

両親と二人の兄に可愛がられ、平凡ながらも幸せな日々を送っていた彼女だが、十二歳の時、全ては崩壊する。
ある日の休日。一人で留守番をしていたところに犯罪者が押し入る。犯罪者は彼女に逃げられないよう、叫べないよう、口をふさぎ、ロープで縛ったあと、遊ぶ約束をしていた友人や帰ってくる家族を、彼女に見せつけるように殺害していく。最後の一人を殺害した犯人は、血塗れになったリビングで彼女を強姦したあと、そのまま笑いながら自殺した。
一人、生き残った彼女は警察に連絡。マスコミはセンセーショナルにとり上げ、一部のマスコミは、彼女が犯人と協力して、家族や友人達を殺させたと誤報を流す。
我が子を殺された友人達の家族は、自分達の負の感情のはけ口として、その誤報を信じ、唯一生き残った彼女を非難。自身が大切にしていたもの全てを壊された彼女は、完全に壊れてしまい、病院で五年間過ごしたのち、十七歳の誕生日、かつて、犯行が行なわれたマンションで自殺する。

死ぬ間際、彼女は、壊れてしまった自身の再生、穢されてしまった魂の浄化、そして、永遠なる平穏と幸福に満ちた世界を求め、ロリータエクリプスへと変貌。
半人半霊状態になった彼女は、全国の学校で活動し、自身が気に入った少年や少女達をとり込んでいく。彼女の存在を知ったクロウエクリプスは、彼女が現れた学校にウルフヘジンエクリプスを送り込む(舞台となった学校には付属の大学があり、彼はそこに入学する形で入り込んだ)

ロリータエクリプスは『ストレンジ・ニューワールド』(相手が望む理想の世界に送り込む技。意識・無意識を含めた全ての願望を素に創られた理想世界な為、これを受けた相手は、例えそれが偽の世界だと分かっていても、願望そのものは本物であり、どこにも悪意や害意の類がない為、どうしても、誘惑されてしまう。理想や欲望が強い相手ほど、これに深くかかる。この世界で幸福を感じとった瞬間、魂は開放され、花の香りに包まれながら、彼女にとり込まれてしまう)を使い、彼を自身が望む理想の世界に送り込み、彼の魂を開放させるあと一歩のところまでいったが、まどろみに似た平穏の中で、自身の欲望──力への渇望と恋人を殺した日の決意を思いだしたウルフヘジンは、それを破る。
現実に戻ってきたウルフヘジンエクリプスと対峙する彼女。
ロリータは尋ねる。何故、平穏と永遠を拒絶するのかと。
彼はそれに答えたあと、彼女に切りかかる。
精神世界の中で、彼の過去や心を知り、彼に好意感を有していたロリータは、素直に魂を喰われる道を選ぶ。
 
「わたしと一つになろう。ず〜と、ず〜と、幸せなんだよ」

 

オメガ様のお言葉
永遠の平穏と幸福かぁ、せっかくエクリプスになったのになんだかつまらない欲望よねぇ。
ま、どんなに頑張ってもエクリプスには不幸をばら撒くことしかできないんだけどね……うふふ。
それにしてもこのコの生い立ち、酷い人間もいたものよねぇ。こんな人間守る価値なんてあるのかなぁ、お姉ちゃん?


※以上、無責任様の生み出されたエクリプスです。投稿ありがとうございました!









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